だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

あんじゅう 三島屋変調百物語事続/宮部みゆき

◆読んだ本◆
・書名:あんじゅう 三島屋変調百物語事続
・著者:宮部みゆき
・定価:1,800円
・出版社:中央公論新社
・発行日:2010/7/25

◆おすすめ度◆
・宮部流百物語は優し過ぎる度:★★★★★
・日本昔ばなし度:★★★★★
・幽霊の概念を覆す度:★★★★

◆感想◆
不思議な話しを聴き集めている三島屋の行儀見習いのおちか。彼女のもとに集まった、にわかには信じがたい物語とは・・・

おそろし」に続く宮部みゆき流百物語。
物語の背景といい、登場人物といい、構成といい、文句なしの不思議物語。
登場人物がいい人過ぎたり、少年たちが微笑ましすぎたり、人を思いやる心にあつくなったりと出来過ぎのきらいはあるが、これが宮部みゆきなんだな。
もう揺るぎようがないスタイルを確立しちゃって、そう言う意味では完璧。

巻頭の「逃げ水」なんて、正式に日本昔ばなしに登録(登録するものなのか?)してもいいくらいだし、「薮から千本」の生きている人の怖さとお勝さんの描き方の巧さはさすがだし、「くろすけ」に登場する妖物のかわいらしさときたら!

おまけに主役のおちかのほのかな恋模様までサービスされたら、次作も心待ちにするしかない。
宮部みゆき、本当にお上手。

あんじゅう―三島屋変調百物語事続
あんじゅう―三島屋変調百物語事続宮部 みゆき

おすすめ平均
stars最近で一番、、
starsおちかを応援する様々なキャラクターが登場
starsこれぞ宮部みゆき!
stars至福の時
stars待ちに待っていました。

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おそろし」では建物に取り憑く邪悪な存在が、「シャイニング」ぽい感じだった。
本書の「くろすけ」にも同類の妖物が登場するんだが、これがもうアンチ・シャイニングみたいな。
妖物っていったて、怖く恐ろしいモノばかりじゃないのよ、みたいな。
著者らしい切り口だよね。

シャイニング〈上〉 (文春文庫)
シャイニング〈上〉 (文春文庫)スティーヴン キング Stephen King

おすすめ平均
stars小説か?映画か?
starsジャックの印象が180度変わる キング氏のとんでもない作家力を見せつけられる
stars長い伏線の上巻
starsモダンホラーの最高傑作 -上巻は伏線の巻-
starsこの人が初めに受けた頃

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シャイニング〈下〉 (文春文庫)
シャイニング〈下〉 (文春文庫)スティーヴン キング Stephen King

おすすめ平均
stars小説か?映画か?
starsジャックの印象が180度変わる キング氏のとんでもない作家力を見せつけられる
stars長い伏線の上巻
starsモダンホラーの最高傑作 -上巻は伏線の巻-
starsこの人が初めに受けた頃

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天冥の標3 アウレーリア一統/小川一水

◆読んだ本◆
・書名:天冥の標3 アウレーリア一統
・著者:小川一水
・定価:880円
・出版社:ハヤカワ文庫
・発行日:2010/7/15

◆おすすめ度◆
・宇宙活劇小説度:★★★★
・木星で発見された遺跡の正体は?度:★★★
・《酸素いらず》と《救世群》と《被展開体》の関係度:★★★

◆感想◆
木星の巨大赤斑の中心にある古代遺跡「ドロテア・ワット」。調査隊は、それが巨大なエネルギー炉であることを発見するが・・・

メニー・メニー・シープ」「救世群」に続く天冥の標シリーズ第3巻。
木星で発見された巨大エネルギー炉を起点にして、宇宙の平和を海賊から守ることを使命とする《酸素いらず》や、虐げられた民である冥王班患者群の《救世群》や、人知れずネットワーク社会に入り込んで行く《被展開体》が物語の主役。

《酸素いらず》対海賊のスペースオペラな展開と、巨大エネルギー炉「ドロテア・ワット」はいったい何のために?なところが読みどころ。

なんかちょっと物足りないような。
前作が面白かったから、欲が出ちゃうんだな)
宇宙戦艦のドンパチも、迫力がいまいち?
(美少年艦長のアダムスの設定も引いてしまうし)
全体の展開もぎこちない?
(「メニー・メニー・シープ」に繋がる展開が見えてきたりして、それはそれで面白い)

これはやっぱり、全巻揃った所で一気に読破するのが正解かも。
物語の吸引力に身を任せて、ジェットコースターに乗ってるみたいに読むのがいいなあ。
ブツ切れに読むと、前作の内容や登場人物を思い出すのも大変だし。
(それは読み手の記憶力の問題だ。悲しいっ)




