だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ダイイング・アイ/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書 名:ダイイング・アイ
・著 者:東野圭吾
・出版社:光文社
・定 価:1,600円
・発行日:2007/11/25

◆評価◆
・ミステリータッチのサスペンス度:★★★★
・SFチックなホラー度:★★★★
・夢に出てきそう度:★★★★★

◆感想◆
深夜、自転車で自宅に向かっていた美菜絵。信号待ちをしているとき、後ろから来た車にはねられてしまう。その瞬間、走馬灯のように浮かぶ半生。今までの幸せだった生活を突然終わらされたことに対する憎しみと恨み。彼女は運転している人を睨みつけながら死んでいく…

物語の主人公は、美菜絵の交通事故の関係者である慎介。
彼は何者かに頭部を強打され、記憶の一部がなくなってしまう。その記憶を取り戻そうとするうち、美菜絵の交通事故にからむ様々な謎が分かってくるという仕掛けだ。

展開はミステリータッチだが、美菜絵の夫がマネキン職人だったり、謎の妖艶な美女が登場したりと、ホラーな味付け満タン。
この妖艶な美女が、なんたってうすら怖い。

神秘的な表情、男を試すようなそして誑かすような言葉、そして目。

なんだか悪夢に出てきそうだ。

怖いよー、一人でトイレに行けないかも。
でもちょっとだけなら、お手合わせしてもいいかも。

ダイイング・アイ/東野圭吾の表紙
 

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MM9/山本弘

◆読んだ本◆
・書 名:MM9
・著 者:山本弘
・出版社:東京創元社
・定 価:1,600円
・発行日:2007/11/30

◆評価◆
・怪獣SF度:★★★
・多重人間原理と神話度:★★★
・ウルトラマンのリアル版度:★★★

◆感想◆
MM(モンスター・マグニチュード)9!
これまで確認された最大の怪獣はMM8.9。MM9クラスの怪獣は伝説の存在だった。気象庁特異生物対策部が発令した怪獣注意報は…

ウルトラマンに出てくるような怪獣が主人公という、トンデモSF。しかしながら、きちんとハードにSFしているところがすばらしい!

ウルトラマンの科学特捜隊ならぬ気象庁特異生物対策部(気特対)の面々が、現実の物理法則を超えた現象として現れる怪獣を相手に戦いを挑み、国民の安全を守ろうと活躍する。
なんだかウルトラマンそのまんま、といった展開だが、これも作者の巧みな構成の一つ。やるなぁ。

怪獣と戦うシーンや登場人物の行動はややアニメ風だが、多重人間原理や神話を織り込んだ怪獣の存在メカニズムを解き明かすくだりは、著者ならではのSF的ロジックを披露。
なかなかいいぞ! 
納得はしにくいけど。

MM9/山本弘の表紙
 

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進化の設計者/林譲治

◆読んだ本◆
・書 名:進化の設計者
・著 者:林譲治
・出版社:早川書房
・定 価:1,700円
・発行日:2007/9/25

◆評価◆
・海洋冒険SF度:★★
・地球環境シミュレータの解度:★★
・近未来メガフロートの建設度:

◆感想◆
海洋開発研究機構の吉野尚美は、スーパーコンピュータを使った気象予測シミュレーションと大きく違った台風7号の現地調査を行っていた。今までとは違うなにか根本的な問題があるのではないか、それは何なのか…

大型台風の予想はずれ、スマトラ沖ので巨大人工島建設にまつわる事故、阪神北市でのジャーナリストの失踪。それぞれが不穏な展開をしながら、しだいに繋がって行く物語。

うーん、期待はずれの内容と展開。
題名から想像するような、進化にまつわる観念的+ハードなSFではないし、帯にあるようなサスペンス風味もわずかだし。
地球シミュレータ、メガフロートといったSF的小道具もありきたりで工夫もないし。
物語の展開も強引なら、登場人物にも魅力がない。
情景描写もいまいちで、シーンがリアルに想像できない。

なんだかいいとこ全然ないぞ!

ウロボロスの波動」「ストリンガーの沈黙」は、そのハードSFぶりが気に入ったが、本書にはハードぶりはないな。
それでも投げ出さずに最後まで読んでしまうのは、なんでだろう。

考えるに、本書は青少年向けの冒険SFで、物語の整合性やSF的テーマより平易な文章と分かりやすさを基本としたためか。
なんか漫画の原作みたいでもあるし。

進化の設計者/林譲治の表紙
 

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「狂い」の構造/春日武彦,平山夢明

◆読んだ本◆
・書 名:「狂い」の構造
・著 者:春日武彦,平山夢明
・出版社:扶桑社新書
・定 価:720円
・発行日:2007/9/1

◆評価◆
・俗っぽい「狂人」対談度:★★★★★
・いかにして狂人となるのか度:★★★
・狂人の生態度:★★★

◆感想◆
精神科医と作家による、いいたい放題低俗狂人放談。

アカデミックでもなく、かといってまるで事実無根でもなく、興味本位の読者の知識欲をそれなりに満足させる対談集だ。
妙に格式ばったりしてないところがいいぞ!

「めんどくさい」が狂人の始まり、狂気は生活の知恵、といったB級格言に納得したり、黒川紀章や有吉佐和子などの有名人に関するゴシップまがいの言及もあったりして、エンターテイメント性もばっちり。
けっこう楽しめる本になっている。

読んでいくうち自分は真人間なのか心配になって、急に家の中をかたずけたりして。

多少なりとも自分に狂気を見いだしているか見いだそうとしているあなたには、ぴったりの本だ。
また、ミステリー小説に登場する犯人像にいまいち納得がいかない人にも、オススメ。

「狂い」の構造/春日武彦,平山夢明の表紙
 

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