だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

影法師/百田尚樹

◆読んだ本◆
・書名:影法師
・著者:百田尚樹
・定価:1,600円
・出版社:講談社
・発行日:2010/5/20

◆おすすめ度◆
・青春と友情の時代小説度:★★★★
・刎頸の契り度:★★★★★
・百田尚樹は無条件購入度:★★★★★

◆感想◆
文武両道で奢るところのない磯貝彦四郎。彼を人生の目標としてきた戸田勘一。幼い頃からともに学び育った二人だが、それぞれの人生は大きく変わって行く・・・

あんまり時代小説は得意なジャンルではないんだが、そんなことはおかまいなしに面白すぎる「影法師」。
百田尚樹、絶好調だ。

剣道の上覧試合の緊迫したスリリングなシーン。
武士という身分の中のいわれなき差別。
地方都市を豊かな国にしたいと願う夢。
顔を見るのも恥ずかしく感じるような淡い恋。

江戸時代の地方都市を舞台にした青春ドラマで、それだけでも面白く読めるんだが、この小説のキモは「刎頸の契り」
彦四郎と勘一が、互いの友情の証しとして交わす「刎頸の契り」。
それが物語のすべての背景となり、ラストの感動的な展開につながる。
もう男泣きするっきゃない設定だ。

やや駆け足の物語になってるのが惜しい。
この倍の長さにして細部を書き込んだら、もっと面白くなったろう。

影法師
影法師百田 尚樹

おすすめ平均
stars藤沢周平「風の果て」
stars泣けた~
stars本当にこの作家は・・・。
starsこういう男は今日本にいるのだろうか?

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「刎頸の交わり」「刎頸の友」とは、「その友のためなら、たとえ首を切られても悔いないくらいの親しい交際」のこと。
武士である彦四郎と勘一は、僅かに抜いた刀の刃を互いに合わせて、契りを交わす。
こういう友情ものって、ちょっと間違うとひどく陳腐になってしまう。
陳腐ならまだしも、エロチックになるとややこしい。

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キング&クイーン/柳広司

◆読んだ本◆
・書名:キング&クイーン
・著者:柳広司
・定価:1,600円
・出版社:講談社
・発行日:2010/5/27

◆おすすめ度◆
・サスペンス小説度:★★
・ユニークな登場人物度:★★
・息詰まる展開/緊迫の駆け引き度:★★

◆感想◆
元SPの冬木安奈はその能力を買われ、バーの用心棒として働いていた。そんな彼女に一人の女性が助けを求めてやってくるが・・・

SPとしてずば抜けた能力を持つが、なにやらいわくありげな過去を持つ冬木安奈。
正体不明の男たちから狙われるチェスの世界的チャンピオン。
いったい誰がチェスのチャンピオンを狙っているのか?
冬木安奈はチャンピオンを守ることができるのか?
というサスペンス小説。

良く言えば丁寧だけど、悪く言えば回りくどくイラッと来る文章。
良く言えば破綻のない展開だけど、悪く言えばぬるい展開。
そんな感じのサスペンス(サスペンスにならない?)小説。

チェスの息詰まるような駆け引きや、どんでん返しに次ぐどんでん返しを期待すると辛いかもしれない。

柳広司といえば「ジョーカー・ゲーム」で大ブレイクしたけれど、なんかタイミングを逸して未読。本書を読んで時流に乗ろうとしたけれど乗れなかった、みたいな。
半分に圧縮して連作短編集にすれば、ずっと面白くなりそうな気もしまする。


小説より面白いボビー・フィッシャーの半生




本書に登場する天才的チェスプレイヤーは、「米国の英雄」あるいは「幻の英雄」とも呼ばれる「ボビー・フィッシャー」がモデルだろう。
こういう天才たちの実像にせまったドキュメンタリーは、小説以上の面白さがある。

日本ではチェスより将棋の方がメジャー。
賭け将棋の世界で「新宿の殺し屋」の異名を持つ凄腕の真剣師・小池重明を主人公にした「真剣師小池重明」なんて、もうべらぼうに面白いし。

でもなんで天才といわれる人たちは、性格が破綻してるのかなあ。


キング&クイーン (100周年書き下ろし)
キング&クイーン (100周年書き下ろし)
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stars大した頭脳戦ではない
starsこのミス上位確信!柳広司の新たなゲームがスゴイ

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真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)
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stars小池さん!誰かの肉体にに降臨して将棋指してください!
starsう~む と唸ってしまう
stars魔性の真剣師
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民王/池井戸潤

◆読んだ本◆
・書名:民王
・著者:池井戸潤
・定価:1,500円
・出版社:ポプラ社
・発行日:2010/5/25

◆おすすめ度◆
・B級コメディ政治小説度:★★★
・笑えてグッとくるおとぼけ政治家度:★★
・単純明快、すかっと爽快度:★★★

◆感想◆
二代続けて任期半ばの政権放棄。現首相から突然の辞意を切り出され、幹事長の武藤泰山はあまりもことにしばし言葉を失った・・・

就任後すぐ投げ出すように辞任する首相。
愛人とのスキャンダルが飛び出す大臣。
漢字が読めない総理。
どっかの国の国政を皮肉った、コメディタッチの政治小説。

すぐさま誰のことを言ってるのか分かるような政治家の風刺にも笑えるが、それを逆手に取った胸が熱くなるような政治家魂にも笑いそうになるくらいな単純明快さ。
それでいて妙に納得させてしまう痛快さがあるのは、それほどにまで今の政治が茶番劇にみえるから?

そんな風刺劇にサスペンスな展開を味付けするのは、新首相となった武藤泰山と息子・翔が入れ替わっちゃうという設定。

原因は何?
どこかの国のテロ?
国政はどなる?

深夜ドラマの原作にうってつけ?な、B級コメディ政治小説。
ちょうど今が旬かな。


民王
民王
おすすめ平均
stars面白かった
starsこれぞ! エンタメ
starsガッカリするから、本格「政治・ミステリー」好きは待て購読
stars単なるギャグ小説かと思って読んでるうちに感涙してた

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政治家の失言をあげつらって国会を空転させるのはいかがなモノかと思うが、政治家の失言集などを見ると結構笑えるんである。
小説より面白いくらいだ。

「約束を守らないことは大したことではない」(政治家の失言、不適切発言)という小泉純一郎元首相の発言など、一種爽快。

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