だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

NO.6〔ナンバーシックス〕#1~#9/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書名:NO.6〔ナンバーシックス〕#1~#9
・著者:あさのあつこ
・定価:950円×9巻=8,550円
・出版社:講談社
・発行日:2003/10/10~2011/6/13

◆おすすめ度◆
・児童向けSF冒険小説度:★★★★★
・大人向けSF冒険小説度:★★★★
・正義と偽善/自己満足と傲慢度:★★★★
・ハラハラドキドキ、ワクワクじんわり度:★★★★

◆感想◆
近未来の飢えや病気らか解放された理想的な都市「NO.6」。その中でもエリートだが住むことを許されたクロノスで、紫苑はネズミと呼ばれる少年をと、運命的な出会いをする・・・

足掛け8年に渡って刊行された「NO.6」がとうとう完結。
児童向けのSFアクション冒険小説だけど、児童にだけ読ませるのはもったいない出来上がり。
さすがだねえ、あさのあつこ。

物語は病気もなけれな飢えもない、幸せを絵に描いたような理想的都市である「NO.6」が舞台。
一見理想的なんだけど、その背景や管理する側の人間は真っ黒な心の人達が。
ひょんなことから出会うことになった「ネズミ」と名乗るミステリアスな少年と、エリート学生の紫苑。
相反する環境で育った二人が、固い友情(?)を育みながらNO.6の暗部に迫る!

愛あり友情あり、スリスとサスペンスの冒険アクション小説。
おまけに正義とはなにか、自分の行動に偽善や傲慢はないのか? といった児童書ならではのストレートな正義論も加わって、読み出したら止まらない面白小説に。

多くの正しい青少年に読んで欲しい物語だし、ついでにお父さんやお母さんも楽しめるお買い得本だ。

今なら#1~#6までは文庫で読めます。
#6まで読んだら、#7~#9が文庫化するまで絶対待てずに単行本を買うこと請け合い。

NO.6〔ナンバーシックス〕#1 (YA!ENTERTAINMENT)

あさの あつこ 講談社 2003-10-11
売り上げランキング : 22952
by ヨメレバ

本書が刊行されはじめた頃、3巻までは発行後すぐに読んでいたんだけど、「全部揃ってから読まないとフラストレーションたまりまくりだ!」と思って#9が発行されてから一気通貫。

やっぱり面白い長編は一気読みに限る!

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

神々の午睡/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書名:神々の午睡
・著者:あさのあつこ
・定価:1,400円
・出版社:学研パブリッシング
・発行日:2009/10/13

◆おすすめ度◆
・ファンタジー短編集度:★★★
・あるいは童話度:★★★
・それともお伽噺度:★★★

◆感想◆
神と人間と箜(くう 神と人間の中間的存在)がおりなす、ギリシャ神話みたいな感じのファンタジー短編集。

あさのあつこのファンタジー小説ということで、ちょっと期待したんだけど、
読者対象が清らかな少女たちのようで、おじさんが読むにはパンチが足りない。
その辺をよく見極めてから読めってことだ。

何でもかんでも読めばいいってものじゃないんだなあ。
たいていの男性はスカートはいて喜んだりしないし、多くの女性は格闘技にのめり込んだりしない。(例外はあるけど)
ま、そうゆうことだ。

それでも寓話として読めるあたり、著者が手を抜いていないということかも。


神々の午睡
神々の午睡あさの あつこ

おすすめ平均
stars人間臭い神々の物語
starsもうひとひねり欲しい。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


「神々の午睡」に登場する神々は、非常に人間的。
嫉妬もすれば間違いも犯す。
極めて日本的な神様?
神よりも何よりも、自分の価値観を大切にしなさいという著者のメッセージ?


