だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ちゃれんじ?/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:ちゃれんじ?
・著者:東野圭吾
・出版社:実業之日本社
・定価:950円
・発行日:2004/5/25

◆評価◆
・おっさんスノーボーダーのできるまで度:★★
・ウインタースポーツ奮闘記度:★★
・おまけにマニアックな短編小説も度:★★★

◆ひとこと◆
40代半ばでスノーボードに挑戦する作家の奮闘エッセイ。
おまけに、マニアックなミステリーだったり、ロマンチックな短編だったりする小説もついている。

作家というと、スポーツなんかはあんまりしないイメージがあるが、東野圭吾は、なかなかのスポーツ好きのよう。
子供のようにスノーボードにのめり込み、無邪気にはしゃぐ様が面白い。
著者のファンは、新たな一面を発見できて興味深いかも。

元東野圭吾ファンクラブ会長にして、メフィスト賞作家の黒田研二の、「飛びながらイク」という究極の一人快楽術は、超マニアック。
どんな分野にも達人はいるもんだと感心する。


ちゃれんじ?
ちゃれんじ?東野 圭吾

おすすめ平均
starsスポーツの楽しさとは何か?
stars爆笑スノーボート成長記?
stars肩の凝らない話♪
starsやる気もりもり
stars雪山が恋しくなってしまう本。

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幽霊人命救助隊/高野和明

◆読んだ本◆
・書名:幽霊人命救助隊
・著者:高野和明
・出版社:文芸春秋
・定価:1,600円
・発行日:2004/4/10

◆評価◆
・自殺者の苦悩と解放度:★★★
・陰々滅々/愛と救い度:★★★
・トンデモ人命お助け隊度:★★

◆ひとこと◆
受験に失敗し自殺した高岡。彼はなぜか変な山のてっぺんで、おかしな3人組に出会う。さらに自称神様の老人が現れ、おまえたち4人が自殺した弁償として、地上の自殺者の命を100人救えというが…

自殺した4人が、天国でも地獄でもないへんてこな山に居て、おまけに神様からトンデモなミッションを受けるという出だしに、少々違和感を覚える。
くり出されるひと昔前のギャグも、なんだかいまいち。自分が職場で話しているオヤジギャグもこんな感じかと思うと、落ち込む。
物語は、そんな風に落ち込んだ人たち(下手なギャグでではなく、借金苦や恋愛や鬱病などで、人生をはかなんでいる人達だけど)を、自殺から助けるというもの。

いろんな人が自殺に走る動機や過程が描写され、結局は自殺からは救われるんだが、 読んでいるとだんだん凹んでくる。身につまされる。
登場人物のコミカルな部分を持ってしても、全体的に暗ーい印象が弱点かな。

でも、思わずほろりとくる場面も。
ネクタイにホコリが付いていたことを知った妻が、夫を心配するシーンは、白眉。本書の中で一番輝いている文章。
ラストもにくいねぇ。


幽霊人命救助隊
幽霊人命救助隊高野 和明

おすすめ平均
stars子供が思春期に読ませたい
stars非常によく出来てます
stars教材にしたい
stars題材は良いが、詰めが甘い。
stars感動物として

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フェッセンデンの宇宙/エドモント・ハミルトン

◆読んだ本◆
・書名:フェッセンデンの宇宙
・著者:エドモント・ハミルトン
・出版社:河出書房新社
・定価:1,900円
・発行日:2004/4/30

◆評価◆
・古典こてんSF度:★★
・今読めばSFというよりファンタジー度:★★
・様々なアイデアの源泉度:★★★

◆ひとこと◆
天才的科学者フェッセンデン。彼が大学にこないことを心配したブラッドリーが彼の屋敷を訪ねるが、そこで見たものは「宇宙」だった…

「フェッセンデンの宇宙」は古典的名作といわれているらしい。SFが好きなどといいながら、古典を読んでいないのはマズイだろうと、それに新訳でもあるし、と思い購入。
どの短編も、アイデアに溢れ奇想天外,読者の度胆を抜く展開。といいたいけど、現在のSFを読みなれた人には、懐メロを聞いているような感覚。
理路整然としたSFというジャンルではなく、ファンタジーそれもちょっと物悲しく厭世的な。

発表されたのが1930年代が中心。当時にしてみればとんでもない小説だったろうことは、容易に想像ができる。
小説の中で出されるアイデアも、今ならそのリメイクやバージョンアップしたアイデアにいくらでもお目にかかれるが、それが戦前に考えられていたということに、感動する。

自分の息子を正しいSF信奉者に育てるためには、まだ素直な時期に本書を読ませるのが有効。
中高年のSFファンが、むかしを懐かしむのにも有効か。


フェッセンデンの宇宙 (全集・シリーズ奇想コレクション)
フェッセンデンの宇宙 (全集・シリーズ奇想コレクション)中村 融

おすすめ平均
starsスペオペ大家の深淵
stars古き良き時代の魅力ある作品群
starsハミルトンの多様な魅力を一冊に
starsやっぱりハミルトン
stars今読んでも