《酸素いらず》って宇宙戦艦ヤマトに登場するガミラス人みたい。
真空の宇宙でたなびくマントみたいな。

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)
天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)小川 一水

おすすめ平均
starsもちろん言うまでもなく本巻も傑作
stars次巻が楽しみ
stars人類は宇宙に進出する
stars同じ亜種でありながらも違う境遇

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◆関連記事◆
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スリープ/乾くるみ

◆読んだ本◆
・書名:スリープ
・著者:乾くるみ
・定価:1,500円
・出版社:角川春樹事務所
・発行日:2010/7/8

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説/SF小説/恋愛小説度:★★★★★
・頭の中が?でいっぱい度:★★★★★
・頭の中が!でいっぱい度:★★★★★

◆感想◆
テレビの科学情報番組でひときわ人気のある中学生レポーター羽鳥亜里沙。革新的な技術を開発した未来科学研究所を取材することになるが・・・

イニシエーション・ラブ」「リピート」に続く長編といううたい文句に、騙されないように読まなきゃと思いながら読み進むが・・・

これはうまい!
騙されない方が無理っ。

おまけにSF的な舞台と設定も見事だし、恋愛にひっかけた展開もうまいし、ハラハラドキドキのサスペンスと、「?」いっぱい→「!」いっぱいなビックリ面白小説!

「イニシエーション・ラブ」や「リピート」の作者なら十分ありえる展開だけど、なぜかミステリー作家という認識だからか、驚きが倍増。

余計な予備知識なしで読むことをおすすめ。
物語の山場で頭の中が「???」となること請け合いますっ。
そのあと「なるほど!」となることも。

「このミス」ベスト3には間違いなく入るだろう傑作面白小説だあ。


あ、合ってるっ!
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脳内メーカー

この内容をカジシンに書かせたら、とてもロマンチックな小説になったかも、なんて想像してしまう「スリープ」。
でも乾くるみだから傑作面白小説なんだろうな。
SF作家も負けてらんないな。



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プラチナデータ/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:プラチナデータ
・著者:東野圭吾
・定価:1,600円
・出版社:幻冬舍
・発行日:2010/6/30

◆おすすめ度◆
・ちょい未来ミステリー小説度:★★★★
・本当にありそうなガジェット度:★★★★
・納得の結末度:★★★

◆感想◆
犯行現場に残っていた毛髪の、特殊解析研究所での分析結果は驚くべきものだった。そこには性別や年齢、体重や身体的な特徴はいうに及ばず、犯人の容貌まで画像化。さらに近親者の氏名や住所までもが明らかにされていた・・・

飛ぶ鳥もかってにドタドタ落ちる勢いの東野圭吾の最新作。
相変わらずのうまさに一気読み。

犯罪捜査にDNA捜査システムという新しい手法が適用されはじめた、ほんのちょっと未来な感じの日本が舞台。
犯人の残留物を解析すれば、たちどころにどこの誰だか分かってしまうというDNA捜査システムが稼働を始める。
ところがそんなスーパーな捜査システムなのに、八王子で起きた事件だけは犯人を特定できずにいた。
そんな折り、システムの開発者である天才的数学者が殺害される!

膨大なデータベースから瞬時に犯人を割り出すDNA捜査システム。
特殊解析研究所のいわくありげな解析員。
特定できない犯人。
巷に出回りだした電トリ(電気トリップ)というあやしい機器。

実際もうあってもおかしくないようなガジェットを巧みに使って、読者の興味をドンドン振り回す。
いったいどう決着するのか興味津々なところを、ズバッと納得の結末を用意。

もうミステリー小説なんて書かなくてもいいくらいだろうに、この旺盛な執筆意欲はどこからくるんだろう?

プラチナデータ
プラチナデータ東野 圭吾

おすすめ平均
starsたまにやってしまう
starsお手軽に読める娯楽作

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遠い未来には監視カメラとかで常時犯罪が起きないように見張られるようになって、個人の素行や犯罪傾向なんかもデータベース化されて、あやしい動きなんかすると体内に埋め込まれた犯罪防止システムの端末から「そのような行為は犯罪に繋がります。即時中止して下さい」なんて注意をうけるようになったりして。

社会の窓を開けっ放しで歩いてると、犯罪者と見なされるような世の中になっちゃうかもしれない。
出かける前には、チャックが閉まってるか確認しないと。
そうゆう意味じゃなくても確認はした方がいいけど。

◆関連記事◆
『プラチナデータ』(東野圭吾著、幻冬舎刊)/ミステリ通信 創刊号
「プラチナデータ」東野圭吾/東京アンダーザブリッヂ
プラチナデータ/東野圭吾/kazunobook

