だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

連環宇宙/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:連環宇宙
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:1,280円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2012/5/11

◆おすすめ度◆
・壮大なスケールのSF/ドラマチックな人間模様度:★★★★
・時間封鎖三部作ついに完結(仮定体の謎も解決)度:★★★★★
・面白い小説は、終わらない方がなお面白い度:★★★★★

◆感想◆
スピン封鎖が解除された地球のテキサス州で、一人の青年が警察に保護される。彼が持つノートには、1万年後に再生したタークの手記が書かれていた…

とうとう完結してしまった「時間封鎖」「無限記憶」「連環宇宙」の三部作。
「無限記憶」には本書の伏線がいっぱいあるようなので、すっかり忘れてしまった「無限記憶」の再読からしようと思い読みはじめると、これが面白い。
ささっと斜め読みしようと思ったのに、じっくり読んじゃう面白さ。
「忘れる」ってステキなことだ。

なんて感想はおいといて、本書「連環宇宙」は「無限記憶」に登場したターク等に新たな登場人物をくわえ、時間封鎖解除後の地球と、1万年後の世界が舞台となって展開。
物語はサスペンスと冒険小説風な味付けのSF的展開で進むが、ラストは仮定体の謎を含む大風呂敷をさらに広げて畳んじゃうという壮大なスケールのSFに。

「時間封鎖」を読みはじめたら、「無限記憶」「連環宇宙」と読まねば落ち着いた暮らしが出来ないというくらいの面白SFだ。
でも読み終わっちゃうと、なんかつまんない。
面白い長編小説は、「次はいったいどうなるんだ?ワクワク」という期待と興奮を抱かせながら、永遠に続いて欲しいぞ。

ロバート・チャールズ・ウィルスン 東京創元社 2012-05-11
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「時間封鎖」は続編が待ち遠しいシリーズのひとつだったんだけど、本書で完結。人生の楽しみがひとつ減ってしまった。
でも「天冥の標 」、「ソードアート・オンライン 」、「機龍警察 」、「十二国記 」(完結していないよな?)と気になる小説がいくつかあるので、頑張って生きて行こうと思う。(大げさ)

◆関連記事◆
〈時間封鎖〉三部作、遂に完結!/Webミステリーズ!
時間封鎖/ロバート・チャールズ・ウィルスン/サイト内
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クロノリス-時の碑-/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:クロノリス-時の碑-
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:1,100円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2011/5/31

◆おすすめ度◆
・破天荒SF小説度:★★★
・登場人物のドラマチックな運命度:★★★
・どうなる?どうなる!度:★★★

◆感想◆
20年先の未来から送り込まれる巨大な塔:クロノリス。その出現時のエネルギーで破壊される都市。いったい誰が? 何を目的に?

傑作「時間封鎖」の著者がおくる破天荒なSF小説。
出だしはわくわくドキドキで、「これからどう展開するんだ?」感いっぱいで期待高。
でも中盤から、登場人物の人間ドラマがメインな展開で(それはそれで面白いし、物語の核となる展開なんだが)、ややトーンダウン。
なんか「時間封鎖」と似た雰囲気の展開だ。

物語を貫くテーマは、本書の中にある「未来とは人びとの期待が現実化して形成されるもの」という文言に現れていて、決定論とか因果律とか人間原理とかを思い起こさせるもの。
まあ、人生は決まっているものではなくて、自分で造り上げるものということだなあ。
そうじゃなきゃ、やってられないしね。

クロノリス-時の碑- (創元SF文庫)

ロバート・チャールズ・ウィルスン 東京創元社 2011-05-28
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「クロノリス」はキャンベル記念賞受賞作というふれこみだけど、ほぼ同時期に出版された「ねじまき少女」はヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンペル記念賞を受賞したという鳴り物入りのSF小説。
出だしはどちらも舞台がタイだったりして、「ねじまき少女」も期待して読みはじめたんだけど・・・

若い時は肉が大好きだったのが、歳を取ると和食を好んだり。
新製品が出ると飛びつくように買っていたのが「別にフェイスブックとかできなくていいし」と思うようになったり。

要は「ねじまき少女」を面白く感じない自分は、もう思考が初老なのかと。
う~む。

◆他サイトの感想など◆
堺三保/ロバート・チャールズ・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』解説/東京創元社
クロノリス-時の碑-(本が好き!)/livedoor ニュース

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無限記憶/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:無限記憶
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:1,240円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2009/7/31

◆おすすめ度◆
・気宇壮大なSF度:★★★★
・前作「時間封鎖」と次作完結編「Vortex」の中継ぎ度:★★★★
・仮定体の正体と目的は!度:★★★★

◆感想◆
地球人類が「アーチ」をくぐり抜け、「新世界」に移住をはじめて30年。この新世界に不思議な能力を持つ子供が生まれていた。その少年アイザックに会うため、一人の老女が砂漠の中の集落を訪れる・・・