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からくりアンモラル/森奈津子

◆読んだ本◆
・書名:からくりアンモラル
・著者:森奈津子
・出版社:早川書房
・定価:1,600円
・発行日:2004/4/30

◆評価◆
・フェチ+SF+少女小説度:★★★
・若き女性達の愛と性度:★★★
・興奮度:★★

◆ひとこと◆
アンドロイド、タイムトラベルと、手法や情景はSFだが、若い女性が主人公の恋愛(性愛)小説。

少女小説のような登場人物とSFチックな設定に、エロチックでフェティッシュな描写は、妙な感じ。
具体的な性愛描写が女性の著者によるところは、新鮮に感じる。男が書いても女が書いても、そんなに大きな違いは無いようで、なんかちょっと残念な気もするが。

ただ設定は、女性作家ならでは。
特に印象に残ったのは「あたしを愛したあたしたち」
12才の藍子が、タイムトラベルしてきた15才と19才の自分に、セックスを手ほどきされる。しだいに藍子は… という、究極のナルシズムというかレズビアンというか。
こんな設定、よく考えたものよ。

しかしこんなのあり得ないだろう?
自分自身は性愛の対象となるのかなぁ? ならないだろう?
自分とセックスしたいと、そう切望している人も世の中にはいるんだろうか。

自分のクローン育てて、一緒に生活しようとか考えてる人もいるのかな?
人間の倒錯した性って、奥が深い?から、中には自分のクローンと性転換した自分がソフトSMする(なんでソフトなんだ?)姿を妄想し興奮するような大物政治家、なんてありなのかも。


からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)
からくりアンモラル (SFシリーズ Jコレクション)森 奈津子

おすすめ平均
stars切ない短編集
starsSFシリーズの1冊ですが断じてSFではありません
starsタイムトラベル、自己愛、同一化、アンドロイド、吸血鬼ならぬ吸精鬼。

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そして、警官は奔る/日明恩

◆読んだ本◆
・書名:そして、警官は奔る
・著者:日明恩
・出版社:講談社
・定価:1,900円
・発行日:2004/2/29

◆評価◆
・警察ものミステリー小説度:★★★
・警察官とはなんだろう度:★★
・癖のある登場人物と硬派な内容度:★★

◆ひとこと◆
独身の歯科医である三鷹健太郎の家から、いるはずのない少女の声が聞こえる。
隣人の主婦の訴えにより、蒲田署の和田と武本は三鷹の家を張ることに…

帰宅した三鷹を捕まえ、なかば強制的に家の中に入った和田と武本が見たのは、様々な衣装やカラフルなカツラ、そしてSMグッズ…
出だしのツカミはOK!
いったいどんな物語になるのか期待したが、出だしとは違って硬派な内容。
いわば「国籍のない子供達」に対して、周囲はどう対峙するのか。
そこには善意だけでなく悪意も介在する。
警察官は、その善意/悪意に、どう向かうのか。

ことあるごとに語られる警察官としてのありかただとか、犯罪者に対しての考え方に、少々辟易する。これが主題の一つでもあるんだが、登場人物が長々と喋ったりしないで、行動や行間で語って欲しい。

癖のある登場人物も、なんか変。
「冷血」とあだ名された和田の取り調べ方法や、和田を冷血にさせた過去の事件。(そりゃ冷血になるわい)
無口で表情のない武本の、恐ろしく一本気な性格。(こんな奴いるのかな)
その武本を「先輩」と呼びながらまとわり付く潮崎。
この潮崎。警官を一度止めて国家公務員試験を受けキャリアになることを目指す、前警視総監の息子にして格式ある茶道の本家家元の次男。
この男の行動がよく分からん。

武本を追いかけ朝食まで差し入れる様子は、アイドルの追っ掛けみたいで無気味。そのおしゃべりで屈託のなさにより、人とのコミュニケーションはうまいが、なんでそんなに首を突っ込みたがるのか、動機がよくわからない。
それになんでそんなにヒマなんだ。
国家公務員試験に受かり、入庁するまでのフリーな状態なんだろうが、他にやること無いのかと思っちゃう。

出だしの変態的ツカミ、ラストの危機迫る展開、どちらもうまく書かれているので、全体に長すぎるのが残念。
硬派な(説教くさく理屈っぽい)部分と、潮崎に関するすべてをなくせば、傑作になった。

この著者は、自分の天敵「高村薫」系の作家だな。


そして、警官は奔る
そして、警官は奔る日明 恩

おすすめ平均
stars人間味溢れる警察小説
stars武本のファンになりました!
stars本当に期待していただけに...
stars最後まで読めなかった最低のキャラ設定
stars帰ってきたヒーロー。

