だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

凍/沢木耕太郎

◆読んだ本◆
・書 名:
・著 者:沢木耕太郎
・出版社:新潮社
・定 価:1,600円
・発行日:2005/9/30

◆評価◆
・山岳ノンフィクション度:★★★★
・ギャチュンカン北壁の死闘度:★★★★★
・読んでる自分が凍えそう度:★★★★★

◆感想◆
冒険小説ならば「スリルとサスペンスに富んだ」とか「手に汗握る」とか「生死をかけた極限の壁」とか感想をいえる。が、本書はノンフィクション。軽々しい言葉で感想を書くのをためらってしまうほど壮絶な記録。

登山方法には、大量の人員と物資を使ってベースキャンプを設け、アタッカーと呼ばれる数人の隊員が登頂を目指す極地法と、少人数または単独で短期間に登頂を目指すアルパイン・スタイルがある。
山野井は、アルパイン・スタイルの登山家として世界的に認められている。

8000mにわずかに足りないヒマラヤの高峰ギャチュンカン。独自の登山に対する考えを持つ山野井は、その素晴らしい壁に美しいラインを描いて登りたいと思い、それを妻であり優秀なクライマーでもある妙子と挑む。

まさに極限の登攀の一部始終が描かれる本書は、読んでいる方が震えるようなシーンの連続。
著者らしい静謐な筆致が、その凄さを際立たせている。

無酸素、ロープの安全確保なしでの登攀。
手がかりのないオーバーハング。
激しい雪と、襲い掛かる雪崩。
7000m以上の岩肌でのビバーク。

それこそ死を目の前にした登攀。
こうゆう本を読むと、虚構である小説がいかにも作り物に見えてくる。

あまり多くを語らないであろう山野井氏から、ギャチュンカン北壁登攀の体験をインタビューして文章にした著者の手腕も素晴らしい。

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

FC2Ad