前作「時間封鎖」の続編。
仮定体の目的はなにか? その構造は? 人類に対して何をしようとしているのか!? といった前作「時間封鎖」での未解決事項を進展させる展開が、本書「無限記憶」の内容。
登場する人物たちは、特殊な能力を持つ少年アイザックを中心に、仮定体の謎に迫って行く。

ただ本書はあくまでも「時間封鎖」と完結編「Vortex」の中継ぎだ。
仮定体の姿がつまびらかになる訳じゃない。それは「Vortex」のお楽しみ。
うーん、早く完結編が読みたいぞ。

そんな中途半端で欲求不満のたまる本書ではあるが、仮定体の活動として起きる奇抜な事象に目を奪われるし(いささか陳腐でチープな感はあるが)、仮定体の謎を宇宙規模でひっぱり回して読者を幻惑させる展開に、おもわず夢中で読んでしまう。

やっぱりSFって面白いよなあ。
普通なら想像もしないような風景や出来事や世界観を、リアルに見せてくれる小説。
現実の些事から解放してくれるし、人間の小ささを見せつけてくれる。

宇宙は無限だあっ!


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ジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル/Wikipedia


地球と未知の惑星「新世界」を繋ぐアーチは、全体を一望するには宇宙から撮影された写真が必要という規模のデカさ。
ちょっと想像を絶するが、イメージするにはアメリカセントルイス市にあるゲートウェイ・アーチがいいかも。

小説の中のアーチに比べたら月とスッポンだけど、写真で見るだけでも結構な異世界感がある。


無限記憶 (創元SF文庫)
無限記憶 (創元SF文庫)茂木 健


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時間封鎖/ロバート・チャールズ・ウィルスン

◆読んだ本◆
・書名:時間封鎖
・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン
・定価:上940円 下940円
・出版社:創元SF文庫
・発行日:2008/10/31

◆おすすめ度◆
・大仕掛けSF小説度:★★★★★
・人類の終末的SF度:★★★★★
・微小テクノロジーと全宇宙的規模のスケール度:★★★★
・ジェイスンは真理を掴む?/ダイアンとタイラーの関係は?度:★★★★★

◆感想◆
ある夜、空から忽然と星が消えてしまう。それは地球が得体の知れないモノによって覆い尽くされたためだった・・・

SFが読みたい! 2009年版 」の堂々1位。「WEB本の雑誌 今月の新刊採点」で採点員5人全員が満点をつけたという、大注目のSFだ。

物語は、スピンと呼ばれる膜のようなもので覆われてしまい、外宇宙と断絶させられた地球。そしてスピンで覆われた地球だけが、異なった時間流の中におかれてしまう。
題名通り地球が「時間封鎖」されてしまうのだ。

いったい誰が、どんな目的で、どうやって時間封鎖したのか。

夜空を眺めていたとき、忽然と星が消えてしまうという実体験をした3人(双子の姉弟と友人男子)。
彼らが主役となって、物語が展開する。

これは読みごたえ十分のエンターテイメントSFだ。
小難しくマニアックなハードSFにせず、平易で分かりやすい表現なのがいいし、登場人物が双子の姉弟ダイアンとジェイスン、そしてその友人タイラーという3人がメインで、非常に分かりやすい。(外人の名前を覚えられない自分向きだ)

それでいながら、大胆なSFとしての仕掛けや、親子や友人間での人間ドラマもちゃーんと描かれているし、震えるような緊張感のあるシーンや、それこそセンス・オブ・ワンダーしまくりのSFならではのシーンも。

夜空から星が消えてからの数十年という長丁場を、巧みな展開でグイグイ読ませる。
SFとしての落ちも、人間ドラマの落ちもウマイ!

ダイナミックで先の読めないワクワクする展開と、登場人物や人間ドラマがきっちり描かれてこそ、面白い小説たりえる。
SFでもミステリーでも、仕掛けやトリックだけの小説はいまいち物足りない。
そこに人物が絡み合ってこそ面白い物語になるんだと、再認識した次第。

とにかく、「星のない夜空が夢に出てきて、びっくりして目覚めて夜空を見れば、ちゃんと星が瞬いてる!よかった!!」という幸せ感を味わいたい方は、今すぐ本屋へ!


Spin  Axis


本書に登場するスピンをはじめとしたいくつかのSF的な設定は、最後まで謎のままなんである。
もちょっとハードに真相に迫ってくれてもいいよな、と思いつつ読後に解説を読むと、なんと本書は3部作の第1部なんだと。
期待に胸が膨らむが、ハイペリオンシリーズみたいに待たされるんだろうな。


時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)
時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)Robert Charles Wilson 茂木 健

おすすめ平均
stars万人向けの傑作です
starsベテランにもハードSFの初心者にもうってつけ
stars訳の分からない怖さ
starsヒューゴー賞は伊達じゃない
stars話もうまいしSFマインドもたっぷり

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時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)
時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)Robert Charles Wilson 茂木 健

おすすめ平均
starsある段階にいたった文明には
stars始まりの終わり

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◆他サイトの感想◆
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