だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

鬼の跫音/道尾秀介

◆読んだ本◆
・書 名:鬼の跫音
・著 者:道尾秀介
・出版社:角川書店
・定 価:1,400円
・発行日:2009/1/31

◆おすすめ度◆
・落ちの見事なミステリー小説度:★★★
・猟奇的で性的な短編度:★★★
・狂気と正気の狭間度:★★★

◆感想◆
猟奇的な殺人事件や犯罪を主題にした、ミステリー短編小説。

ちょっと狂気っぽい非日常的なところと、展開に性的な要素が関わっているところが印象的。
文章が上手なのかあざといのか、微妙な感じも。

ミステリー小説としての落ちはうまいし、展開もそつがない。
でもあんまり心に残るような物語とはいえないかな。
ちょっとあっちの世界に入っているような人物や展開があり、ホラーっぽくて面白い。
けど、ちょっと下品かな。

自分にはちょと不向きなミステリー小説か。
逆に、たとえば「独白するユニバーサル横メルカトル」が面白かった方にはオススメだ。
うん、なんかちょっと同じようなニオイがする本だ。



恐竜



本書にやや批判的なのは、自分の方に原因がある。
なんだか最近、猟奇的だったりグロテスクだったりする本は、ダメなんである。

若い頃は肉ばっかり食べていたのに、歳を経ると魚が好きになったりと、食に対する嗜好が替わるように、本に対する嗜好も替わるようだ。
そう思うと、音楽も映画も好きなタイプが替わっているような気がする。

なんか草食動物っぽいのが、最近の好みなんである。
女性の好みだけは替わらないような・・・


鬼の跫音/道尾秀介の表紙
 

◆他サイトの感想◆

身勝手な書評たち -書評のブログ-
ミステリ畑
夜思比売の栞

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英雄の書/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書 名:英雄の書
・著 者:宮部みゆき
・出版社:朝日新聞社
・定 価:上1,600円 下1,600円
・発行日:2009/2/15

◆おすすめ度◆
・冒険ファンタジー小説度:★★★
・兄を救おうとする少女の物語度:★★★
・明と暗/正しきものと悪しきもの/すべてには裏と表が度:★★

◆感想◆
友理子は授業中に先生から呼ばれ家に帰るよう言われる。急な呼び出しに不安を募らせる友理子は、中学生の兄が、学校で事件を起こし行方不明になっていると知らされ・・・

出だしのつかみは素晴らしく、さすが宮部みゆき!
と思ったが、読み進めていくうち、どうやら読者層は主人公の友理子と同じ小学生高学年。
おじさんにはやや辛い展開だ。
それでもおじさんに最後まで読ませる筆力は、素晴らしい。

事件を起こした兄を助けようと、異世界に踏み込んだ友理子の、恐怖と愛と勇気の物語。
「ブレイブストーリー」や「ICO」みたいなファンタジックな展開で、「おそろし」のような人の心に棲む悪しきモノをテーマにしてる。
登場するファンタジックなアイテム、アニメっぽい登場人物、幼いけれど勝ち気な友理子の性格など、やっぱり小学生向きかな。
造本もしっかりして、小学校の図書室に備えるのが似合っている本かも。

おじさん向きではないけれど、子供たちがちょっと背伸びして読むには、ハラハラドキドキの手に汗握るファンタジー冒険小説。



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本書で印象深かったのは、小説のもつ力についての著者の畏れ。
物語の作者としての責任というか、作者の意図しない影響力をも小説が持っていることに、著者が神経質なまで注意を払っているように見える。

なんかイヤな事でもあったのか?

多くの人に小説が読まれるほど影響力は強くなり、著者の思いとは違う感想を抱く人も多くなるもの。
ま、小説だろうとなんだろうと、発言した人の意図とは逆に悪意をもって捉えられることはままあるし、また小説をどう読もうと読者の勝手だし。
あんまり考えすぎると小説を書く意欲がなえてしまうぞ。
(深読みし過ぎか?)