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イニシエーション・ラブ/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:イニシエーション・ラブ
・著者:乾くるみ
・出版社:原書房
・定価:1,600円
・発行日:2004/4/5

◆評価◆
・帯に書いてある通りの仕掛け度:★★★★
・うぶな青年の恋物語/いくつかの通過儀礼度:★★★★
・やっぱし女の方が逞しいという側面まで描写度:★★★

◆ひとこと◆
真面目な鈴木(たっくん)は、友人の望月から合コンに誘われる。そこで出会った成岡(マユ)に、たっくんは惹かれて行くが…

合コンもカラオケもしたことのないたっくんが、マユを恋しく思うようになる様は、恥ずかしくなるくらいの青春小説。
しかし帯には「ぜひ、2度読まれることをお勧めします」のうたい文句が。
この恋愛小説のどこに文章の罠や伏線があるのか、注意深く読み進む。それらしい所はチェックしたものの、最後は著者の企みにまんまとハマってしまった。
おみごと!

おまけに、女性の逞しさ(ふてぶてしさ?)まで描き出したりして。
物語の設定上の産物かもしれないが、このアンバランスな感覚もいい。可愛がっていたタマが、どこぞのオスネコの仔を身ごもっているのに気付いた時のような感じ。
これをもっと強調すば、より読者を惹き付け驚かす小説になったかも。
おしい!

でも、たっくんとマユには、幸せになって欲しいね。
新たなる通過儀礼があるかもしれないけど。


イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)
イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)乾 くるみ

おすすめ平均
starsターゲットはどこに?
starsよくできた作品
stars本を読むことはストイックだが、本を書くことはもっとストイックな気がした。
starsドンデン返しはすごいけど、作品としては・・・
stars期待はずれ

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臨場/横山秀夫

◆読んだ本◆
・書名:臨場
・著者:横山秀夫
・出版社:光文社
・定価:1,700円
・発行日:2004/4/20

◆評価◆
・警察ものミステリー度:★★
・ニヒルでクールで腕利きの検視官度:★★★
・ドラマチックな展開度:★★★

◆ひとこと◆
「終身検視官」の異名をもち、ヤクザのごとき風貌と辛辣な物言いでにらみをきかす倉石調査官、52才。上からはうとんじられている反面、下からは「校長」と呼ばれ、その眼力ゆえの信奉者も多い。彼が事件現場に臨場した時、事件の物語がはじまる…

一匹狼的な仕事ぶりと、その実績から一目置かれる倉石。クールでありながら、人の心の機微まで解した調査ぶり。 カッコ良すぎるぜ!
(カッコよすぎて、いささか浮いてる感はあるが)

事件現場のわずかな痕跡を見逃さず、犯人を突き止める眼。
(都合良すぎ)
犯行に及んだ背景までをも配慮した、事件の真相解明劇。
(書き込みが足りない気も。短編の宿命か)
石倉のスーパーぶりとドラマチックな結末が妙味。
(ドラマというには、いささか安易なところもあるが)
ファンには超お勧め!
(ファン以外には勧めないということ?)


臨場
臨場横山 秀夫

おすすめ平均
starsカリスマ鑑識調査官・倉石義男の事件簿
stars横山秀夫恐るべし
stars物語の裏に潜んだ本当の物語!?
stars面白かった
starsなぜこんなに面白いの

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空中ブランコ/奥田英朗

◆読んだ本◆
・書名:空中ブランコ
・著者:奥田英朗
・出版社:文芸春秋
・定価:1,238円
・発行日:2004/4/25

◆評価◆
・お笑い神経治療度:★★★★★
・注射フェチの神経科医と露出狂でヒョウマニアの看護婦度:★★★★
・読者の悩みも完治度:★★★★★

◆ひとこと◆
だぶだぶの巨漢にして注射マニアの神経科医伊良部。ヒョウに異常な興味を持つ不愛想なフェロモン看護婦マユミ。彼等のもとを訪れた患者達は、いったいどういう治療を受けるのか…

空中ブランコに失敗する空中ブランコ乗り(それって空中ブランコ落ち?)、先端恐怖症のヤクザ(爪楊枝に怯えるヤクザ 笑える)、どれも自分のアイデンティティーを脅かす悩みを抱えて、伊良部を訪ねる。 それをデブの注射マニアで子供のような無邪気さを持つ伊良部が治療?するという、とんでも小説。

しかしこれが笑える!うまい! それでいて心にしみ入る!
いろんな人がいろんな事で悩んでいるけど、それをテーマにこれだけ明るい小説にできる手腕。
思わず声に出して笑ってしまう可笑しさ(大根には笑った)もあれば、読み終わった後、なぜか自分の悩みも解消されたようなカタルシスも。

