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2023/02/20

方舟/夕木春央 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:方舟
・著者:夕木春央
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2022/9/8


◆おすすめ度◆
・新本格推理小説度:★★★★★
・犯人は誰なんだ?度:★★★★
・ヒェ~なラスト度:★★★★★


◆感想◆
山奥の地下施設を訪れた大学時代の仲間たち。道に迷った一家3人を含めた9人で、地下施設の中で夜を明かすことになるが…

密室状態の地下施設、脱出しなければ死んでしまうという時限付き脱出ゲーム、極限で起きる殺人事件。
探偵役の推理もあれば、どんでん返しもあり、おぞましいホラー要素もあるという、もう新本格推理小説ファンにはたまらない設定です。
メフィスト賞の受賞者らしいですね。

自分はコアな新本格推理小説ファンというわけではないのですが、それでもとても面白く読めました。
高難度の技を繰り出し、着地もバシッと決めた感じです。


◆関連記事◆
「予想をはるかに超える、衝撃!」話題のミステリー『方舟』に有栖川有栖氏、法月綸太郎氏ら、作家・書評家から絶賛の声続出/ダ・ヴィンチWeb

2023/02/12

南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山/樋口明雄 山岳小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山
・著者:樋口明雄
・初版出版社:徳間書店
・初版発行日:2022/9/8


◆おすすめ度◆
・山岳小説度:★★★★
・読後は爽やか度:★★★★
・ちょっと出来すぎだけど山が舞台だと許せます度:★★★★


◆感想◆
「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの第7弾。
樋口明雄の『南アルプス山岳救助隊K-9シリーズ』にハズレなしです。どれも面白いし、読後の爽快感もたまりません。
ドロドロした人間関係なんかを描いた小説を読んだあと、心の安らぎを取り戻すのに最適ですね。


2023/02/08

書楼弔堂 待宵/京極夏彦 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:書楼弔堂 待宵
・著者:京極夏彦
・初版出版社:集英社
・初版発行日:2023/1/6


◆おすすめ度◆
・垣間見える著名人の人となり度:★★★
・『ヒトごろし』のスピンオフみたいな度:★★★
・プーチンに読ませたい度:★★★★


◆感想◆
明治時代初期の著名人について、その若き頃の人となりを垣間見させる物語。
ヒトごろし』のスピンオフみたいな感じも。
最後に弥蔵の名前が明かされますが、自分には??でした。
あと、プーチンに読ませたいですね。


◆関連記事◆
京極夏彦インタビュー アナログじいさんが、Youtubeを見られるようなるまでの話です『書楼弔堂(しょろうとむらいどう) 待宵(まつよい)』/インタビュー | Book Bang

2023/01/08

箱庭の巡礼者たち/恒川光太郎 ファンタジー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:箱庭の巡礼者たち
・著者:恒川光太郎
・初版出版社:KADOKAWA
・初版発行日:2022/7/4


◆おすすめ度◆
・六つの異世界を舞台にしたファンタジー度:★★★★★
・つながる時間と空間度:★★★★
・読み始めたら止まらないエンタメ小説度:★★★★


◆感想◆
異世界を舞台にした幻想と怪奇の短編集。
六つの異世界が描かれるが、それぞれ独特の世界観を堪能でき、さらにそれが時間と空間を超えてつながるという壮大な仕組み。
物語の密度が濃いですね。
現実と箱庭世界がシームレスにつながる感覚が新鮮です。


◆関連記事◆
6つの世界の物語が一つにつながる幻想奇譚。箱庭世界の不思議。 『箱庭の巡礼者たち』/BOOKウォッチ
常識を超えた素敵などこかへ、あなたを誘う多元世界紀行『箱庭の巡礼者たち』 著者・恒川光太郎氏にインタビュー! | インタビュー/Book Bang -ブックバン-

2022/12/31

ワンダーランド急行/荻原浩 ファンタジー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:ワンダーランド急行
・著者:荻原浩
・初版出版社:日経BP 日本経済新聞出版
・初版発行日:2022/12/17