政治かなんかは自分の発言の影響力を考慮して、慎重になるべきだろうがね。


英雄の書/宮部みゆきの表紙


◆他サイトの感想◆
ミユウのいろいろ日記
宮部みゆきのファンタジー『英雄の書』/All About

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臨床真理/柚月裕子

◆読んだ本◆
・書 名:臨床真理
・著 者:柚月裕子
・出版社:宝島社
・定 価:1,400円
・発行日:2009/1/24

◆評価◆
・おどろおどろしいサスペンス度:★★
・いったい誰が?度:★★
・特異な能力と可憐な少女度:

◆感想◆
障害者施設で自殺を図った少女。救急隊が駆けつけ病院に搬送する途中に、少女の脳波が止まる。そのとき、救急車に同乗していた青年が「お前が彩を殺したんだ!」と叫び暴れ・・・

救急車で運ばれる途中に息を引き取った失語症の少女彩。
彩と中の良かった青年司は、事件のショックから病院の精神科に入院する。
担当の臨床心理士の美帆は、司の病状を回復させるには、彩がなぜ死んだか、その理由を明らかにする必要があると考え調べ出す。
真相が明らかになるに従い、彩や司のいた施設への疑いが濃くなっていく、という展開だ。

序盤でおおよその展開が読めちゃうし、著者も中盤で物語の方向を明らかにしてるし、驚くようなどんでん返しはないけど、素直な文章で読みやすい。
B級っぽい興味と不道徳な内容が、本書を読ませる原動力だな。
そこに嫌悪を感じたら、まったくつまらん小説となってしまう。

ユニークなのは司の持っている「言葉に色が見える」という共感覚者の設定。
話している言葉の色を見れば、本当の事を言ってるのか、どんな気持ちなのかが分かっちゃうという能力。
これをもうちょっと発展させれば面白かったかも。
(ゲロばっかり吐いてるのは、ちょっとねぇ)


共感覚
IJ ART MUSIC


共感覚を扱ったミステリーで思い出すのは井上夢人の「オルファクトグラム」。
これは匂いが見えるという設定で、ばらぼうに面白かったなあ。

音や匂いに色がついているっていうのは、どんな感覚なのか。
悪口いわれても虹のような美しい色が見えれば、許してあげられそう。心の広い人になれそうだ。
でもうまそうな焼き肉の匂いが、真っ黒な色だったりすると食欲減退だ。

なんでもバラ色に見えれば幸せに暮らせそうだけど、そうもいかないんだろうなあ。



臨床真理/柚月裕子、井上夢人/オルファクトグラムの表紙


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めざせインドアマスター
棒日記V -I will carry on-
宝島チャンネル


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パパママムスメの10日間/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書 名:パパママムスメの10日間
・著 者:五十嵐貴久
・出版社:朝日新聞出版
・定 価:1,500円
・発行日:2009/2/28

◆評価◆
・ハートフルコメディ度:★★★
・ハラハラドキドキの青春と仕事と主婦業度:★★
・家族の絆再確認度:★★

◆感想◆
列車事故でパパと小梅の心が入れ替わり、無事もとに戻ってから2年。またまた大変なことが! それも今後はママまで!

パパとムスメの7日間」の続編。
今度はパパ、ママ、ムスメの3人の心が入れ替わっちゃうという大胆な展開だ。

娘の小梅は大学の入学式があったり、大好きなケンタ先輩との付き合いがあったりと青春まっただ中。 パパは会社でのんきなサラリーマン生活をしていたが、そこに重大事件の影が。
そんな中で3人の心が入れ替わり、大変なことに!

やや安易な設定と展開だけど、そこは著者のテクニック。それなりに笑わせたりドキドキさせたりして、ハートフルな物語に仕上げている。
上手だ。


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「男も座り小便をしよう運動」/ほぼ日刊イトイ新聞


娘の小梅は、自分の身体が見られるのが嫌で、お風呂も眼をつぶって洗うよう要求。
花も恥じらう女子大生、たとえ親とて裸を見せるわけにはいかないという事だ。
しかし、前作「パパとムスメの7日間」ではパパとムスメが入れ替わっちゃって、お風呂はなんとかするにしてもトイレはどうするんだ、トイレは?

ま、そうゆうお下劣な事にはふれないのがお約束。
きっと二人とも眼をつぶって座り小便してるんだろう。


パパママムスメの10日間/五十嵐貴久の表紙
 

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