だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん 中間小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:まほろ駅前多田便利軒
・著者:三浦しをん
・定価:648円
・出版社:文春文庫
・発行日:2009/1/9

◆おすすめ度◆
・2人の男の奇妙な友情度:★★
・過去への執着度:★★
・笑える小説度:

◆感想◆
まほろ駅前で便利屋をする多田。ひょんなことから高校時代の同級生・行天が転がり込んできて…

飄々としてなにをしでかすかわからない行天と、少々お節介な多田。
妙なコンビの便利屋稼業を描写しながら、次第に話がディープになっていく展開。

どっかに笑える小説として紹介されていたけれど、これは笑える小説ではなく不条理感の漂う小説。
舞台も登場人物もちょっと浮世離れしているし。
妙に思わせぶりな文章や行天のありえない行動に、自分はこの小説世界に馴染めないなあという疎外感を感じる。
多田のなんだか歯にものが挟まったような言いようも、もどかしい感じ。
ラストまで読めば、なるほどとは思うけど。

自分にはあまり向いな小説だったけど、まほろ駅前多田便利軒自体は直木賞を受賞して続編も出版される人気ぶり。
自分はいったい何を読み誤っているんだろう。

◆関連記事◆
まほろ駅前多田便利軒/ウィキペディア

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

宮本武蔵/吉川英治

◆読んだ本◆
・書名:宮本武蔵
・著者:吉川英治
・定価:1〜8巻計6,040円
・出版社:吉川英治歴史時代文庫
・発行日:1989/11/1〜1989/12/26

◆おすすめ度◆
・宮本武蔵の半生度:★★
・剣士を目指す青春放浪度:★★★
・何度すれ違えばいいんだ度:★★

◆感想◆
剣士を目指す宮本武蔵の半生が描かれる時代小説。
放浪しながら剣の腕を磨く様子が、まるで僧侶のようにストイック。
武蔵を追いかけるお通も青春真っ只中。それにしてもすれ違いすぎる。
むやみに長く唐突な終わり方も、新聞連載の大衆小説として大人気を博していたため、伸ばしに伸ばした結果か。

宮本武蔵全一冊合本版 (吉川英治歴史時代文庫)
講談社 (2013-06-28)
売り上げランキング: 40,201

◆関連記事◆
宮本武蔵/ウィキペディア

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

ゴースト≠ノイズ(リダクション) /十市社

◆読んだ本◆
・書名:ゴースト≠ノイズ(リダクション)
・著者:十市社
・定価:1,700円
・出版社:東京創元社
・発行日:2014/1/30

◆おすすめ度◆
・ミステリーのようなホラーのような青春小説のような度:★★★
・いじめテーマの学園もの度:★★
・おおっ! おお? おぅぅ度:★★

◆感想◆
ちょっとした出来事をきっかけに、クラスの中で孤立するようになった高校一年生の一居士。クラスメイトから無視され“幽霊”のような存在の彼に、一人の女子高生が近づいてくるが…

中盤までは「いじめ」がテーマの学園小説みたいで、気分が暗くなること必至。
中盤からミステリー小説っぽい展開がでてきて「おおっ!」っとなるものの、盛り上がりに欠けるまま「おお?」な展開に。

いじめや友情をテーマにした学園小説に徹した方が、読んだ後も爽やかだったような気がする小説でした。

主人公の一居士と、クラスメイトの女子高生の会話は、お互いの心のうちを探り合うようで、心理描写がうまいとも言えるけど、なんだかまどろっこしいとも言えて微妙。
もっとスカッと、バーンといきたいものです。

本書は本の雑誌で「本年度のベスト級作品と断言してもいい傑作だ」と紹介されていて、「そんじゃ」と購入。
ちょっと期待が膨らみ過ぎたか。
湊かなえのファン向きかもしれません。

◆関連記事◆
「セルフパブリッシングで注目の、あの作家に聞く」 『ゴースト≠ノイズ(リダクション) 』十市 社さん/DOTPLACE
今年読んだ100冊の中で一番面白かった本は ゴーストノイズリダクションでした。/ふりむけばコウホウ

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

雪月花黙示録/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:雪月花黙示録
・著者:恩田陸
・定価:1,600円
・出版社:角川書店
・発行日:2013/12/31

◆おすすめ度◆
・シュールな展開度:★★
・サイケな世界度:★★
・キッチュな文化度:★★

◆感想◆
近未来の日本を舞台にした学園&アクション小説。

なんだかちょっと昔の日本を舞台にした一風変わったライトノベルのようでもあるが、美青年&美少女剣士やド派手な未確認飛行物体やとってつけたような生徒会長選挙やスライム状のバケモノや妙に親切なラーメン屋の双子親父などなどが山盛りで、とってもシュールでサイケでキッチュ。

チャンバラシーンを交えながら、ミヤコという文化都市の謎に迫る美少年美少女剣士たち!な展開に、おじさんな自分はタジタジ。

恩田陸、チャレンジャーです。

キラキラとした本の装幀が、内容とベストマッチです。

◆関連記事◆
雪月花黙示録/アマゾン(著者本人がコメントしてる動画です)

