だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

オディールの騎士/茅田砂胡

◆読んだ本◆
・書名:オディールの騎士
・著者:茅田砂胡
・定価:900円
・出版社:中央公論新社C★NONELS
・発行日:2009/11/25

◆おすすめ度◆
・少女向けアクションSF度:★★
・勧善懲悪のカタルシス度:★★★
・一気読み度:★★★★

◆感想◆
惑星バラムンディの保養地に滞在していたケリーとジャスミン。マリンスポーツなどを楽しんでいる二人を、何者かが襲おうとするが・・・

クラッシュ・ブレイズシリーズの15巻は、成金権力志向の男ラロッシュと、その娘オディールが主人公。
親娘とケリーとジャスミン、さらにダンやリィも登場して、胸がスッとする勧善懲悪な展開に。

ま、ファンの方にはおおよその展開が分かっちゃうような内容だけど、それでも面白く読めるのは著者のテク。 水戸黄門並みの安定した面白さだ。

成金権力志向のラロッシュが有名人を自宅のパーティに招待して、その有力者ぶりを誇示しようとするのに対し、パーティに招待されたケリーとジャスミンも、ラロッシュをギャフンといわしたいがためにその人脈を見せびらかせる。
なんかどっちも「この印籠が眼に入らぬか!」的な虎の威を借りてる状態だな、とか思いながらも納得してしまう。
やや手抜きの展開に苦笑しながら、最後まで一気読み。

やっぱり著者は文章が上手なんだな、と思わせる。

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C★NOVELS 公式サイト

本書のあとがきに「ちょっとお休みをいただこうかと・・・久しぶりに漢字の名前の話しを書いてみようかと云々」

なぬ!
クラッシュ・ブレイズシリーズはこれで永遠に中断か。
「漢字の名前の話し」とはいったい?

登場人物が「蛇巣民」「家李」とかになるわけじゃあるまいな。

クラッシュ・ブレイズ - オディールの騎士 (C・NOVELSファンタジア)
クラッシュ・ブレイズ - オディールの騎士 (C・NOVELSファンタジア)鈴木 理華

おすすめ平均
starsおおっっ今回も怪物夫婦だ!!
starsスカーレット・ウィザード
stars助さん格さんの要らない水戸黄門
stars微妙な幕切れ
starsひさびさに一気読み

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◆他サイトの感想◆
francoisの読書メモ
時間旅行~タイムトラベル
読書日記

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ひまわり事件/荻原浩

◆読んだ本◆
・書名:ひまわり事件
・著者:荻原浩
・定価:1,800円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2009/11/15

◆おすすめ度◆
・ジジババと幼稚園児の交流度:★★★★
・ジジババと幼稚園児の戦い度:★★★
・ジジババと幼稚園児の冒険度:★★★

◆感想◆
隣接する老人ホームと幼稚園。今まで交流か無かった老人たちと幼稚園児が、「お年寄りに明るさと活力を、子供たちにいたわりの心と人生の知恵を」というコンセプトのもと、交流を図ることになるが・・・

ちょっと笑えて泣けて元気になる、著者お得意のほんわか小説。
出来の悪い園児3人組+1のお茶目さがかわいいし、ちょい悪じじいの無鉄砲さもステキだ。
やや長過ぎる感はあるが、はじめはギクシャクしていたジジババと園児たちの関係が、細かな出来事(ひまわりの種を植えたり、一緒に麻雀やチンチロリンをやったり、入院した婆さんを見舞ったり・・・)を積み上げながら深まっていく過程が楽しい。

終盤にはとんでもない"事件"も用意されて、スカッと爽やかで一途なジジババの姿も。

ミステリアスな仕掛けがある訳でもないし、とんでもなく驚いたり感動したりする訳でもないが、軽く読むにはうってつけの中間小説。


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アイアンマンブログ


登場する直情タイプの老人を評して「強さは脆さと同義だ。ビルの鉄骨に純鉄などを使おうものなら、たちまち瓦解してしまう」というくだりがある。
老人の一徹な性格と行動を「純鉄」に例えているんだが、これは「鋼」の間違いだ。
文脈からいえば「純鉄」の方が語感もぴったりだし、読み間違うことは無いんだけれど、なぜか気になる我が人生経験、みたいな。

「鋼」はパキンと脆いが、「純鉄」はけっこう柔らかいんである。
柔らかいといっても、お餅みたいに柔らかいわけじゃないけど。
著者も分かってかいているのかもね。


ひまわり事件
ひまわり事件荻原 浩

おすすめ平均
starsほのぼのと。でも、社会を鋭く見つめて。
stars考えさせられる部分も・・・
stars老人ホームと幼稚園の交流は吉か?凶か?
starsたっぷり笑えて、じんわりと胸に染みる<荻原ワールド>全開の力作

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◆他サイトの感想◆
10月の蝉

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未踏峰/笹本稜平

◆読んだ本◆
・書名:未踏峰
・著者:笹本稜平
・定価:1,700円
・出版社:祥伝社
・発行日:2009/11/5

◆おすすめ度◆
・爽やか山岳小説度:★★★★
・ハンデを背負った若者たちの挑戦度:★★★
・浮かび上がる雄大で荘厳な風景度:★★★★

◆感想◆
自らの虚栄心と驕りから、社会から脱落した裕也。アスペルガー症候群という病から、人間関係に苦しむサヤカ。知的障害を抱える慎二。ハンデを背負った3人の若者が引退したトップクライマーと出会うことで、自分たちの居場所を掴みとろうとする山岳青春小説。

登場人物の設定や展開が、やや作り過ぎの感じ。
安易なドラマみたいで、ちょっとねえ、とか思いながら読み進めるが、中盤以降の登攀シーンはさすが笹本稜平。
雄大で荘厳な風景が、目の前に広がる!
一緒に登っているような臨場感もあるし。

3人の若者のチームワークもステキに青春している。
ミステリーや冒険小説な味付けなしで、ただひたすら爽やかな山岳小説。
山に登りたくなること間違いなしだ。


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カンティ・ヒマール南面Twujiche


「未踏峰」は本当にストレートな小説で、ミステリーな場面はないんである。
ひねくれた読者(俺のことだ)は、裕也たちが登攀の途中で出会う外国人クライマーに、不穏な状景を想像したりするが、そんな予想をあっさり裏切ってスカッと爽やかヒマラヤ登山なんである。

それはそれでいいけど、ちょっと物足りない気もする。


未踏峰
未踏峰笹本稜平

おすすめ平均
stars貴重な山岳小説
starsリアリティにかける山岳描写
stars前作「還るべき場所」に比べて、迫力が少なく物足りなかった
stars若者三人のヒマラヤ未踏峰への挑戦

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