だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ストーリー・セラー/有川浩

◆読んだ本◆
・書名:ストーリー・セラー
・著者:有川浩
・定価:1,300円
・出版社:新潮社
・発行日:2010/8/20

◆おすすめ度◆
・メタ恋愛小説度:★★★
・著者の人となりと生活が伺える度:★★★
・物語を書く側と読む側の接点度:★★★

◆感想◆
「あなたの奥さんは大変に珍しい、かつて症例がない病に罹っています。…思考に脳を使えば使うほど、奥さんの脳は劣化します。…つまり、奥さんは思考することと引き替えに寿命を失っていくのです」 何だその安いSF映画みたいな設定は…

でだしは本当に安いSFみたいな設定の恋愛小説かと。
だた読み進めて行くと、これがなかなかメタな恋愛小説。
「むむ、イニシエーション・ラブな展開なのか? side:A saide:Bの2部構成だし」という推測も外れる予想外の展開。

今までの著者の恋愛小説とは趣きが異なるが、色々と大変なことを抱えているんだな、でも一生懸命幸せな生活を送っているんだな、って著者のリアル生活を想像させる物語。

人生いろいろあるけど、へこたれずにいて欲しい。
って、全然著者の思惑とズレてたりして。

ストーリー・セラー

有川 浩 新潮社 2010-08-20
売り上げランキング : 121

おすすめ平均 starAve
star1極上の娯楽文体
star2一人のための物語でありながら、全ての読者ために書かれた物語でもある
star3一つだけ気になったこと
star4惹きこまれずにはいられない 圧倒的な才能

by ヨメレバ

WEB本の雑誌/作家の読書道に有川浩のインタビューが記載されているんだけど、微妙に本書とかぶっている発言があって面白い。
書き上げた小説を電撃へ送ったらどうかと旦那にすすめられたり。
旦那から「いつか君はプロになるよ」と言われ続けてたり。

そうやって人から褒められたり言われ続けたりすると、本当に夢が叶うものなのかもしれないぞ。
だれも褒めてくれないおれは、自分で自分をめいっぱい褒めることにしている。
いまだに夢は実現しない。

◆他サイトの感想◆
一日一冊のブックレビューBlog
言葉の鎖‐連‐

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スットコランド日記 深煎り/宮田珠己

◆読んだ本◆
・書名:スットコランド日記 深煎り
・著者:宮田珠己
・定価:1,700円
・出版社:本の雑誌社
・発行日:2010/8/5

◆おすすめ度◆
・お気楽エッセイ度:★★★
・たまに人生について考えてみたり度:★★★
・引越したり四国遍路したり近所を探索したり度:★★★★

◆感想◆
スットコランド日記」の続編。
相変わらずの飄々とした脱力系日記に加え、人生や仕事やアレやコレやについてのちょっとディープな考えも書かれたりしている、基本ダラダラな日記。

札所を巡拝するため雨の中を歩いて、足にできたマメが血だらけになったり(変な所にいじをはるねえ)、引越しを決めたはいが契約やローンをほったらかしで四万十川にカヌー遊びをしに行ったりとか(面倒ごとは人任せに限る!)、常人ではためらうようなことをホイホイとやってしまう所がステキだ。

貧乏生活や自身の病気?などのディープな話し(といっても軽めだが)もあったりして、著者が日頃どんな生活をして、どんな風にエッセイを書いているのかがよく分かる。

自分のやりたいことをやろうと脱サラしてフリーランスになったものの、先ずは生活するために稼がなければならない訳で。
けど、脱サラする前に比べれば、それはもう自由に行動できるし。
でもお金はないし。
なんていうフリーランスの悲喜こもごもも感じさせる内容。