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銀狼王/熊谷達也

◆読んだ本◆
・書名:銀狼王
・著者:熊谷達也
・定価:1,400円
・出版社:集英社
・発行日:2010/6/30

◆おすすめ度◆
・巨大狼とマタギの死闘度:★★★★
・人間あざ笑うかのような知恵を持つ狼度:★★★★
・妻子を亡くし愛犬「疾風」と猟をするマタギ度:★★★★

◆感想◆
アイヌの古老から、その銀色の毛並みを持つ巨大狼の話しを聴いた猟師の二瓶。自分の手で仕留めたいという思いを強く持った彼は、相棒のアイヌ犬を伴って山に入るが…

明治時代の北海道を舞台にした、マタギと巨大狼の死闘を描いた小説。
神と恐れられる巨大獣と人間の戦いを描いた小説はいっぱいあるが、本書もそのど真ん中に位置するような物語。

そろそろ体力の限界が見えだしたマタギの二瓶。
妻や娘を亡くし、相棒のアイヌ犬「疾風」を家族のように思っているという人物設定。さもありなん。
疾風も主人を良く理解し、熊にはめっぽう強気なくせに、狼にはからっきしというお茶目な設定がちょっとユニーク。

彼らが追うのは、北海道でも生息数が激減し久しく見られなくなった狼。
それも熊ほどの巨大さで、とてつもない知恵をもつという。
はたして二瓶は巨大狼を仕留めることができるのか?!

神ともいわれる巨大獣とマタギの戦いって、その設定だけで興奮してしまう。
期待が大きすぎると読んだ後ガッカリするけど、本書はそれでも面白く読めた。

著者の本は初めて読むのだけれど、略歴を見ると「相剋の森」「邂逅の森」「氷結の森」の「マタギ三部作」を著しているという。
なんだかすごそう。
登場人物が深く山に分け入るように、「マタギ」小説に深くのめり込んでいるのか?

銀狼王
銀狼王熊谷 達也


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マタギを主人公にした小説で一番なのは、西村寿行の「風は悽愴」。
まあ、初恋の女性がとても美しいのと同じように、初めての動物小説だったから心に残っているのかも。
それでも主人公の寡黙なマタギや狼の関係など、ググッとくるものがあったなあ。
(アマゾンのカスタマー評価は低すぎやしないか?)

風は悽愴 (徳間文庫)
風は悽愴 (徳間文庫)西村 寿行

おすすめ平均
stars狼ねぇ。

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『銀狼王』熊谷達也/集英社 文芸 RENZABURO レンザブロー
『銀狼王』(熊谷達也/集英社)/苔花亭にて雑書茶話
熊谷達也著『銀狼王』/min-minの読書メモ

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交渉人・籠城/五十嵐貴久

◆読んだ本◆
・書名:交渉人・籠城
・著者:五十嵐貴久
・定価:1,500円
・出版社:幻冬社
・発行日:2010/6/25

◆おすすめ度◆
・シリアスな立て篭りミステリー小説度:★★
・スリルとサスペンスの交渉劇度:★★
・少年法への疑問度:★★

◆感想◆
店内にいた客を拉致監禁した喫茶店の店主福沢は、自ら警察に電話をする。
いったい福沢は何をもくろんでいるのか、交渉人として福沢に接触する遠野麻衣子は、人質を解放させ、そして事件を解決できるのか! なサスペンス小説。

交渉人シリーズの最新作。
前作「交渉人 遠野麻衣子・最後の事件」は面白かったんだけど、本書はいまいち。
なんだか2時間サスペンスドラマのノベライゼーションみたい。

読みどころは、喫茶店に籠城した犯人と刑事部遠野麻衣子の駆け引きなんだけど、やや盛り上がりに欠ける。
犯行に及んだ背景の、少年法に対しての言及も通り一遍だし。
クールビューティな遠野麻衣子が魅力的な女性に描写されていないし。

結末も、もっとトンデモな結末を想定しているミステリー好きな読者もいるだろうと思わせる、想定内な感じ。

うーむ。
悪口ばっかりだ。
ジャングルみたいに暑い梅雨のせいにもしとこう。


交渉人・籠城
交渉人・籠城五十嵐 貴久


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夜中に寝苦しくって目覚めると、右手に「交渉人・籠城」を持ったまま寝ていた。
温度計を見ると、気温30度、湿度80%!(ここはジャングルか?)

きっと「寝苦しく不快」と「いまいちな交渉人」が結びついて、「交渉人は面白くない本」と感じたのかも。
清々しい秋にでも再読してみる?

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交渉人 遠野麻衣子・最後の事件/五十嵐貴久/サイト内

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