だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

あいつは戦争がえり/戸梶圭太 バイオレンス小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:あいつは戦争がえり
・著者:戸梶圭太
・定価:734円
・出版社:文芸社文庫
・発行日:2017/10/5

◆おすすめ度◆
・スプラッターバイオレンス度:★★★★
・ひょっとして現実に?度:★★★
・意外と?まっとうなテーマです度:★★★

◆感想◆
銃乱射事件などが現実に起きているのをみると、本書の内容もひょっとして現実に!? なんていうリアルさも。
妙にあざとく小賢しい好戦的な歴史小説より、よっぽど清々しくスプラッターでいい。

あいつは戦争がえり (文芸社文庫 と 1-3)
戸梶 圭太
文芸社
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◆関連記事◆
戸梶圭太 on Twitter: "こいつが『あいつは戦争がえり』です。最新作です ...

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劣化刑事/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:劣化刑事
・著者:戸梶圭太
・定価:638円
・出版社:徳間文庫
・発行日:2013/8/15

◆おすすめ度◆
・スーパーB級警察小説度:★★★★
・激しい暴力から静かな狂気へ度:★★★
・刑事の芝居に大笑い度:★★★

◆感想◆
警察の誤認逮捕で人生を狂わされた赤石。極度の引きこもりになった彼が、ひょんなことから殺人現場を目撃してしまうが…

引きこもりの殺人現場の目撃者を中心人物にして、精神を病んだ暗い刑事やヤクザまがいの刑事などがくんずほぐれずの追いつ追われつで、壮絶バトルを繰り広げるスーパーB級警察小説。

激しい暴力シーンもさることながら、精神を病んだ暗い刑事の静かな狂気が強烈に印象的。
どっかでこんな人とすれ違ってるかもしれないと思わせるリアルさもあって、ひたすら暴力的だった従来の登場人物と比べても異質な狂気を感じさせる。
こんな刑事、いそうだで怖い。

脇役にも、ゴミ御殿の何言ってんだか分かりにくい親父とか、一見まじめそうだけど劣化し始めている警察署長とか、日本を見限っているコスプレ少年とか。

いずれも癖の強いキャラクターばかりだが、まともじゃ生きていけない世の中を反映しているのか?

刑事が芝居を打って参考人の気を引くシーンは爆笑もの。
こんな話しを聞いたら、どんな奴か絶対見たくなる。

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おじいちゃんもう一度最期の戦い/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:おじいちゃんもう一度最期の戦い
・著者:戸梶圭太
・定価:648円
・出版社:NMG文庫
・発行日:2013/4/19

◆おすすめ度◆
・荒廃した団地でのトンでも事件簿度:★★★★
・ぶっ飛んでるおじいちゃん度:★★★★★
・他にもびっくりな人物がいっぱい度:★★★★

◆感想◆
父親が起こした不祥事で、祖父の住む荒廃した団地へ引っ越すことになった直人。そこに待ち受けていたのは、とんでもなくぶっ飛んでるおじいちゃんと、荒廃した団地やぶっ壊れた住人たちだった…

著者初のライトノベルということだけど、準主役の青年がかなり少年っぽい設定というだけで、従来のトカジテイスト満載の小説。

かなりぶっ飛んでます。
おじいちゃんも尋常じゃありませんが、他の登場人物も普通じゃありません。
「焼きそばああ!」「コロッケ!」「餃子あああっ!」などと料理の名前だけしか喋らないシナガキとか、床が凹んでカビが生えるような巨漢チャットレディとか。
そりゃもう想定外の登場人物でびっくりするやら嬉しいやら笑っちゃうやら。

あとがきには「人間は自分の理解の範疇を超えた人間と出会わないと成長できないということだ」というトカジの金言が。

そうか、そうゆうことだったのか!
著者の小説に、はとんでもない人物がよく登場するが(とんでもない人物しか登場しないともいえる)、そこにはこんな意図があったのか!