◆他サイトの感想など◆
あさのあつこさんインタビュー/kurasse


テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

地に埋もれて/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書 名:地に埋もれて
・著 者:あさのあつこ
・出版社:講談社
・定 価:1,400円
・発行日:2006/3/20

◆評価◆
・ファンタジックホラー度:★★★
・生者と死者/彼岸と此岸度:★★
・自分の欲しいものは?/どうすれば満たされるのか?度:★★

◆感想◆
目が覚めると、土の中にいた。埋もれているのだと、すぐに悟った…

不倫相手と心中しようとした優枝は、自分だけ埋められた土中で目覚める。なかなかショッキングな冒頭のこの物語は、「透明な旅路と」の続編といった趣き。

自分が死んでいるのか生きているのか、いったい何を求めて生きているのか、登場人物のさまよい悩む姿が、うすら淋しい風景や人間関係とともに描かれる。
ファンタジーあるいはホラー仕立ての展開ながら、生・死の意味を問いかけるような登場人物の台詞が、毎日ぼんやり/忙しく暮らす自分のハートをビビッと震わす。

いったい自分が生きている理由ってなんなのか?
家族のため? 仕事のため? 自分で決めた目標のため?
どれも当っているようだけど、100%正解という気もしない。

いったい俺は何がしたいんだ!!

とりあえずは、昼飯が食べたい。

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

弥勒の月/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書 名:弥勒の月
・著 者:あさのあつこ
・出版社:光文社
・定 価:1,600円
・発行日:2006/2/25

◆評価◆
・せつなくも悲しい時代小説度:★★
・心の闇を抱える男たち度:★★★
・おりん 美しすぎるぜ度:★★★★

◆感想◆
小間物問屋「遠野屋」の若女将おりんが、溺死体で発見させる。おりんが自殺したことに納得のいかない遠野屋の主人は、同心木暮信次郎に調査を依頼するが…

どこが無気味でペシミスティックな同心。
それに呼応するような、本心を見せない遠野屋の主人。
おりんの死を調査する展開にあわせて、二人の性格が描写されるが、ここが本書の読みどころ。

少年少女たちの心を描き出してきた著者が、若い二人の登場人物の心をどう描くか!

これがなかなかシリアスタッチでいい。
切れ者で相手の気持ちなど慮ろうともしない同心。彼の言い掛かりのような質問にも、感情を表わさず冷静に答える遠野屋の主人。
二人の駆け引きもうまいし、間に入る初老の岡っ引きも、良い味をだしている。

ミステリー小説にもなっているし、悲しき恋愛小説のようでもあり。
それにしてもここに登場する女性たちが美しすぎる。
特におりんは、弟の嫁に迎えたいくらい。(弟いないけど)
弥勒のような女性って、ひとつの理想形。だからよけいにせつなく悲しい。

ただ近しい女性が弥勒に見える時もあるけど、なぜかだんだん鬼のように感じる機会が増えてくるようなこないような。

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

福音の少年/あさのあつこ

◆読んだ本◆
・書 名:福音の少年
・著 者:あさのあつこ
・出版社:角川書店
・定 価:1,400円
・発行日:2005/7/25

◆評価◆
・若者(永見明帆)の心に棲む闇度:★★★★
・その闇に恋する少女(北畠藍子)度:★★★★
・彼等をシニカルに見つめる若者(柏木陽)度:★★★★

◆感想◆
ジャーナリストの秋庭は、地方都市で起きたアパート全焼現場に向かう。夕刻、現場に到着した秋庭は、2人の若者に遭遇するが…

高校生三人を主人公とする、光と影というか、人の心の明と暗を描き出した小説。
少年達がキレる様子を題材にした小説は数あるが、そのキレる姿をあるがままに見せ読者に理解させながら、物語を展開する構成。著者の鋭い観察眼なしにはできない小説。

「おれたちを繋ぎ止めるものは、もう何もなくなったんだ。自由になりたいって、……やっとそれが叶ったわけだ。」
「本気で人を好きにならなくちゃ… 大切なんだよ」
「たった一つのボールが人の生き方を変化させる。そんなことが、あるのだろうか。」
「纏わりつくものも、繋ぎ止めようとするものもない。完璧な自由だと思わないか。」

自分の有り様に戸惑い、友人や異性との考え方の違いに齟齬を感じる主人公たち。彼等が発する言葉は、同世代の読者に強いインパクトを与えるだろう。
もう一度高校生に戻った気分で読むと、にわかに息苦しさと胸が締め付けられるような感覚が。

ところが後半から大人達が登場してくると、それまでの清冽な印象からリアルで醜い印象に急転換。 若者達の世界はよくも悪くもピュアーだけど、大人達の世界は醜く嫌らしく、それは誰が見ても一目瞭然の単純極悪の世界なのね。
いやだいやだ。

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

FC2Ad