だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

プロジェクトぴあの/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:プロジェクトぴあの
・著者:山本弘
・定価:1,900円
・出版社:PHP研究所
・発行日:2014/9/1

◆おすすめ度◆
・アイドル系ハードSF小説度:★★★★
・ヒロインのぴあのがユニーク過ぎる度:★★★★★
・著者らしいガジェット満載度:★★★★

◆感想◆
人気アイドルグループのメンバーにして、物理学と天文学に天才的な才能を持つ結城ぴあの。彼女の「宇宙への想い」をつづったアイドル系ハードSF小説。

サブカルチャーやアキバ文化、近未来のオタク文化などに加え、ハードSFな仕掛けや記述も満載な著者らしいSF小説。

なんといってもこの物語のキモは、主人公結城ぴあののキャラクター。
アイドルになったのは自分の夢を実現するための手段といってはばからない彼女は、人を愛するという情緒が理解できないばかりか、ヒトとモノに明確な境界線はないと考えるスーパークールな設定。
さらに物理学や天文学に天才的な才能をもち、コンクリートブロックと魚を焼く網のようなものと針金などで核融合実験装置を自分で作って検証しちゃうというマッドサイエンティストぶり。

秋葉原電気街で出会った「男の娘」の貴尾根すばるの視線で描かれる結城ぴあのがとってもユニーク。

様々な困難を乗り越え、結城ぴあのは夢を叶えることができるのか!?
カタルシスのある展開なにのどこかセンチメンタルな雰囲気が漂うのも彼女のキャラクターのせい?

自宅で核融合実験をする人を「フュージョニア」といい、実際に装置を作って成功したティーンエイジャーもいるそうで、マニアの世界は超ディープ。

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僕の光輝く世界/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:僕の光輝く世界
・著者:山本弘
・定価:1,500円
・出版社:講談社
・発行日:2014/4/8

◆おすすめ度◆
・少年向けミステリー小説度:★★
・アントン症候群にも俄然興味がわく度:★★★
・ちょっとメタっぽい度:★★★

◆感想◆
いじめが原因で脳に重大な障害を負った少年・光輝。目が見えないのに、視覚があるように感じるというアントン症候群となってしまったのだ。そんな彼が見えない世界を観ることで、身の回りに起きた事件を解き明かしていく…

ちょっとオタクで明るい光輝と、美少女キャラだと思ったらひねくれ女子だった夕の二人が主役。
アントン症候群というとっても不思議な症状を呈する障害をベースに、それを逆手にとって事件を解決するというミステリー小説だ。

障害があるとはいえ、またひねくれてるとはいえ、主役たちの明るさや爽やかさが横溢している展開。
ちょっとメタっぽい現実の厳しさを織り込んだような描写や、「と学会」なネタもあったりする、ユニークな少年向けのミステリー小説になっている。

そんな小説の面白さもさることながら、俄然興味がわくのが「アントン症候群」。
失明しているのに患者がまるで見えているかのように振る舞うので、盲目になっているにの気付くのに数日かかった、なんていうにわかには信じがたいこの障害。
人間て不思議だ。

自分が未来の宇宙のヒーローだと思いこんでいるカーク・アレン(仮名)という物理学者のエピソードもびっくり。
その思い込みの世界を真実だと信じ、架空世界の地図や歴史や体験したことなどを膨大な手記として残していたという。
人間て不思議だ。

詳細は宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (絶版です)

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MM9-destruction-/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:MM9-destruction-
・著者:山本弘
・定価:1,900円
・出版社:東京創元社
・発行日:2013/5/30

◆おすすめ度◆
・怪獣アクションSF小説度:★★★★
・正しい怪獣マニアの少年向け度:★★★★
・少年の淡い恋度:★★★

◆感想◆
MM9シリーズ第三部。最終決戦の巻!
スカイツリーを襲った宇宙怪獣を辛くも撃破してから二日。一騎と亜紀子、そしてヒメは茨城県内のとある神社に護送された。そこで出会った美少女巫女ひかるは、ヒメとの意外な関係を明かす…