んんん、でもこんなイタイ人物はなかなか現実では出会えないぞ。
ほっとするような、残念なような。

最近遭遇した、かなり常識はずれな人間といえば、

昼間のコンビニで見た、黒いレースのドレスで女装したすね毛モジャモジャのひげ面男。
公園で、腰のベルトに8本のリードをつないで、8匹の子犬を散歩させるタコみたいなお姉さん。(イカか?)
何十分も人を面罵し続け、キレまくる会社役員。(メタボで油顔)

成長するには、まだまだ出会いが足りない気がする。

◆関連記事◆
戸梶圭太『おじいちゃんもう一度最期の戦い』/小説☆ワンダーランド
おじいちゃんもう一度 最後の戦い/積ん読パラダイス

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レジスタンス、ニッポン/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:レジスタンス、ニッポン
・著者:戸梶圭太
・定価:1,600円
・出版社:双葉社
・発行日:2013/3/24

◆おすすめ度◆
・型破り結婚相談所&革命小説度:★★
・型破りな展開度:★★
・型破りな登場人物度:★★★

◆感想◆
バンドでのメジャーデビューの夢を断たれた活人は、叔父の経営する結婚相談所で働くようになるが…

自分のことしか考えない常識はずれの会員ばかりの結婚相談所。
「そりゃあ相手が見つからないよ」なヒドイ大人たちの姿を、トカジらしい激ヤバな表現で描写しつつ、主人公活人が世の中に失望するのが前半。
後半ではなんと、そんな「腐った日本に革命を!」な、型破りの展開。

傭兵やテロリストの登場など、脈絡があるようなないような、意表をついた展開で考え込んじゃいます。
が、そんなことは気にせず、型破りな罵詈雑言に感動するのもいいかと。
これだけ悪口を考えるだけでもけっこう大変そうですが、トカジジャンキーにはちょっと物足りないかも。

同時期に出版された「おじいちゃんもう一度最期の戦い」
こっちの方が、激しくぶっちゃけてます。

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原子力宇宙船地球号/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:原子力宇宙船地球号
・著者:戸梶圭太
・定価:1,429円
・出版社:イースト・プレス
・発行日:2012/9/25

◆おすすめ度◆
・ぶっ飛びサバイバル小説度:★★★★
・暴力と狂気と放射能が渦巻く宇宙船度:★★★★
・妙にリアリティがある度:★★★

◆感想◆
日本で相次いだ原発事故により、放射能で汚染されまくった地球。人類は巨大宇宙船を建造し、地球型惑星にむけて出発するが…

前作「迷宮警視正 最後の秘境」は原発事故を題材にしたぶっ飛び小説だったが、本書はそれに輪をかけてぶっ飛んでるサバイバル小説。

放射能で住めなくなった地球から脱出するため、大型の宇宙船に乗り込んだ人々。
しかし出発早々に、原子力エンジンの1基が爆発し放射能がだだ漏れ。日本人は原子力エンジンの改修作業という危険で過酷な労働を強いられる。

出だしの日本で相次ぎ原発事故が発生するというくだりが、なんとも妙にリアリティがあってゾッとさせられる。
さらに宇宙船の原子力エンジン改修作業は、フクシマの対策作業を連想させ、なおかつそれを超過激にした過酷さ。
次第にそこで働く人たちが狂気に蝕まれていく。
おまけにスーパーコンピューターの誤動作?や、仲間割れや、なんやかんやで生き残りを賭けた戦いに。

人間の暴力性や差別意識をむき出しにした著者の小説に、「そこまでやる著者はエライ! でもフィクションだから」と感じていたが、実際に起きた原発事故とそれを素材にすることで、妙にリアリティのある緊迫感も発生し「こりゃ もう大変だ!」みたいな側面も。

帯には「戸梶圭太、新境地かつ最高傑作!!」の文字があるが、あながち嘘じゃないぞ。

本文より抜粋して要約

近い将来必ず起きると予想されていた南海大地震が発生。耐震補強と津波対策がなされていたはずだった浜岡原発でメルトスルーが起こり地下水と接触、大量の放射性物資が撒き散らされた…
日本政府は「これでおこるべき大地震はすべて起きた。今後千年、大地震は起こらない」と判断し、全国の原発を再稼働すると宣言…

これってトカジの予言?

