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2019/07/11

希望の糸/東野圭吾 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:希望の糸
・著者:東野圭吾
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2019/7/5


◆おすすめ度◆
・家族の絆ミステリー度:★★★★
・ちょっと感動的度:★★★★
・LGBTはトレンド?度:★★★


◆感想◆
住宅街にある喫茶店で、店主の女性が殺害されているのが発見される。聞き取り捜査をすすめても犯人に繋がりそうな情報はなかったのだが…

加賀恭一郎の従弟で、警視庁捜査一課・松宮脩平が主人公のミステリー小説。
喫茶店の女店主が殺害された事件と、災害で二人の子供を失った男性の関係、さらに刑事の松宮脩平にかかわる出来事などが並行して展開する。

曰くありげな人間関係と事件の真相は?
いったい誰が誰と、どんな関係なんだ!
というミステリー小説。

中盤でなんとなく展開が見えてきても、最後まで飽きさせず読ませる著者のテクニック。
どう書けば読者が喜んで、悲しんで、心に響くがが丸分かりのようで。
著者の手のひらの上で転がされているようです。
それがまた気持ちよく転がされるからたまりません。

父親でも母親でも娘でもなく、ましてや刑事でもない自分には、感情移入できる登場人物がいなくてちょっと残念。
先日読んだ「今昔百鬼拾遺 天狗」は「LGBT」がちょっとしたキーポイントになっていて、本書にもLGBTがキーとなる人間関係があったりして、これは最近の流行りなのか?


2019/07/03

今昔百鬼拾遺 天狗/京極夏彦 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:今昔百鬼拾遺 天狗
・著者:京極夏彦
・初版出版社:新潮社
・初版発行日:2019/6/26


◆おすすめ度◆
・本格ミステリー小説度:★★★
・世紀の遺物のような老人度:★★★
・啖呵を切る呉美由紀が爽快度:★★★★


◆感想◆
天狗がいるとされる高尾山で女性が消息を絶つ。篠村美弥子は彼女を探そうとするが、ひょんなことから女学生・呉美由紀と出会い…

呉美由紀が登場する「今昔百鬼拾遺」三作の第三作。
「高尾山で天狗にさらわれる?」というお題のミステリー小説。

単純明快なストーリーかと思ったら、次第に登場人物が増え人間関係が輻輳。
本格ミステリー小説らしい殺人事件と謎がテーマのミステリー小説。
本格が苦手な自分には、やや疲れます。

ラストには榎津礼次郎が登場して、バッサリ一言で事件を切り捨てるのを期待しましたが、そうはなりませんでした。

読みどころは、前世紀の遺物のような老人の蒙昧と傲慢、そして呉美由紀のスカッとする長台詞。
中盤のやや疲れる展開は、このラストのカタルシスのための重しだったのかも。

呉美由紀という普通の女子が、正論で悪をたしなめる「今昔百鬼拾遺」三作、完結です。


◆関連記事◆
今昔百鬼拾遺 鬼/京極夏彦/サイト内
今昔百鬼拾遺 河童/京極夏彦/サイト内

2019/06/24

メンタルローテーション “回転(ローテーション)脳"を鍛える/池谷裕二 パズル集

◆読んだ本◆
・書名:メンタルローテーション “回転(ローテーション)脳"を鍛える
・著者:池谷裕二
・初版出版社:扶桑社
・初版発行日:2019/6/21


◆おすすめ度◆
・頭の体操になるパズル度:★★★★
・メンタルローテーションが鍛えられた実感度:★★
・子供にやらせたい(自分はもうやりたくない)度:★★★


◆感想◆
「頭の中で自由に物体を回転させて眺める能力」であるメンタルローテーションは、ヒトの知能と深く関わっている。そして、メンタルローテーションを鍛えることにより、より豊かな能力を獲得できる、らしい。

本書はそんなメンタルローテーションを鍛えるための問題集。
まあ、平たくいえばパズルです。

鏡に写った時計の時刻を読んだり、三次元に積み上がったブロックの個数を数えたり、サイコロを指定数回転させたときの目を当てたり。
頭の中で、イメージを動かしたり回転させたりして正解を導き出すという、テレビでもたまに見るようなパズルの問題集。

パズル自体は簡単なものから難しいものまで様々。
全部の問題を一気にやると相当疲れます。
頭の体操にはなりますが、これでメンタルローテーションが鍛えられ、豊かな人生が送れるようになるかは、その人次第かもしれません。

子供に与えて遊ばせるのにはいいかもしれませんが、スマホやタブレットでできる同様のパズルが無数にありそうです。

著者の脳科学に関するエッセイを期待するとハズレますので、買う前に立ち読みすることをオススメします。
「漢字復元」が、立ち直れなくなるくらい難しかったです。


◆関連記事◆
メンタルローテーション 池谷裕二/NetGalley

2019/06/18

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員VII」/香月美夜 ライトノベルの感想

◆読んだ本◆
・書名:本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員VII」
・著者:香月美夜
・初版出版社:TOブックス
・初版発行日:2019/6/10


◆おすすめ度◆
・面白いライトノベル度:★★★★
・マインが巻き込まれる大騒動度:★★★★
・ディッター大好きなダンケルフェルガー度:★★★★


◆感想◆
聖典にまつわる尋問会や、突然のディッター勝負や、貴族院でのテロ事件と、ローゼマインが相変わらず大騒動に見舞われっぱなしの貴族院二年生。

小学生向けの文庫も発行されようかという子供向けのライトノベルなのに、大人が読んでも面白いすぐれもの。
ローゼマインのキャラも愉快だし脇役たちもユニーク。
少女小説にありがちな異世界だけど、微妙にねちっこい人間関係があったりして、大人な感じも面白い。
でももっとも惹きつけるポイントは、次々と場面転換して何が起きるのか予断を許さない展開か。