前作「イン・ザ・プール」を慌てて再読したが、本書はそれをしのぐ面白さ。
シリーズ化して欲しい。


空中ブランコ
空中ブランコ奥田 英朗

おすすめ平均
starsシリーズ2弾目もおもしろい!
stars伊良部は止まらない。
stars普通に結末が読めてしまった
stars一度は通ってみたい
stars文句なしに面白い

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三億を護れ!/新堂冬樹

◆読んだ本◆
・書名:三億を護れ!
・著者:新堂冬樹
・出版社:徳間書店
・定価:1,800円
・発行日:2004/4/30

◆評価◆
・B級お笑い詐欺小説度:★★
・B級ど阿呆男度:★★
・二転三転する展開度:

◆ひとこと◆
同僚からだまし取るタバコ。デパ地下の試食品を昼飯代わりにし、飯代をうかす。そんなうだつのあがらない弱気のセールスマン河内は、三億円のジャンボ宝くじに、夢と希望とその他全部を賭けていた…

見栄っ張りなくせに弱気な河内。おまけにどう考えてもど阿呆な河内。そんな彼に三億円が当ったから、さあ大変! 妻や親戚から娘の彼氏までが三億円にむらがってくる。ついには腕っこきの詐欺師雨宮が、彼をターゲットに。
まあ、その先は推して知るべし。
緻密な計算や複雑な展開やあっと驚く落ちがない代わりに、これでもかというほどの河内の阿呆さと、妙ちきりんな登場人物に驚かされる。

著者は河内の間抜けざまを見せて、読者を笑わせようとしているのだろうか?
なんだか作者の自己中な物語の展開を助けるために間抜けでいるようで、また、間抜けざまも笑えないし呆れもしない。ただうんざりしてくるだけ。
たとえB級とはいえ、もうちょっとなんとかして欲しいよね。

ただ勢いはある。
これが小説の持つものなのか、著者の持つものなのか分からないけど、この勢いが無くなったら、もう読めません。


三億を護れ!
三億を護れ!新堂 冬樹

おすすめ平均
stars新堂本としては駄作
starsここまで笑わせてくれるとは!
stars笑った笑った
starsバカ面が見たい!
stars笑い終えると、わが身が・・・

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硝子のハンマー/貴志祐介

◆読んだ本◆
・書名:硝子のハンマー
・著者:貴志祐介
・出版社:角川書店
・定価:1,600円
・発行日:2004/4/20

◆評価◆
・密室トリックミステリー小説度:★★★
・小気味よいテンポと展開度:★★★★
・詳細な描写度:★★★★

◆ひとこと◆
六本木センタービルの最上階にある、ベイリーフ社の社長室。監視カメラ等の厳重なセキュリティシステムで防護されている部屋の中で、社長が撲殺される。
犯人はどうやってセキュリティを破り、社長を殺害したのか…

前半は、ベイリーフ社が雇った若手美人弁護士青砥純子と、防犯コンサルタント榎本径の調査がメイン。
防犯コンサルタント榎本の詳細で綿密な捜査が、なかなか良い味をだしている。
テンポも小気味よくロジカルな展開は、著者の本書にかける意気込みを感じる。
弁護士の青砥純子の方は、ちょっと中途半端な設定。賢いのか正義心が強いのかとてつもない美人なのか、いまいちつかめない。
榎本と青砥の性格を両極端にするか、コメディタッチにする手もあったか。

後半は、通常のミステリーとは違った展開で、いかに犯行が行われたかを、犯人がわから描き出す展開に。
前半ではあまり配慮されなかった犯行動機がしだいに明らかになり、犯行に至るまでの経緯が興味深くえがかれるが、その分「驚愕の落ち」は、ない。
ここらがちょっと不満。
犯行の動機も、途中ですり変ってしまったし(殺害する動機が弱いよね)。

しかしさすがは「黒い家」の著者だけはあって、読みはじめるとやめられない。
密室のトリックも相当考えたように読める。
いくらミステリー小説が好きでも、たいてい鼻クソホジホジしながら、「こいつ、ちょっと怪しくないか」とか思いながら読んでる(自分だけか?)くらい。
タイムテーブル作って時間の経緯を考えたり、いろんな伏線をメモッて矛盾点を検証したりはしないもんである。
そんな読者を相手にするんだから、著者も大変というか、トリックの考え甲斐がないというか。


硝子のハンマー
硝子のハンマー貴志 祐介

おすすめ平均
stars古典的だが革新的な、貴志ミステリの金字塔
stars話が長かったわりには…
stars貴志さんは、ミステリーよりホラーが天職
stars好きでも嫌いでもない。
stars犯人の悲しい人生が記憶に残りました。

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