著者の本がバンバン売れて儲かりますように。
その前に自分もそこそこ儲かりますように。

宮田 珠己 本の雑誌社 2010-08-05
売り上げランキング : 18850
by ヨメレバ

あまりに暑いので散髪に行き、気温が40度になっても耐えられる髪型にしてもらう。

散髪の帰りに自転車に乗って走ると、頭の後ろで空気が渦を巻いているのが分かる!
はは~ん、これが「カルマン渦」というやつだな。
ゴルフボールになった気分だ。

◆他サイトの感想など◆
讀々享樂時空
宮田珠己のスットコランド日記/本の雑誌社

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土曜日は灰色の馬/恩田陸

◆読んだ本◆
・書名:土曜日は灰色の馬
・著者:恩田陸
・定価:1,900円
・出版社:晶文社
・発行日:2010/8/20

◆おすすめ度◆
・エッセイなど色々度:★★★
・恩田陸が分かる度:★★★
・「薮の中」は本格ミステリー小説度:★★★★

◆感想◆
本や少女マンガや映画にまつわるエトセトラ。
これを読めば、恩田陸がどんな小説や映画に興味を持ち、どんな風に影響され、どんな風に考えたかが分かる仕組み。
恩田陸の人となりを知るにはもってこいのエッセイ?集だ。
ただ彼女の嗜好とシンクロする所がないと、置いてけぼりになった気分。
少女漫画やドラマについてのくだりは、自分のテリトリーと違い過ぎて(少女漫画読まないし)やや置いてけぼり。

でも、出だしの「硝子越しに囁く」はまるで短編のホラー小説見たいにそこはかとなく怖かったし、三島文学を「ケレンと様式美」だと喝破するあたりにも著者の作風が伺える。

特に芥川龍之介「薮の中」のミステリー小説的解題は面白いぞ。
あの有名な短編小説も、読み方によっては本格ミステリー小説になるという。
前半の客観的な登場人物の証言と、後半の主観的な供述から、矛盾のない展開を見つけ出していくと。
あ~ら不思議、なんと犯人が浮かび上がってくるではないか!
全然「薮の中」じゃないぞ。
「薮の中」は本格ミステリーだったとは。

共感覚
共感覚/ウィキペディア

「硝子越しに囁く」では共感覚についてふれられている。
文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする共感覚。
子供の時に共感覚を経験する人はけっこういるみたいで、自分も「眼に鉄の味を感じた」ことがある。(これも共感覚なのか?)

大人になってからは全くなかったんだけど、先日寝る前に本を読んでいる時、活字に色がついて見える共感覚を体験!
読んでいる本の所々の活字が、紫色に見えるんである!!

その時は、眠る寸前。眼はあいているけど脳のほとんどは寝ている、みたいな状態。
前頭葉の支配から脳の各部が逃れはじめた睡眠直前に、神経回路が迷走したんじゃないかとかってに想像しているんだが・・・

◆他サイトの感想◆
晶文社の土曜日は灰色の馬のページ ウェブに掲載された文章が読めます
一日一読

土曜日は灰色の馬

恩田 陸 晶文社 2010-08-07
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おすすめ平均 starAve

by ヨメレバ

藪の中 (講談社文庫)

芥川 龍之介 講談社 2009-08-12
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おすすめ平均 starAve

by ヨメレバ

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悪の教典/貴志祐介

◆読んだ本◆
・書名:悪の教典
・著者:貴志祐介
・定価:上1,714円 下1,714円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2010/7/30

◆おすすめ度◆
・暗黒学園小説度:★★★★
・サイコパスなホラー小説度:★★★★
・どんどんエスカレートする展開度:★★★★
・PTAが有害図書にすること間違いなし度:★★★★★

◆感想◆
高校教師の蓮美は生徒からの信頼と人気があつく、また教師の中でも抜きん出た能力を持っていたことから、様々なトラブルの処理に追われていた…

生徒からの絶大な人気と信頼を得ている蓮美は、生徒のみならず教師たちをも掌握下に置こうとする。
いったい彼はどんな人間なのか?
何を目的に生徒や教師を操ろうとしているのか?
読み進むと現れてくる蓮美の実像に、背筋がゾワゾワと寒くなる…という展開。

これはかなりぶっ飛んでる。
高見広春のバトル・ロワイアル風な学園暗黒小説+サイコパスなホラー小説だ。
前半はまあいいとしても、後半は「夏休みの課題図書」には絶対ならないようなおぞましい展開に。

スプラッターなシーンもさることながら、様々な手法で目的を達成させる蓮美の異常ぶりや、なんとか魔の手から逃れよう/対抗しようとする生徒たちの奮闘ぶりも読みどころか。
けっこうどぎついシーンが連発するけど、受ける印象は案外カラッとしている。

バトル・ロワイアルが面白かった方は是非!


