だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

図書館戦争/有川浩

◆読んだ本◆
・書 名:図書館戦争
・著 者:有川浩
・出版社:メディアワークス
・定 価:1,600円
・発行日:2006/3/5

◆評価◆
・劇画タッチの戦闘訓練度:★★
・舞台を替えた青春恋愛小説度:★★★
・本に対する愛/正しい図書委員向け度:★★★★

◆感想◆
メディア良化法が施行され、その偏向した検閲に対して対抗するように成立した図書館の自由法。両者の抗争は激化し、死傷者が出るまでになっていた…

メディア良化法による行き過ぎた検閲とそれに対抗する図書館、という設定がなにやらおかしな感じ。
体制に迎合することなく自由を守るという信念は納得するが、なんで図書館なの?
おまけに体制側の良化特務機関が武装していれば、反抗する図書館側も警備隊で応戦するという。
米ソの冷戦構造か? 目的が手段を正当化するのか?

正しい青少年には、やや不適切だよね。
「正論は正しい。しかし正論を武器にするのは正しくない」などの素晴らしい文章が曇ってくる。
中盤のやや青い展開もかゆいし、冗長。

けど、そんなマイナス要因を吹っ飛ばす勢いで活躍するのが笠原郁♀。
持ち前の負けん気とお転婆ぶりで、図書館の防衛員を目指して軍事教練に励む姿が、若さと夢に溢れかえっている。
上官のシゴキにたいする罵詈雑言や同期の隊員や同僚との会話など、少女小説風の笑えるノリ。また、彼女の真直ぐな所と本に対する愛に、感動さえする。

もうちょっと設定が納得できれば、十分楽しめたのに。
微妙だ。

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キタイ/吉来駿作

◆読んだ本◆
・書 名:キタイ
・著 者:吉来駿作
・出版社:幻冬舎
・定 価:1,600円
・発行日:2006/1/20

◆評価◆
・モダンホラー度:★★★★★
・死者を蘇らすキタイとは?度:★★★★
・おぞましいB級サスペンスとグロテスクなB級アクション度:★★★★

◆感想◆
死んだ葛西を蘇らそうと、仲間たちは「キタイ」を行う。直後から幽霊や音、臭いに悩まされる。そして18年後、彼等の前に当時と変わらぬ葛西が蘇る…

「ペット・セマタリー」からパクった死者復活というテーマ。描写にもキングの影響を色濃く感じるが、それでもなかなか読ませる。
(もともとこうゆう小説が好きで、喜んで読んでるせいなのか?)
そして「パラサイト・イヴ」を思わせる超人的な主人公とアクション。これもけっこうハラハラドキドキ。

少々荒削りの部分はあるものの、物語の中盤では、高校生時代の甘酸っぱく淡い恋愛シーンもあったりして、けっこうテクニシャン。これが伏線にもなっているし。

久しぶりにモダンホラーを堪能。
キングやクーンツをむさぼり読んだ方や、こ難しい蘊蓄はウンザリという方には、うってつけの小説だ。

ちょっと毛色の変わった小説がお好きな方は、お試しあれ~!

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the TEAM/井上夢人

◆読んだ本◆
・書 名:the TEAM
・著 者:井上夢人
・出版社:集英社
・定 価:1,700円
・発行日:2006/1/30

◆評価◆
・軽妙な語り口のミステリー度:★★★★
・霊能者のホントとウソ度:★★★
・ひねった展開としゃれた落ち度:★★★

◆感想◆
盲目の霊能者能城あや子。彼女がTV番組で霊視する内容は、ことごとく当たる。しかしそのウラには、事前に相談者を調査するチームが…

いやーホント久々の著者の新刊。
するすると読める軽い文章、ちょっとせつなくユーモアにあふれた描写。井上夢人が健在していることを確かめられただけで、満足って思えてしまう。

物語は霊能者の能城あや子と、彼女をサポートするチームの、ちょっとスリリングでアブナイ感じの連作ミステリー。
少々ひねりや展開に往年の輝きがないような気もするが、著者お得意のIT関係の技術的を使った情報収集法や鮮やかな落ちなど、ファンには見逃せない小説。

ささっと書いているようで、こまかな気配りがされているところに、好感が持てる作家だよなぁ。
ほめてる割には点数低いけど。

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チーム・バチスタの栄光/海堂尊

◆読んだ本◆
・書 名:チーム・バチスタの栄光
・著 者:海堂尊
・出版社:宝島社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/2/4

◆評価◆
・医療ミステリー度:★★★
・リアルで専門的な外科手術シーン度:★★★★
・破天荒な厚生省技官の調査度:★★★

◆感想◆
左心室縮小形成術、俗称バチスタ手術。東城大学医学部付属病院で行われている高度で専門的なこのバチスタ手術で、3件続けて失敗し患者が死亡する。事態を憂慮した高階病院長は、神経内科医の田口医師に調査を依頼するが…

 ・助手、麻酔医、看護師などがチームを組んで行う手術シーン。
 ・大学病院という閉鎖社会での権力闘争。
 ・そして、患者が手術中に亡くなった原因は?というミステリー。

病院内の日常を織りまぜながら展開する調査は、著者が現役の医師ならではの納得の描写。
専門用語もバシバシでてきて、良く理解できないけどリアル。こういった専門的な固有名詞や描写って、なんかマニアっぽくっていい。

そんな専門医学的読みどころとあわせて、後半に登場する厚生省のヘンテコ役人のキャラクターと事件の調査が、トンデモなく突飛。
「特異で破天荒な性格の技官による調査」という著者のもくろみは、小説としてうまくいったのか?
白鳥技官のキャラクターは、ギリギリアウト! って感じ。
スーパー理論でバスバス聞き取り調査を行い、事件?の真相に近付いていくのは読んでいて豪快でいいけど、ちょっと嫌みがすぎる。

もう一言いえば、終わりが長過ぎ。
エピローグが5個くらいあるような終り方で、往生際が悪い。
ゆるくなった蛇口みたいで気持ち悪いって、それって俺の小便のキレと同じか!

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