だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

オレたちバブル入行組/池井戸潤 経済小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:オレたちバブル入行組
・著者:池井戸潤
・定価:713円
・出版社:文春文庫
・発行日:2007/12/6

◆おすすめ度◆
・エンタメ経済小説度:★★★
・勧善懲悪、信賞必罰度:★★★
・半沢直樹の正義の鉄槌!度:★★★★

◆感想◆
バブル期に大手銀行に入社したものの、現在はしがない中間管理職の半沢。
支店長命令で融資した資金が焦げ付き、責任を押し付けられるが…

悪い奴はとことんとっちめる!半沢直樹の正義の鉄槌がっ!なエンタメ経済小説。半沢直樹シリーズの第1作。
出だしがもたついている感じだったが、勧善懲悪の構図がはっきりしてからは一気に読ませる展開。
「借りた金は返さない」融資先に対する「晴天に傘を差しだし、雨天にとりあげる」銀行の対決。
勧善懲悪というよりどっちもどっち、みたいな。

半沢直樹のキャラも魅力的。
「やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ」とうそぶく半沢直樹。
こんなに言いたい放題、やりたい放題の銀行員はいないだろうけど、思ったことをズバズバ言って、悪に屈しない姿が爽快。
著者は銀行員時代の鬱憤を主人公に載せてはらしてるのか!?

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七つの会議/池井戸潤 経済小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:七つの会議
・著者:池井戸潤
・定価:864円
・出版社:集英社文庫
・発行日:2016/2/19

◆おすすめ度◆
・社会派クライムノベル度:★★★★
・中堅電機メーカーの闇度:★★★★
・サラリーマンには馴染みすぎて怖い世界度:★★★★

◆感想◆
大企業の子会社で起きるパワハラ事件。多くの社員が驚きをもって見守るパワハラ事件の陰には、巨大な闇が広がっていた…

中堅の電機メーカーを舞台に描かれるクライムノベル。著者の他の小説同様、ぐいぐい読ませる。
斬新な展開も、目新しいテーマも、ユニークな登場人物もいないのに、なんでこんなに面白いんだろう。
不思議だ。
サラリーマンが読めば、登場人物たちの気持ちがよくわかる内容や展開。
自分を登場人物に当てはめるとちょっと怖くなる。
そして、信用を得るのは時間がかかるが失うのは一瞬だ、という言葉が身にしみる。

第三話「コトブキ退社」は、本書の中ではちょっと浮いているように見える。
でも登場するOL・浜本優衣が選んだ、身の丈にあった地道な仕事が、一番やりがいと達成感があったりする。
なにも大きな会社でバリバリ働くだけが能じゃないんだなあ。

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ミステリークロック/貴志祐介 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:ミステリークロック
・著者:貴志祐介
・定価:1,836円
・出版社:KADOKAWA
・発行日:2017/10/20

◆おすすめ度◆
・密室ミステリー中編集度:★★★
・著者の迷いやこだわり度:★★★
・流し読みは失礼かも度:★★★★

◆感想◆
「ゆるやかな自殺」「鏡の国の殺人」「ミステリークロック」「コロッサスの鉤爪」の4編からなる、防犯探偵・榎本シリーズの最新作。
どれも本格密室ミステリーの力作です。 密室モノにこだわってシリーズを書き続ける著者に敬服。
小説を書くだけでも大変そうなのに、トリックを考え検証し読者を煙に巻きながらも最後は納得させるという神業に近い本格ミステリーを書くというのは大変な労力が必要と思う。
また、いろんな新しい技術も小説に盛り込んだりして、もう大変! 作中、「トリック偏重が時代遅れ/トリックより人間が描けていることを求める/トリックが廃れて寂しい」なんていう台詞があったりして、著者の迷いやこだわりも伺えるし。
そのわりに読者(自分だ)は無頓着に流し読みしちゃうから、なんか申し訳なくなる。

ミステリークロック (角川書店単行本)
KADOKAWA / 角川書店 (2017-10-20)
売り上げランキング: 552

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満願/米澤穂信 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:満願
・著者:米澤穂信
・定価:724円
・出版社:新潮文庫
・発行日:2017/7/28

◆おすすめ度◆
・ミステリー短編小説集度:★★★
・バラエティに富んだ展開度:★★★
・精巧なつくり度:★★★★

◆感想◆
バラエティに富んだミステリー短編集。
「ミステリが読みたい! 」1位、「週刊文春ミステリーベスト10」1位、「このミステリーがすごい! 」1位の三冠に輝いたミステリー小説。