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原子力宇宙船地球号
 本書の一部が読めます
迷宮警視正 最後の秘境/戸梶圭太/サイト内

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迷宮警視正 最後の秘境/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:迷宮警視正 最後の秘境
・著者:戸梶圭太
・定価:667円
・出版社:徳間文庫
・発行日:2012/6/15

◆おすすめ度◆
・ぶっ飛び警察小説度:★★
・近年まれに見るブラック度:★★★★★
・反社会的/差別的/暴力的/狂気的/グロでシュール度:★★★★★

◆感想◆
原発反対集会に参加していた女性が、トチ狂った女にハンマーで殴られるという事件が発生。異様な雰囲気と存在感のある星野神警視正は事件の捜査を開始するが…

うむ、これはなんとも凄いというか突き抜けてるというか、トカジ作品の中でも近年まれに見るブラックな小説。

シリーズ1作目の「迷宮警視正」でも気を吐いた星野神警視正が、新たに強烈な個性の部下を従えて犯人を追いかけるという展開。
そして行き着く先が放射能で汚染されたフクシマ。

本文の前には注記書きがあって、

本作品は過激な暴力及び性描写などがございます。個人の判断によりお読みください。なお、登場人物の思考発言は作者ならびに徳間書店の思想立場を代弁するものではありません。

なんていうお断りがある。

さらに徳間書店編集部のブログには、「戸梶圭太先生『迷宮警視正』シリーズ第2巻刊行に関するお詫び」と題して、ネット上に流れた本書刊行中止の情報に対するお詫びなんかもあったりして。

言ってみれば、そんなお断りや刊行中止の噂が流布されるほどのブラックで暴力的でシュールな小説。
フクシマはすでにこうゆう題材にされてしまうほど、そして本書が妙にリアリティを持つほどの『秘境』であり、そう描写する著者の先鋭ぶりと、なかば命懸けな文章に圧倒される。

本書もインパクトのある小説だが、本書の刊行をめぐってのアレやコレやも興味深い。
戸梶圭太って、なんだか筒井康隆を思い起こさせる。

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迷宮警視正 最後の秘境(小説:戸梶圭太)/早トチリ感想文BOOKS
迷宮警視正/戸梶圭太/サイト内

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迷宮警視正/戸梶圭太

◆読んだ本◆
・書名:迷宮警視正
・著者:戸梶圭太
・定価:657円
・出版社:徳間文庫
・発行日:2012/1/15

◆おすすめ度◆
・よくも悪くも予断を許さない警察小説度:★★
・もっと変なキャラにして度:★★
・B級激安な登場人物度:★★

◆感想◆
定時制高校の生徒が殺害される。捜査のため高校に乗り込んできた星野神警視正を見た熱血教師の小山は、「ドラキュラだ、こいつは」と苦々しく思うが…

トカジのヘンテコ激安警察小説。
比較的まともな印象だけど、ドラキュラっぽい星野神警視正が気を吐いてる。
トカジファンにしてみれば、もっと変で過激にしてもいいかもと思うところ。

物語は殺人事件を発端にして、アレやコレやの予断を許さない、というか、まったく予想できない展開に。
「血肉畜世界」の調査のためチュニジアに行った古矢刑事はどうなった?
ドーベルマンを2匹飼っている臓器コーディネイターは何者!?
星野神警視正に感化された高校生のその後が知りたい!
などなど、様々な積み残しや知りたいことや何でやねんなことをほったらかしにするトカジのスバラシさ。

ファンの方以外にはおすすめできない小説ですが、私は好きです。

迷宮警視正 ((徳間文庫))

戸梶圭太 徳間書店 2012-01-07
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by ヨメレバ

本書「迷宮警視正」も前作「孤島の誘拐」もいきなり文庫での出版。
京極夏彦や宮部みゆきのそれとは違って見えるぞ。
頑張れトカジ!
アマゾンで著者の本を検索すると、どの著書も在庫が数点しかなかったり品切れ状態だったりするけど、へこたれないで欲しいぞ。

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