だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員III」/香月美夜 ライトノベルの感想

◆読んだ本◆
・書名:本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員III」
・著者:香月美夜
・初版出版社:TOブックス
・初版発行日:2018/6/9

◆おすすめ度◆
・面白いライトノベル度:★★★★
・下町のみんなと別れるのが寂しい度:★★★★
・将来はフェルディナンドと結婚すると思ったのに度:★★★

◆感想◆
神殿長としての仕事と、貴族院での学業やお茶会の内容が描かれる本書、だんだん登場人物も増えてきて、人物名なのか土地の名前なのかあやふやに。
それでも読んでいくうちに「本好きの下剋上」の世界に浸っていくから面白い。

マインの本好き振りが発揮されるなか、結婚話しやルッツとの別れ?なんかも飛び出してきて、大変!
どうなる?どうする?で次巻に続く。

この調子で永遠に続いて欲しい気もします。
あと、アンゲリカのファンです。

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果断―隠蔽捜査 2/今野敏 警察小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:果断―隠蔽捜査 2
・著者:今野敏
・初版出版社:新潮社
・初版発行日:2007/04

◆おすすめ度◆
・面白い警察小説度:★★★★
・主人公の果断ぶりがいい度:★★★★
・上司達の不断ぶりが引き立て役度:★★★★

◆感想◆
降格人事で大森署署長となった主人公の竜崎。署長の最大の業務が書類のハンコ押しであることに嘆きながらもひたすらハンコを押している毎日だったが…

相変わらず自分の信念を曲げない竜崎は、相手が上司だろうとマスコミだろうとPTAの役員だろうとお構いなしに持論をぶちまける。
空気が読めないのも甚だしい竜崎だが、それが本書の最大の読みどころ。

前作ではこの竜崎の性格が分裂しているように感じたけれど、本書ではうまくまとまっている。
まあ、『子供達の安全を守るためには、家庭というコミュニティーや子供達との会話が大事だ』なんていう趣旨の説教をPTAや教師との懇親会でぶちまけておきながら、自分は妻が入院しそうなほど顔色が悪いのにも気づかないという体たらく。
ま、そんな瑣末なことはいいとして、大森署に着任早々立てこもり事件が起き、竜崎の対応が注目される。

慌ただしく動く展開や、署内の人間関係の変化などいろいろあって、けっこう胸のすく展開でスカッと爽やか。
頑固者の竜崎がいい味出している。

っていうか、周りの警察官僚が変な奴らばっかり。
責任をなすりつけあってばかりいるキャリアたちのほうが変で、結果、一般の企業だったら普通の判断と行動をしている竜崎が、思い切った判断をしているようにみえるという。

竜崎が果断なのではなく、キャリア達が不断なのだと思う。
(決まった!)

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バイロケーション/法条遥 ホラー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:バイロケーション
・著者:法条遥
・初版出版社:角川書店
・初版発行日:2010/10/23

◆おすすめ度◆
・新感覚ホラー小説度:★★
・何が何だかサスペンス小説度:★★
・誰が誰やらミステリー小説度:★★

◆感想◆
画家を志す忍は、スーパーで偽札の使用を疑われ警察官に連行される。しかし忍が連れて行かれたのは「もう一人の自分であるバイロケーションをなんとかする会」という、自分と全く同じ人間が現れるという現象に悩まされている人たちの集まりだった…

ドッペルゲンガーと似ているけど、本人と偽物が全く同じという点が異なるバイロケーション。
そんなバイロケーションに悩まされる人たちが集まる、「もう一人の自分であるバイロケーションをなんとかする会」で、次々と事件が。

ストーリーはどう展開するのか?
謎まみれの男は、何を目的にしているのか?
いったいどっちが本人でどっちがバイロケーションなのか?

という、ホラー1割、サスペンス1割、ミステリー7割、それは言えない1割の第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。

日本ホラー小説大賞よりメフィスト賞の方が似合っていそう。
読んでるとだんだん面倒臭くなってくるけど、新本格ファンの読者なら飽きなく読めそうです。

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キッド/木内一裕 アクション小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:キッド
・著者:木内一裕
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2010/9/17

◆おすすめ度◆
・一気読みアクション小説度:★★★★
・スリルとサスペンス度:★★★
・俺TUEEE度:★★★

◆感想◆
古いビリヤード場を経営する麒一(20)のもとに、近所のタバコ屋の少女から「た、助けて……」と電話がかかってくる。出向くと、ばあさんと娘が死体を前にして座り込んでいた…

近所のタバコ屋のばあさんと少女を助けるため、死体を処理することにした麒一。
ところが彼の行く先に、次々と災難が降りかかってくる!
ビリヤード場の放火にリフォーム詐欺、死体処理にまつわるヤクザとの攻防。
なんとかなるだろうという根拠のない自信の持ち主・麒一も、もうだめだろうという窮地に追いやられるが、特殊部隊員もタジタジの大活躍で難局を切り抜ける。

素人の若者が、知恵と勇気とポジティブシンキングで大活躍するアクション小説。
テンポのいい展開で、読み始めたら止まりません。
はじめはユーモア小説かと思ったら、けっこうシリアスな展開で、登場人物達も生き生きしてる。