今後の展開に大きく関与しそうな人物も登場して、今後さらにスケールアップしそうな雰囲気も。
全編の中では、中盤をちょっと超えたあたりなので、まだまだ楽しめるのが嬉しい。


2019/06/06

南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈/樋口明雄 アクション小説

◆読んだ本◆
・書名:南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈
・著者:樋口明雄
・初版出版社:徳間書店
・初版発行日:2019/5/14

◆おすすめ度◆
・スリルとアクションの逃亡劇度:★★★★
・神崎静奈がめちゃくちゃハードボイルド度:★★★★
・胸が熱くなる山岳シーン度:★★

◆感想◆
警視庁阿佐ヶ谷署の大柴刑事は、山梨県警南アルプス署に拘留中の窃盗被疑者・高沢の移送を命じられるが…

とってもオーソドックスな逃亡劇。
いささかリアリティに欠けるが、スリルとサスペンス&ハラハラドキドキの、一気に読ませる面白小説。

主役の南アルプス署山岳救助隊・神崎静奈もカッコよすぎ。
大柴刑事が惚れるのよく分かる。


Amazonのレビューを読むと、評価は極端な二極化。
著者のK-9シリーズが好きな読者は、心が熱くなる山岳シーンとかが少なくて期待はずれだったよう。
逆に、ハリウッド映画ばりのカーチェイスやアクションが好きな読者には高評価。
山岳小説を期待するとがっかりするけど、期待せずに読めば面白いアクション小説だ。

2019/05/29

今昔百鬼拾遺 河童/京極夏彦 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:今昔百鬼拾遺 河童
・著者:京極夏彦
・初版出版社:KADOKAWA
・初版発行日:2019/5/24

◆おすすめ度◆
・怪異ミステリー小説度:★★★
・河童の薀蓄度:★★★
・落語のような?芝居のような?度:★★★

◆感想◆
昭和29年、千葉県の夷隅川で、お尻を出して死亡している男性が複数発見される。
死亡の原因は? そしてなぜ男たちはお尻を露出させ死んでいたのか…

のっけから、日本各地のカッパ伝説を50ページ近くにわたって女子高生たちに会話させるという、驚異のカッパ談義。
そして、怪しい男たちの密談の様子がああでもないこうでもないと語られたり、妖怪研究家・多々良勝五郎の河童の薀蓄披露など、暑苦しい?京極夏彦感満載の展開。

場面転換の少なさ、会話で進む展開、落語のような語り口と、ちょっと手を加えれば、笑いと薀蓄のミステリアスな芝居の脚本になりそう。

結末には妙な清涼感があります。


◆関連記事◆
“京極堂の妹”中禅寺敦子は探偵に向かない?/京極夏彦『今昔百鬼拾遺 河童』インタビュー/カドブン

2019/05/23

悪の五輪/月村了衛 クライムノベルの感想

◆読んだ本◆
・書名:悪の五輪
・著者:月村了衛
・初版出版社:講談社
・初版発行日:2019/5/16

◆おすすめ度◆
・クライムノベル度:★★★
・ヤクザの花形敬が変度:★★★
・団塊の世代の映画ファンにピンポイントでマッチング度:★★★★

◆感想◆
1963年、白壁一家の人見稀郎は、東京オリンピックの公式記録映画に、三流といわれていた錦田監督を登用するよう画策するが…

映画好きという変わったヤクザが、オリンピックの記録映画をプロデュースしようと画策する姿を通し、昭和の裏社会を描きだすクライムノベル。
ヤクザの花形敬や児玉誉士夫などの戦後の裏社会で暗躍していた著名人を登場させたりして、史実と虚構をうまく織り交ぜた「東京輪舞」と似た感じ。

ちょっとアクションは少なめだけど、東京オリンピックをリアルタイムで知っている人には、「そういうこともあったなぁ」と懐かしく読めるか。
団塊の世代の映画ファンにピンポイントでマッチング。
全共闘世代でもOKです。
逆に平成世代にはピンとこないかも。

◆関連記事◆
悪の五輪 月村了衛/NetGalley

2019/05/16

ざんねんな食べ物事典/東海林さだお エッセイの感想

◆読んだ本◆
・書名:ざんねんな食べ物事典
・著者:東海林さだお
・初版出版社:文藝春秋
・初版発行日:2019/5/10

◆おすすめ度◆
・おもしろ食べ物エッセイ度:★★★
・ざんねん過ぎるあれやこれや度:★★★
・イラストが笑える度:★★★★

◆感想◆
超B級グルメな食べ物エッセイ。
ラーメンや牛丼など、普段口にしている食べ物にまつわるうんちくが面白い。

ざんねんな食べ物の話も面白いが、ざんねんな人たちの話も愉快。
涙の謝罪会見をする山一證券社長に、手が激しく震えてサインできない日商岩井副社長の海部氏。
「こっちだって寝てないんだよ!」の逆ギレ雪印乳業社長。
いろんなざんねんな人がいたなあぁ。

一番笑ったのは「呑み潰れツアーツアーで呑み潰れる人々」のイラスト。
見たとたんに笑いがこみ上げ、愉快で平和な気分になれる。
毎日こんなふうに過ごしたいぞ。