という出だしのシリーズ三作目は、巨大怪獣のアクションシーン満載。
異星人の地球侵略、美少女の巫女・ひかるの登場による少年一騎を取り巻く美少女たちの四角関係、古代神話にまつわる蘊蓄などを盛り込んで、ウルトラマンばりの怪獣小説に。
良いもん、悪いもんがはっきり分かれて、勧善懲悪なスートーリも王道。
円谷プロがつくる怪獣映画の原作にして欲しいと思う出来映え。

読者ターゲットは怪獣マニアな少年向けに思えるけど、怪獣マニアな少年の心を持つお父さんでも大丈夫。
未読の怪獣マニアなかたは、MM9シリーズの第一部から読むと喜びもひとしお。
気持ちだけ少年時代に戻れること、請け合いです。

テレビドラマ化されたMM9の放送告知CMがYouTubeで見られます。
なんで怪獣が出てこない?

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UFOはもう来ない/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:UFOはもう来ない
・著者:山本弘
・定価:1,900円
・出版社:PHP研究所
・発行日:2012/12/21

◆おすすめ度◆
・ファースト・コンタクトSF小説度:★★★★
・UFOに関するマニアックな蘊蓄と批評てんこ盛り度:★★★
・正しいSF少年向け度:★★★★

◆感想◆
地球を監視しつつけてきた知的生命体・スターファインダー。彼らは地球文明の進度から「最終シークエンス」を発動しようとしていたが…

SFへの愛情と「科学的で俯瞰的な視点が重要」という考えがひしひしと伝わる著書が多い山本弘の新作は、ファースト・コンタクトがテーマ。

当然ながら、巷間に出回るUFOネタをこれでもかというくらいに盛り込んでるし、科学的な見方もおろそかにしない徹底ぶり。
少年たちを登場させて手に汗握る展開を用意するなど、正しいSF少年向けの小説としてもバッチリだ。

そんな著者が描く異星人はどんなんか?

人間が想像する異星人なんて、人間自身をもじったものに過ぎない、なんていうメッセージを込めながらも、登場する異星人がとっても人間っぽいのはご愛嬌。
意思の疎通ができなければ、この物語は成立しないし。
それでも「そう言われればそうだよね!」と思わせる設定に思わず拍手をしたくなる。

各章のタイトルも超マニアック。(ほとんどわかんないけど)

京都市山科区での伝統的なジャンケンの掛け声は
「インジャンポックリコでチンポ抜けた!」
というのは本当!?

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名被害者・一条(仮名)の事件簿/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:名被害者・一条(仮名)の事件簿
・著者:山本弘
・定価:840円
・出版社:講談社ノベルス
・発行日:2012/4/4

◆おすすめ度◆
・名探偵ならぬ名被害者登場度:★★★
・B級な雰囲気がたまらなくいい感じ度:★★★
・トンデモな落ちにワッハッハッ度:★★★

◆感想◆
名探偵が次々と殺人事件に遭遇してしまうように、何故か殺人事件のダーゲットにされてしまう名被害者もいておかしく無いだろうというコンセプト?のコメディ小説。

著者らしくオタク度やアニメ度、美少女度が高めのコメディ。
B級な雰囲気や、ツンとした主人公・一条(仮名)のキャラクターがくだけてていい感じ。
他の登場人物も笑わせるし、最後のトンデモな落ちもトンデモすぎて一種爽快だ。

真面目に読むとアレだけど、だらだらと読むとヘラヘラ笑えるしくみ。
作中作の、ミステリ研の雲母坂部長が夏休みをなげうって書いた「轟速狂時爆闘サーガー1・呪いの鮮血鬼伝説の館」は是非読んでみたくなる。
実際に刊行されたら絶対買っちゃう。