トリックありきのミステリーではなく、物語があるのがいい。
「夜警」がびっくりするような展開ではないものの、人物描写や性格描写が見事。

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満願 米澤穂信著 心理ドラマと精緻な謎解き/日本経済新聞
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氷菓/米澤穂信 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:氷菓
・著者:米澤穂信
・定価:562円
・出版社:角川文庫
・発行日:2001/10/28

◆おすすめ度◆
・学園ミステリー小説度:★★★
・氷菓ってそういうことか!度:★★
・妙に理屈っぽいのは全共闘世代だけかと思った度:★★★

◆感想◆
神山高校の「古典部」を舞台に、高校生活の日常に隠された謎を解き明かしていく学園ミステリー
古典部」シリーズの第1作。

妙に理屈っぽい文章と、「省エネ」な主人公。なんでかなと思ったら、結末のための布石でした。
理屈っぽい語り口にしているのは、著者の年齢も関係するのかと思ったら、著者は1978年生まれ。
どうしてこの時代(1960年代)を事件の舞台に選んだのだろう。
全共闘世代なら納得したような気も。

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空飛ぶタイヤ/池井戸潤 経済小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:空飛ぶタイヤ
・著者:池井戸潤
・定価:上745円 下745円
・出版社:講談社文庫
・発行日:2009/9/15

◆おすすめ度◆
・一気読み経済小説度:★★★★★
・予定調和と勧善懲悪の快感度:★★★★
・三菱自動車から訴えられない?度:★★★★

◆感想◆
三菱自動車のタイヤ脱落事故をモデルにした経済小説。
事故を起こした運送会社の社長が、その原因が自動車自体の欠陥であることを突き止めようと、巨大企業に刃向かう姿を描く。

これぞサザエさん的予定調和の安心感と、水戸黄門的勧善懲悪の爽快感の見本のような小説。
内容も展開も登場人物もありきたりなのにこれだけ読ませる筆力。
悪役、いいもん役、それぞれの役割が見えていて展開も読めているのにこの面白さ。
不思議だ。
これにミステリーな要素やマニアックな要素が加わったら鬼に金棒状態。

でもこんな「三菱リコール隠し事件」そのまんまな小説を書いて、三菱自動車から訴えられたりしないんだろうか?
「本書はフィクションであり、実在の場所・団体・個人等とは一切関係ありません」と断られると、三菱自動車もどうしようもないんだろうか。
事実そのまんまだから、どうしようもないんだろうか。

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下町ロケット/池井戸潤 経済小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:下町ロケット
・著者:池井戸潤
・定価:778円
・出版社:小学館文庫
・発行日:2013/12/21

◆おすすめ度◆
・エンタメ経済小説度:★★★★
・ざまみろ!なカタルシス度:★★★★
・予定調和の快感度:★★★★

◆感想◆
佃製作所の社長・佃は、取引先から突然の取引終了を通告される。競合する会社からは特許侵害で訴えられ、銀行からは融資を断わられるが…

銀行や大企業の思惑に翻弄される中小企業の姿を描き、最後には技術力認められ苦労が報われて社長も社員も万々歳というエンタメ経済小説。

佃の工場を見た途端に態度が180度変わる国重工の財前部長が変。
まるで中学生のように拗ねる佃の部下・江原もおかしい。
芝居がかりすぎで、展開も安易。もっと技術的な部分を深く書いて欲しい。
帝国重工の社長と佃と関係や、またバルブの制作をあっさり認めるのも都合よすぎ。

と、不満はあるけど、それでもページをめくるのが止まらない面白さ。
わかっていても面白く感じる水戸黄門的カタルシスは素晴らしい。
これで斬新さやユニークさが加わったら、とんでもないエンタメ小説になっちゃう。

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あいつは戦争がえり/戸梶圭太 バイオレンス小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:あいつは戦争がえり
・著者:戸梶圭太
・定価:734円
・出版社:文芸社文庫
・発行日:2017/10/5

◆おすすめ度◆
・スプラッターバイオレンス度:★★★★
・ひょっとして現実に?度:★★★
・意外と?まっとうなテーマです度:★★★

◆感想◆
銃乱射事件などが現実に起きているのをみると、本書の内容もひょっとして現実に!? なんていうリアルさも。
妙にあざとく小賢しい好戦的な歴史小説より、よっぽど清々しくスプラッターでいい。

あいつは戦争がえり (文芸社文庫 と 1-3)
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