だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

マスカレード・ナイト/東野圭吾 ミステリー小説の感想

◆読んだ本◆
・書名:マスカレード・ナイト
・著者:東野圭吾
・定価:1,782円
・出版社:集英社
・発行日:2017/9/15

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説一気読み度:★★★★
・収束する展開度:★★★★
・複雑な人間模様度:★★★

◆感想◆
「ホテル・コルテシア東京」を舞台に事件が展開するマスカレードシリーズの最新作。
TVドラマ化必至のグランドホテル形式のミステリー、読者を飽きさせません。
全部が連携しちゃうのはさすがだし、人間の裏表を描写するのも上手だし、読者をそつなく納得させる手腕にも恐れ入る。
「怪しんで怪しんで、最後に疑問が解けた時、人は一切疑わなくなる」P446 
なるほど!

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虚ろな十字架/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:虚ろな十字架
・著者:東野圭吾
・定価:1,500円
・出版社:光文社
・発行日:2014/5/25

◆おすすめ度◆
・ミステリー小説度:★★★★
・飽きさせない展開と描写度:★★★★
・死刑制度の是非/償うとはどうゆうことなのか度:★★★★

◆感想◆
11年前に最愛の娘を事件で亡くした主人公の中原は、そのことが原因で妻とも別れ、ペットの葬儀会社に勤めていた。そんなある日、覚えのある捜査1課の刑事から、別れた妻が亡くなったという連絡がくるが…

子供を殺害されるという痛ましい事件。子供の親達の犯人に対しての感情や裁判における死刑の是非などを題材に、過去から現在へ、そして人から人へとつながる不幸と悔悛の連鎖が描かれる。

人殺しには死刑を求める親達の感情を全面に出しながらも含みを持たせる展開や、一見関わりのない事件や人物が次第につながっていく様子は、さすが東野圭吾、読者を飽きさせません。

死刑制度の是非は難しい問題。
犯人に死刑を求める気持ちは理解できるけど、それが生きる目標になってしまうもの悲しすぎるし、かといって怒りの感情をぶつける先を持たないでいるのも不安定だし。
無限に繰り返される仇討ちや報復し合う戦争のように空しく空虚。
起きないようにするのが一番だけど、起きてしまったものはどこかで食い止めなければならない。
それには現在の制度では虚ろなのだろう。
ただ虚ろだからこそのラストでもあるなあ。

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東野圭吾『虚ろな十字架』/horizont: 世界の色は、光で変わる。
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疾風ロンド/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:疾風ロンド
・著者:東野圭吾
・定価:648円
・出版社:実業之日本社文庫
・発行日:2013/11/25

◆おすすめ度◆
・B級アクション&ミステリー小説度:★★★★
・はらはらドキドキ度:★★★
・いきなりの大胆展開、さらに二転三転度:★★★

◆感想◆
大学の研究所から秘密裏に保管していた生物兵器が盗まれる。犯人は生物兵器と引き換えに3億円を要求するするが…

白銀ジャックの続編にあたるようなアクションミステリー小説。
スキー場を舞台にした生物兵器捜査をめぐるハラハラドキドキのシーンにくわえ、若者たちの淡い恋や親子のつながりやスキー場パトロール隊員とスノーボード選手の関係などなど、ゲレンデつながりの登場人物たちが盛りだくさんに登場。
それぞれの風景を交えながら、一見バラバラな人物たちが全部つながってくるという構成。

お手軽でささっと読めるミステリーにしながら、二転三転させたうえにひねったラストも。贅沢です。

スキーの滑走シーンも読み応えあるし、お間抜けなシーンもコミカル。
テレビの関係者なら、ドラマ化したくなる小説です。
いきなり犯人が○○○しちゃうもの驚きです。

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祈りの幕が下りる時/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:祈りの幕が下りる時
・著者:東野圭吾
・定価:1,700円
・出版社:講談社
・発行日:2013/9/13

◆おすすめ度◆
・じっくり読ませるミステリー小説度:★★★★
・つながる点と点、交わる線と線度:★★★★
・原発事故も昇華させ題材に度:★★★★

◆感想◆
「加賀恭一郎シリーズ」の最新作。本人が刑事として登場するだけでなく、物語られる側にもなるという、じっくり読ませるミステリー小説。
プロローグの部分から物語に引き込まれること必至です。
一見バラバラに見える事件が、しだいにつながっていく展開の妙。
別々の人生を送っていた人々が、偶然に、そして必然と交わる人生の奥深さ。

とんでもなく驚いたり唖然としたり冷や汗かいたりすることはありませんが、しみじみとじっくり読ませます。
原発事故を小説の題材として昇華させる巧みさも見事です。

シリーズを重ねるごとに加賀恭一郎がいい男に見えてきます。
信念を持って事件捜査に当たり、沈着冷静で鋭い洞察力をもち、剣道の腕前は全日本選手権で優勝するレベル。
もうかないません。
対抗できるのは湯川学くらいです。

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夢幻花/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:夢幻花
・著者:東野圭吾
・定価:1,600円
・出版社:PHP研究所
・発行日:2013/5/2

◆おすすめ度◆
・超絶ミステリー小説度:★★★★
・とっちらかった前半/俄然面白い後半度:★★★★
・読んだ後「黄色いアサガオ」で絶対検索する度:★★★★

◆感想◆
朝顔市で偶然出会った孝美に心を惹かれる蒼太。メールやデートを重ねるうちしだいに彼女のことしか考えられなくなる蒼太だったが、ある日唐突に別れを告げられ、連絡がとれなくなってしまう…