文明が高度に発達すると、お塩の容器の穴が詰まったり、シャーペンから次の芯が出てこなかったり、コピー機が紙詰まりを起こすなんてことはありえないらしい。

素晴らしい。
やっぱり文明は高度に限る。

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トワイライト・テールズ/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:トワイライト・テールズ
・著者:山本弘
・定価:1,400円
・出版社:角川書店
・発行日:2011/11/30

◆おすすめ度◆
・ジュブナイルな怪獣SF小説度:★★★★
・少年向けにしてはけっこうハードな出来事も度:★★
・少年向けらしいファンタジックな展開度:★★★

◆感想◆
「MM9」シリーズの最新短編集。
オタクな少年やかわいい少女、大人のお姉さんなんかが登場して、少年向けらしいファンタジックな物語になっている。
そのわりに、児童ポルノや売春なんかのかなり大人の出来事を物語に絡めたりしてるのは、啓蒙的考え?

いずれにしても、登場する怪獣がとっても人間的。
著者の愛がこもっているなあ。
「MM9」シリーズは未読でも楽しめる内容。
怪獣好きな少年は必読の書。
エッチなシーンでドキドキもできるかも?(最近の少年は、このくらいではドキドキしないのか?)

トワイライト・テールズ

山本 弘 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-11-30
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「夏と少女と怪獣と」はモンタナ州のフラットヘッド湖が舞台となっているんだけれど、当然ながらこの湖にはモンタ・ナネッシーが棲息しているという未確認動物な情報があり、他にもUMAな情報が山盛り。

残念ながら自分はUMAは見たことないんだけれど、UFOらしきモノは見たことあって、あれは多分飛行機に太陽光が反射したんだとおもうんだけど、それにしてもまん丸でシルバーに輝く飛行物体を見た時は唖然とした。
その後の人生に影響するほどではなかったけど。

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『トワイライト・テールズ』(山本弘)
山本弘「トワイライト・テールズ」(角川書店)/The Road to Gourmet Golfer
モンタナ州のネッシー/一日一万歩!
MM9―invasion―/山本弘/サイト内
MM9/山本弘/サイト内

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MM9―invasion―/山本弘

◆読んだ本◆
・書名:MM9―invasion―
・著者:山本弘
・定価:1,700円
・出版社:東京創元社
・発行日:2011/7/25

◆おすすめ度◆
・ライトノベルな怪獣SF小説度:★★★★
・正しいSF少年とすれたSFオヤジ向け度:★★★★
・多重人間原理でSFマニアの攻撃回避度:★★★

◆感想◆
宇宙怪獣が地球に襲来!気特対に危機がっ。ヒメはっ! な展開の、「MM9」の続編登場。

前作は連作短編集な構成だったけれど、本書は長編な構え。それも「MM9」の「第二話 危険! 少女逃亡中」に登場した美少女な怪獣「ヒメ」が大活躍の盛り上がりぶり。
早速東京スカイツリーは怪獣バトルの舞台になるし、冷え冷えな先進波メーザーとかMLRS-M31GPS誘導ロケット弾とか、それはもうリアルに大真面目に荒唐無稽な怪獣SFなんである。

おまけにヒメと案野一騎少年のマンガチックでエロチックな接近(小学生男子向き)もあったりして、巨大怪獣大暴れなアクションSFは無垢な小学生とすれたオヤジが楽しめる作風に?

一気に読み終わったあとは、続編「MM9―destruction―」を首を長くして待て!
待てない人は東京創元社の「Webミステリーズ!」で無料先読みだっ。

MM9―invasion―

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美少女な怪獣「ヒメ」は、日本神話の奇稲田姫なのだそうで、同様に登場する怪獣たちは多重人間原理による「神話宇宙」に属するから、まったくもって物理法則の埒外なんである。
電卓を片手にSFを読む、ハードでマニア、デープでコアな読者を煙に巻く著者の必殺技炸裂。

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『MM9 - invasion -』(山本弘)/馬場秀和ブログ
MM9 -invasion- 山本弘 東京創元社/この世の全てはこともなし
【特別掲載】山本弘『MM9―destruction―』第1回/東京創元社「Webミステリーズ!」
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