だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

彼女がその名を知らない鳥たち/沼田まほかる

◆読んだ本◆
・書 名:彼女がその名を知らない鳥たち
・著 者:沼田まほかる
・出版社:幻冬舎
・定 価:1,600円
・発行日:2006/10/10

◆評価◆
・愛と狂気のミステリー度:★★★
・どよーんとした身体的言語感覚度:★★★
・驚愕のラスト度:★★

◆感想◆
黒崎と別れてからというもの、周囲の人となるべくかかわりを持たないように暮らしている十和子。そんな彼女に近付いてきた佐野陣治に対し、嫌悪感をあらわにする十和子だが…

別れた黒崎への思い、一種に暮らすようになった陣治へのいらだち。十和子の心情がうすら寒い身体的言語で語られる。
著者には自分を深く見つめすぎて、深い泥沼に入り込んでしまった経験があるんじゃないかと思わせるような言語感覚。
ちょっとヤバいかも。

それにしても十和子が陣治に対して抱く嫌悪感が、なんともやりきれないほど共感を生みそう。

水虫でめくれた足の皮をちびちび剥く陣治、便器汚さずに小便のできない陣治、痰のからんだ咳きをする陣治、ものを噛むときピチャピチャという音をさせる陣治…

こりゃもう女性に嫌われてもしょうがないという、だらしなさと気持ち悪さ。
一方十和子の方も、家事をしなければ化粧もしない、一日中レンタルビデオを見ているような怠惰で引きこもりの女性。
こんな二人がなぜ一緒に暮らしているのか?!

前半の十和子の陣治にたいする気持ちが綿々と綴られた部分にはうんざりしたが、後半から物語が動き出す。
ラストにはやや驚き?の展開が。

デパートの男性店員水島との関係が強引ではあるし、そんなに陣治を汚く描写する必要があるのかと思うが、そこが著者の持ち味という小説。

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