◆おすすめ度◆
・パラレルワールドファンタジー小説度:★★★
・なんちゃってSF小説度:★★
・ここではないどこかに行きたいサラリーマンの運命は!?度:★★★


◆感想◆
会社に行くのが憂鬱なサラリーマンの主人公。いつもと逆の下り電車にふと乗り込むが…

パラレルワールドファンタジー、あるいは文系の人が書いたSF小説みたいな感じです。
SFファンにはすすめられませんが、SFファンじゃない方にはおすすめです。
日常から異世界に紛れ込んだ主人公が、あたふたする様子が面白おかしく、ちょっと物悲しい感じも。
脇役の多田の扱いがめちゃくちゃ波乱万丈ですね。


2022/12/23

踏切の幽霊/高野和明 ゴースト・ストーリーの感想

◆読んだ本◆
・書名:踏切の幽霊
・著者:高野和明
・初版出版社:文藝春秋
・初版発行日:2022/12/13


◆おすすめ度◆
・背筋ゾクゾクホラー小説度:★★★★
・ミステリー小説と幽霊譚の融合度:★★★★
・静謐なエンディング度:★★★★


◆感想◆
背筋がゾクゾクするホラー小説。夜の電話は怖いですね。
なんて思っていたら、物語は別の方向にするすると進んで、ミステリーと幽霊譚を見事に融合させた展開に。

ミステリーと幽霊譚が融合して大丈夫?
みんな幽霊のせいにしたんじゃ、読者は納得しないんじゃなない?
大丈夫なんです。
それだけ説得力がある小説ということですね。
謎を解くミステリーとしての展開も面白いし、幽霊譚としてもリアリティがあってゾクゾクします。

主人公の悲しみがひしひしと伝わってくる描写も印象的。
また登場人物たちがそれぞれに悲しみを抱えていて、物語全体のトーンが涙色です。
エンディングも静謐。
主人公の心も、穏やかでいてほしいと願うばかりです。


◆関連記事◆
幽霊の目撃談から、その真相を追い求める男が辿り着いたのは? 『ジェノサイド』著者・高野和明による11年ぶりの長編小説『踏切の幽霊』/ダ・ヴィンチWeb

2022/12/14

秋雨物語/貴志祐介 ホラー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:秋雨物語
・著者:貴志祐介
・初版出版社:KADOKAWA
・初版発行日:2022/11/29


◆おすすめ度◆
・ホラー短編小説度:★★★★
・『フーグ』が衝撃的度:★★★★
・もがき苦しむ主人公たち度:★★★


◆感想◆
『フーグ』がホラーでダークなファンタジーでブラックな結末が衝撃的。
ホラー映画が怖くて見たくないんだけど、どうなるのか気になって目を手で隠しながらも指の隙間から見ちゃうような感じの面白さです。
ラストは鳥肌ですね。


◆関連記事◆
貴志祐介さん「秋雨物語」インタビュー 人間の業を露わにする、4つの恐怖譚/好書好日

2022/12/07

黒石 新宿鮫Ⅻ/大沢在昌 ハードボイルド小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:黒石 新宿鮫Ⅻ
・著者:大沢在昌
・初版出版社:光文社
・初版発行日:2022/11/24


◆おすすめ度◆
・女っ気なしのハードボイルド小説度:★★★★
・前作『暗躍領域』の続編度:★★★
・『黒石』が超不気味度:★★★★


◆感想◆
前作の『暗躍領域』の続きって感じの新宿鮫シリーズ。『暗躍領域』を忘れていても楽しめます。
ハードボイルドしてます。
女っ気なしです。
〝黒石〟の不気味さが鳥肌モノです。



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「そうなんですか! すげぇ……」担当編集が驚愕 大沢在昌が語った、新宿鮫シリーズの執筆秘話/Book Bang -ブックバン-