だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

不祥・宮嶋のビビリアン・ナイト/宮嶋茂樹

◆読んだ本◆
・書 名:不祥・宮嶋のビビリアン・ナイト
・著 者:宮嶋茂樹
・出版社:祥伝社
・定 価:上1,600円 下1,600円
・発行日:上2007/8/5 下2007/9/5

◆評価◆
・イラク戦争取材記度:★★★★
・空爆も日常の出来事度:★★★
・ニュースでは見えないバグダッドの姿度:★★★★

◆感想◆
おちゃらけフリーカメラマンによるイラク戦争撮影記。

相変わらずのおちゃらけ文体で笑わしてくれるが、本書の内容はまさに戦争の最前線でのルポ。文体とは逆に、状況は非常にシリアスだ。
やや時期外れの感はあるが、TVでも映像の流れたシーンと重なる部分があったりして、リアルさも100%。
著者の本の中では最高の臨場感と衝撃に満ちている。

やや偏向気味の戦争観に、好意的な人と反感を抱きまくりの人と、まっ二つに分かれそうだが、そんな観念的なものを吹き飛ばしてしまう迫力が!!

寝泊まりしていたバグダッドのホテルに戦車の砲弾が打ち込まれ、隣の部屋にいた取材クルーは亡くなってしまい、氏もあまりのことに茫然自失の状態になったり(アメリカ軍戦車が報道関係者の宿泊するホテルに砲弾を打ち込む!)、車で移動中アメリカ軍の戦車に出くわしたり(取材はもっぱら車なのね)。
かと思えば、イラク情報省役人の俗物ぶり(これは儲かりそう)や、取材記者達の生活(風呂やメシに不自由)や、アラブ人の日和見・自分勝手ぶり(バグダッドが陥落したとたんアメリカ万歳&略奪の荒らし)が描かれて、毎日の生活や取材がとんでもなく物騒だ。

遠く離れた日本でTV画面を見ている分には、対岸の火事でしかないが、なまの戦場とはどんな所なのか窺い知るには、変にしゃっちこばってる戦記物や戦争論なんかより良いかも。

著者のサイトで写真も一緒に見れば、そのすごさがヒシヒシと伝わってくる。

不祥・宮嶋のビビリアン・ナイト/宮嶋茂樹の表紙
 

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不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!/宮嶋茂樹

◆読んだ本◆
・書 名:不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!
・著 者:宮嶋茂樹
・出版社:河出書房新社
・定 価:1,200円
・発行日:2007/8/30

◆評価◆
・正しい少年のための人生指南度:★★
・あまり正しくない少年のための説教度:★★
・著者本人への縛り度:★★★

◆感想◆
「14才の世渡り術」と冠した、少年向けの人生指南書シリーズのなかの一冊。
カメラマンという著者の職業にちなんだ、情報の見方やメディアに対しての接し方など、少年が大人の世界に接触する時の注意点が書かれている。

さすがに少年向けということでいつものおちゃらけ文章は鳴りを潜め、いたって普通の語り口。
それでも報道写真への情熱や、TVニュースキャスターへの批判、メディアのウソのつき方など、少年には読みごたえのある内容か。

しかし少年への啓蒙書って、書いた本人を縛り付けることになりそうな感じ。
本シリーズのような「正しい」方向性を打ち出さなければならない本だと、あからさまな毒やエスプリを効かせた内容にするわけにもいかず、かといって間違った事を書くこともできず、基本と正道みたいなことしか書けない。
それを書いてしまうことで、逆に自分の行動を縛り付けるようなことになりそう。

いいおとなになれば、そうそう清く正しいことばかりしているわけもなく、そんな大人が書いた本の内容が、清く正しいことばかりというのもヘンだし。
大人なら、そのへんの機微を分かって読んでいるだろうが、少年はストレートに受け取りそうで怖い。
また、それを想定すると、著者は清く正しいことしかできなくなりそうで。

ま、そんな事を気にせず、正しい少年の心を裏切りまくるのが、大人というのものだが。

不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!/宮嶋茂樹の表紙
 

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千鶴子には見えていた!/竹内久美子

◆読んだ本◆
・書 名:千鶴子には見えていた!
・著 者:竹内久美子
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,524円
・発行日:2007/7/30

◆評価◆
・目からウロコの科学読み物度:★★★
・そんなバカなの生き物の神秘度:★★
・ちょっとオトナの遺伝子論度:★★

◆感想◆
こないだ宮部みゆき「楽園」を読んだのをきっかけに、「龍は眠る」宮部みゆき、「職業欄はエスパー」森達也と、超能力モノを立て続けに読んで、にわか超能力マニアとなる。
なんか世の中には不思議が満ちあふれているなぁ なんて思っている時に「千鶴子には見えていた!」を発見。
久しぶりに著者の本を読むきっかけは、なんといってもその題名。にわか超能力マニアは見のがすことのできない題名だ。

本書は週間文春に掲載された「読者からの生き物に関する質問に動物行動学者の著者が答える」形式のノンフィクション。
「利己的な遺伝子」【遺伝子は自らのコピーを増やすためだけにひたすら利己的だ】という観点から解きあかされる生き物の振る舞いは、理系人間には納得の理論。
はじめて著者の本や「利己的な遺伝子」という考え方に接する読者には、超ビックリ本だろう。

ただ残念なことに題名に関するくだりは、東京帝大福来友吉助教授が行った御船千鶴子の「透視」実験に関する経緯を紹介するだけのもの。

「利己的な遺伝子」という面から超能力を論じて欲しかったなあ。

ま、超能力があれば誰よりも生物的に有利になるのは間違い無さそうだが、「龍は眠る」や「職業欄はエスパー」に登場する超能力者(「龍は眠る」はフィクションだけど)の実生活を見ると、平凡能力者の想像を超えた苦難がありそうで、それなりの覚悟は必要。

見えないモノは見えないままにしといて、たまにチラッと見えるのが人生の幸せというものだろう。

千鶴子には見えていた!/竹内久美子の表紙
 

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シャーロック・ホームズと賢者の石/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:シャーロック・ホームズと賢者の石
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:カッパ・ノベルス
・定 価:819円
・発行日:2007/6/25

◆評価◆
・ホームズ・パロディ短編集度:★★
・こんな所やあんな場所で度:★★
・こんな登場人物やあんあ登場人物も度:★★★

◆感想◆
シャーロック・ホームズのパロディ。
多彩な作風で、過去の映画などをネタにした小説を多く書いている著者には、得意とする内容か。

しかし、シャーロック・ホームズ、古すぎない?
自分だって読んだのはウン十年前だし、元ネタの記憶は耳あかと一緒にずいぶん昔にどっかにいってしまっておる。
光文社の拡販戦略に著者のテクニックが使われた、って感じだなぁ。

それでも、日本が舞台になったり有名人が登場したりと、いろんな脚色がされており、おまけにホームズのパロディに関する解説もあったりして、ホームズファンには見逃せない本のようだ。

自分は正しいホームズファンじゃなかったので見逃してもよかったが、著者のファンということで読んでしまったのである。
でも「バリー・トゥード」とか「アレキサンドライト」とかにちょっと詳しくなったりして、もとはとった。よかった。

シャーロック・ホームズと賢者の石/五十嵐貴久の表紙
 

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