悪の教典 上
悪の教典 上貴志 祐介

おすすめ平均
stars「愛犬家連続殺人」を彷彿
stars極上の読書体験、頂きました。
stars貴志先生待ってました!!!
stars蓮見聖司の魅力
stars待ちにまった新刊!・・・は、

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悪の教典 下
悪の教典 下貴志 祐介

おすすめ平均
stars前代未聞、最凶最悪のサイコパス誕生
stars恐怖の距離感を楽しむ
stars面白かった
stars期待しすぎたかな…
stars今までの作風と悪い意味で違いました

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さすがに高校が舞台ということもあって、登場人物がハンパない人数。
いつも主な登場人物をA4の紙に書き出しながら本を読んでいるんだが、あっという間に書ききれなくなってしまった。
「もういいや、メンドクサイし」と思いつつ、上巻を読み終わると、「2年4組の出席簿がダウンロードできます」な注意書きが。
最近はなんでもネットで入手できるんだ。便利便利。

結局ダウンロードしなかったけど、数人の名前さえ押さえておけば、物語を楽しむには問題なし。
逆に言えば、多くの登場人物は「その他大勢」。
その他大勢まできっちり描写してたら、倍くらいの長さになっちゃうもんな。

◆他サイトの感想など◆
風の吹くまま 気の向くままに
文藝春秋 | 貴志祐介 『悪の教典』特設サイト

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西巷説百物語/京極夏彦

◆読んだ本◆
・書名:西巷説百物語
・著者:京極夏彦
・定価:1,900円
・出版社:角川書店
・発行日:2010/7/30

◆おすすめ度◆
・おとろしいミステリー小説度:★★★
・あばかれる人間の業度:★★★
・これで終いの金比羅さん度:★★★

◆感想◆
舞台を関東から関西に移し、主役を又市から林蔵に替えた、巷説百物語シリーズの最新作。
曰くのある人物の隠された姿を、林蔵が仕掛けたからくりであぶり出す。
ミステリー小説はナゾを解き明かすが、本シリーズは「人の業」を解き明かすというしくみ。

やや強引な展開もあるけれど、登場人物の業がミステリー小説の作法によって暴かれる展開はなかなか鮮やか。 関西弁も、独特の雰囲気を造り上げるのに効果的。

でももうちょっと深みのある業が欲しかった?
物語を造り過ぎて、絵空事が絵空事に感じてしまうというか。
落ちが見えてしまい、読者の業は解き明かされないというか。

欲張り?

西巷説百物語 (怪BOOKS)
西巷説百物語 (怪BOOKS)京極 夏彦

おすすめ平均
stars林蔵の仕掛け
stars瑕と狂気を孕んだ幸福
starsそうきたか
starsもう一つのサイドストーリー

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大団円での林蔵の決め台詞「これで終いの金比羅さんやで」っていうのは、どういう意味なんだろう?

「靄船の林蔵」だから金刀比羅さんなのか?
「屁こいて寝よ」みたいなもんか?
「金比羅船々」と関係あるのか?

◆他サイトの感想◆
WEB本の雑誌

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ファロットの休日/茅田砂胡

◆読んだ本◆
・書名:ファロットの休日
・著者:茅田砂胡
・定価:900円
・出版社:中央公論新社C★NONELS
・発行日:2010/7/30

◆おすすめ度◆
・殺しのプロの優しさ度:★★★
・殺しのプロの美学度:★★★
・殺しのプロの矜持度:★★★

◆感想◆
「レティシアの場合」とヴァンツァーの場合」の中編2本立て。
殺しのプロである主人公が、知り合い?を危機から救うという物語。
金銀天使や海賊は登場しないバージョンです。

前作「オディールの騎士」の後書きで「久しぶりに漢字の名前の話しを書いてみようかと云々」というのは現在進行中で、11月にはお披露目されるよう。
ちょっと楽しみ。

でも「クラッシュ・ブレイズ」シリーズも終わらないみたいで(別のシリーズに登場人物が引越しする?)、それはそれで楽しみ。

ファロットの休日―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)
ファロットの休日―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)茅田 砂胡 鈴木 理華

おすすめ平均
stars実は・・・
starsこれにて終幕。ああ、おもしろかった。
stars一般人のお友達作り
starsすばらしかった^^
stars充実した完結編

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「レティシアの場合」に「イアン・バンクス」という名前の人物が登場する。どっかで聞いたことあるなあ?
007シリーズの作者、それはイアン・フレミングだ。
水泳選手の、それはイアン・ソープだ。

グーグルに訊くと「蜂工場」の著者だって。
おお、そうだそうだ、「蜂工場」!
でも「蜂工場」ってどんな小説だっけかなあ。
読んだはずなのに、一個も覚えてない。

忘れてたことを思い出しても、その先も忘れているという「ど忘れスパイラル」。
怖いですね。

◆他サイトの感想◆
booklines.net
迷宮ぐるぐる日記
ラノベ365日

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