◆関連記事◆
木内一裕の痛快小説『キッド』をおすすめ! - 東えりか/WEB本の雑誌

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ふわふわの泉/野尻抱介 SF小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:ふわふわの泉
・著者:野尻抱介
・初版出版社:エンターブレイン
・初版発行日:2001/04

◆おすすめ度◆
・どんどん大風呂敷になるSF小説度:★★★★
・ふわふわな登場人物度:★★★
・明るい未来度:★★★

◆感想◆
化学オタクの浜松西高校化学部部長・朝倉泉は、唯一の部員・保科昶と文化祭に出そうとしているフラーレン分子の合成に勤しんでいた。その時、落雷の電撃が実験装置を襲い…

落雷というパプニングで、なんとダイヤモンドより硬く、空気より軽いというシャボン玉のような物質が出来上がる。
それを「ふわふわ」と名付け、量産化し、あれよあれよと言う間に超巨大な構造物を作り上げる企業の女社長に。
化学オタクの泉が目指しているものは何なのか。

「ふわふわ」という画期的な物質の壮大な使い方にSFの醍醐味を感じつつ、登場人物たちの、冒険心に富み前向きでいながら「ふわふわ」としたお気楽さが心地いい。

軌道エレベーターや地球外生命体など、先日読んだ「南極点のピアピア動画」と似た展開も。(順番でいえば、「南極点のピアピア動画」が本書に似ている)

難しいこと考えずにお気楽に読めるSFです。

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ダブル/深町秋生 バイオレンス小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:ダブル
・著者:深町秋生
・初版出版社:幻冬舎
・初版発行日:2010/09

◆おすすめ度◆
・バイオレンス小説度:★★★★
・大胆な復讐方法度:★★★
・激しいガンアクション度:★★★

◆感想◆
新型ドラッグを一手に扱い、猛烈な勢いで組織を拡大させてきた神宮ファミリー。そこで一目置かれていた主人公の刈田誠次。ドラッグに手を出した弟をかばおうとしたことから、会長の神宮に弟や元恋人を殺され、自身も大怪我をおってしまうことに…

警察の無謀とも言える策に協力する形で、神宮会長に復讐しようとする刈田誠次。
復讐方法が大胆でびっくり。
どんなにごまかしても、いずれわかっちゃうと思わせておいて、それが次なる展開にもつながるというニクイ演出。

新型ドラッグのぶん取りあいをする神宮ファミリーと強豪組織の、派手なガンアクションも読みどころ。
アサルトライフルやグレネードランチャーまで登場する派手さ。
警察に捕まらないのも不思議なほど、激しく撃ちまくります。

はたして刈田誠次の復讐は叶うのか!?

組対5課の園部佳子も刈田誠次の向こうを張る強烈キャラで、男勝りのいい味出してます。

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花まんま/朱川湊人 ホラー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:花まんま
・著者:朱川湊人
・初版出版社:文藝春秋
・初版発行日:2005/4/23

◆おすすめ度◆
・ホラー短編集度:★★★★
・子供の時に体験した不思議な物語度:★★★★
・懐かしい大阪下町度:★★★

◆感想◆
大阪の下町を舞台にしたウエットなホラー短編小説。

舞台は大阪の下町で、幼い子供が主人公。
しみじみしたりほっこりしたりする、ホラーというよりは幻想的で不思議な物語。

大阪生まれで、著者と同じ年代の方には郷愁を誘うシーンがいっぱい。
思わず「そうそう!」とうなづいてしまう、おじさんやおばさんの顔が見えるよう。

そんなノスタルジックな中に差別と貧困も織り交ぜて、ちょっと物悲しい雰囲気を醸し出している。
現在はそんな暗い影や不思議な物語はないような大阪になっているだろうけど、子供にとっては現在の大阪も、いずれ幻想的で不思議な場所になるのかもしれない。

1963年生まれの大阪人に、強力にオススメです。
「花まんま」は、蓋を開けた時に目に飛び込んでくる「花まんま」の美しさが新鮮。
「送りん婆」を読んで、筒井康隆の傑作「熊の木本線」を思いだしました。

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花まんま [著]朱川湊人/BOOK.asahi.com

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盤上の夜/宮内悠介 ファンタジーの感想

◆読んだ本◆
・書名:盤上の夜
・著者:宮内悠介
・初版出版社:東京創元社
・初版発行日:2012/3/22

◆おすすめ度◆
・ファンタジー小説度:★★
・「清められた卓」が面白い度:★★★★
・アイデアは秀逸度:★★★

◆感想◆
囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋などのゲームを題材にした不思議な小説。

帯には著名な作家が本書をべた褒めする言葉があるが、かろうじて面白く読めたのは、麻雀を題材にした「清められた卓」くらい。
他の短編は残念ながら『完全解』を得るような読み方はできなかった。
残念無念。

解説を読めば少しは理解が進むかと思ったが、冲方丁の解説は形而上的で本文以上によく分からない。

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第33回日本SF大賞受賞記念インタビュー――宮内悠介『盤上の夜』を語り尽くす!/Webミステリーズ!

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