1962年に起きた陰惨な殺人事件。そして物語の主人公・蒼太が中学2年生の時の淡くも忘れられない孝美との恋模様。この二つを、プロローグにしたミステリー小説。

蒼太と孝美との恋模様と、過去の陰惨な事件がどのように繋がるのか。

前半はややとっちらかった感じ。
「もうちょっとじっくりと人物や背景を描写してよん」なんて著者に注文を付けたくなるような思いだったけど、後半になると「やっぱりミステリー小説って面白いっ」と俄然著者びいきに。

断片的な出来事や人物が、あれよあれよと繋がっていく様は、ミステリー小説の真骨頂。
閉じかけたまぶたも完全に開き、読み終わるまでは眠れません。
おまけに読んだ後「黄色いアサガオ」で絶対検索しちゃいます。

東野圭吾はミステリー小説のホームラン王です。

まいた種はすべてキチンと回収して物語の厚みにしていく東野圭吾。プロフェッショナルだなあと感嘆至極。
書き始める前にきちんとした設計図があるんだろうか。
それとも局面を直感的に読むプロ棋士のように、物語全体をイメージしているのか。
どっとにしてもスゴいには違いない。

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禁断の魔術 ガリレオ8/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:禁断の魔術 ガリレオ8
・著者:東野圭吾
・定価:1,400円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2012/10/15

◆おすすめ度◆
・技術系ミステリー短編小説度:★★★★
・ちょっといい話な落ち度:★★★★
・湯川がかっこいい度:★★★

◆感想◆
天才物理学者の湯川が、事件をスパッと解決するガリレオシリーズの最新刊。
「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の4編を収録。

超能力や超常現象をテーマにしたようなタイトルが並ぶが、中身は技術系。
つかみは超能力系でOK、みたいな。

一見無関係な二つの事件を、無駄なくスムーズに癒合させる展開も読みどころ。
「ちょっといい話じゃん」と思わせる落ちもステキだ。

それにしも湯川のキャラクターがどんどんかっこ良くなってるぞ。
科学者らしい裏付けのある推理と、骨太の信念も基づいた行動。
つっけんどんでクールなようでいて、人の心を大切にする湯川。
女にモテそう。
ドラマ化されてから、湯川のキャラがより明確に二枚目系になってる気がする。

本書「禁断の魔術 ガリレオ8」発売前に文芸春秋では「タイトル読み方当てクイズ」をやっていたんだけど(全然当たらなかった)、今度は感想募集の企画が。
抽選で記念品がもらえるらしい。

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東野圭吾『禁断の魔術 ガリレオ8』/文藝春秋 特設サイト
『禁断の魔術 ガリレオ8』(東野圭吾 著)/本の話WEB
「禁断の魔術 ガリレオ8」東野圭吾/雨降りだからミステリでも読もう・・・

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虚像の道化師 ガリレオ 7/東野圭吾

◆読んだ本◆
・書名:虚像の道化師 ガリレオ 7
・著者:東野圭吾
・定価:1,350円
・出版社:文芸春秋
・発行日:2012/8/10

◆おすすめ度◆
・科学的解明なミステリー短編小説度:★★★
・物理学者の湯川がとってもクール度:★★★
・物理学者の湯川がちょっとあたたかい度:★★★

◆感想◆
物理学者の湯川が事件を解決する、ガリレオシリーズの短編集。

「幻惑す」
 指一本触れずに男を殺したという教祖。果たして教祖の「念」の力は本当にあるのか。

「心聴る」
 幻聴のため凶行に及ぶ男。人を操るような「幻聴」とは、どのようなものなのか。

「偽装う」
 山中のリゾートホテル近くの別荘で起きた殺人事件。いったい誰が、何を目的に事件を起こしたのか。

「演技る」
 劇団の演出家が殺害される。様々な工作をした人物の真意とは。

の4つの短編がおさめられた本書、いずれも物理学者の湯川が事件解決の糸口を見つけ科学的に解決していくという、ガリレオシリーズ特有のミステリー小説。

1本目の「幻惑す」が自分好み。謎の解明はややインパクトが弱いけど、全編超能力や超常現象をテーマにして「インチキを科学的に解明していく」みたいな展開でもいいかと思うくらい。
一瞬「ガダラの豚/中島らも」や「仮想儀礼/篠田節子」、「砂の王国/荻原浩」を思い出したが、著者はそこまで突っ込む気持ちはないみたいで、なんか残念。

どの短編も大胆で超びっくりな展開じゃないけれど、ささっと読める割にディープな内容だったりもして、やっぱり東野圭吾なんである。

本書につづき「禁断の魔術 ガリレオ8」が10月発売。
タイトルは「猛射つ」「念波る」「曲球る」「透視す」の4つで、読み方を当てると懐中時計が抽選でもらえるらしい。

読み方はわからないけど、タイトルからすると超能力のインチキを科学的に解明するっぽくて楽しみだ。

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 「虚像の道化師」の創作秘話や「禁断の魔術 ガリレオ8」タイトル読み方当てクイズも
「虚像の道化師 ガリレオ7」東野圭吾/雨降りだからミステリでも読もう・・・
ガダラの豚 1 /中島らも/アマゾン
仮想儀礼/篠田節子/サイト内
砂の王国/荻原浩/サイト内

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