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

レジスタンス、ニッポン/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:レジスタンス、ニッポン
・著者:戸梶圭太
・定価:1,600円
・出版社:双葉社
・発行日:2013/3/24

◆おすすめ度◆
・型破り結婚相談所&革命小説度:★★
・型破りな展開度:★★
・型破りな登場人物度:★★★

◆感想◆
バンドでのメジャーデビューの夢を断たれた活人は、叔父の経営する結婚相談所で働くようになるが…

自分のことしか考えない常識はずれの会員ばかりの結婚相談所。
「そりゃあ相手が見つからないよ」なヒドイ大人たちの姿を、トカジらしい激ヤバな表現で描写しつつ、主人公活人が世の中に失望するのが前半。
後半ではなんと、そんな「腐った日本に革命を!」な、型破りの展開。

傭兵やテロリストの登場など、脈絡があるようなないような、意表をついた展開で考え込んじゃいます。
が、そんなことは気にせず、型破りな罵詈雑言に感動するのもいいかと。
これだけ悪口を考えるだけでもけっこう大変そうですが、トカジジャンキーにはちょっと物足りないかも。

同時期に出版された「おじいちゃんもう一度最期の戦い」
こっちの方が、激しくぶっちゃけてます。

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

はぶらし/近藤史恵

◆読んだ本◆
・書名:はぶらし
・著者:近藤史恵
・定価:1,500円
・出版社:幻冬社
・発行日:2012/9/25

◆おすすめ度◆
・ちょっと怖いサスペンス小説度:★★
・男には描けない女性心理度:★★★
・むずむずもどかしくなる度:★★

◆感想◆
一人暮らしをしている脚本家の鈴音。高校時代の友人・水絵から突然「相談したいことがある」と連絡を受けるが…

リストラされ、旦那とも別れてしまい、子供と二人で途方に暮れている水絵。彼女は一週間だけでいいからた水絵の家に泊めて欲しいという。
しかし一緒に暮らし始めると、常識とわずかに異なる水絵の行動や言動が気になり始めるという展開。

そりゃ気になります。
新しいのを買ってきたからといって、貸した歯ブラシを、しかも1回使ったものを返されたらドン引きです。
もうその時点で蹴飛ばしてい追い出してやればいいものを、気のいい鈴音は相手を思いやって親切にしてしまう。

これはミステリー小説というより、不可解で不条理な女性心理をサスペンスタッチで描いた、困ったちゃん小説ですね。
女性心理には興味ありますが、こんなねちねちとした描写はあんまり自分好みではなく残念。
読んでいてむずむずともどかしく、「もっとダイナミックでドバーッとした展開にして!」と、叫びたくなる思いでした。

ねちっこい性格のへんてこな女性に興味がある方は是非。

本当に困って居候するなら愛想良く、悪意をもってそうするならさっさと悪事を働くのが普通の男の考えること。
女性だとそうならないところが不可解で不条理ですね。

◆関連記事◆
近藤史恵『はぶらし』特設サイト/Webマガジン幻冬舎

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

エス/鈴木光司

◆読んだ本◆
・書名:エス
・著者:鈴木光司
・定価:1,500円
・出版社:角川書店
・発行日:2012/5/15

◆おすすめ度◆
・「リング」みたいなホラー小説度:★★★★
・「らせん」みたいなサスペンス小説度:★★★
・「ループ」みたいなSF小説度:★★
・シリーズの続編度/納得の結末度:

◆感想◆
自殺の模様をネットで公開したという動画ファイル。映像制作会社に勤める安藤は、社長の米田から動画の分析を依頼されるが…

前半のホラーな展開は、まるで「リング」の続編みたいで、目新しさこそ無いもののけっこう面白く読んでいたけど、後半になると、なんだか「リング」と「らせん」と「ループ」が混在した展開に。
リング3部作をリミックスして1冊にしたような感じ。

リング3部作はホラーな「リング」はじまり、サスペンスな「らせん」、SFな「ループ」へと続き、読み進むと「何っ!」な掟破りとも取れる大胆な展開にビックリ仰天なんだけれど、それを1冊にリミックスしたような本書には、無理が見え隠れするような。

帯には「映画『貞子3D』原作」の文字が強調されているし、そうゆう大人の事情もあっての「エス」なのかも?
本書をいきなり読むより、「リング」「らせん」「ループ」を順番に読む方が3倍は面白いと思う。

小説の「リング」はとっても面白怖いホラー小説だったけど、映画の「リング」もテレビから出てくるシーンはのけ反るほど怖かったなあ。
映画「キャリー」のラストに匹敵するくらいののけ反り度だ。

◆関連記事◆
鈴木光司『エス』(角川書店) を読む/ポケモン的なるブログ
辻褄合わせに過ぎない「エス」/中年音楽狂日記

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

次のページ

FC2Ad