だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ビザール・ラヴ・トライアングル/浅倉卓弥

◆読んだ本◆
・書 名:ビザール・ラヴ・トライアングル
・著 者:浅倉卓弥
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,429円
・発行日:2007/6/15

◆評価◆
・ほのかな慕情&恋&想い度:★★★
・透明感溢れる文章度:★★
・現実とは繋がっていないどこか/繋がっているどこか度:★★

◆感想◆
ほのかな慕情をテーマにした、透明感とトワイライトな雰囲気の短編集。

子供や恋人や親を想う気持ちが、現実とは繋がっていない場所へと誘う。
ファンタジックで非現実的だけど、どこかで人はそんな情景を求めている、夢のような状態。
主人公達は、胸の内に抱える想いを実現させるように、そんな不思議な世界を垣間見、体験する。

著者と波長の合う、ロマンチックでセンチメンタル好きな方にお薦め。
個人的には最後の標題作が好きだ。
血の繋がっていない娘と、彼女が父親を想うという構図が、ありえないほど理想的だ。

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北緯四十三度の神話/浅倉卓弥

◆読んだ本◆
・書 名:北緯四十三度の神話
・著 者:浅倉卓弥
・出版社:文芸春秋
・定 価:1,238円
・発行日:2005/12/10

◆評価◆
・男性をめぐる姉妹の感情度:★★★
・心の中に潜む愛と憎悪/嫉妬と慈しみ度:★★
・今生きている理由/自分は何をしたいのか?度:

◆感想◆
子供の頃は中の良かった姉妹。しかし両親の突然の死と、妹の恋人の死により、姉妹の間には大きな壁ができるように。二人とも仲良くしたいという気持ちがありながら、互いに打ち明けられない思いを心に抱えて…

浅倉卓弥といえば、「このミステリがすごい大賞受賞者」という刷り込みがあり、ミステリー作家に分類しているけど、これはそろそろ「泣ける小説作家」あるいは「感動できる小説作家」に変更せねばなるまい。
物語の主人公は、大学で生物工学を研究している姉菜穂子と、ラジオ局に勤めDJをしている妹和貴子。菜穂子の同級生である樫村宏樹と、妹の和貴子が急接近したことから、姉妹の間に複雑な感情が。
さらに両親の死や樫村死が、二人の姉妹に通っていた心を遠いものにしてしまう。

一見三角関係がテーマのようだが、実は姉妹の関係にポイントが置かれている。
真面目で自分の気持ちを押さえ込んでしまう姉と、勝ち気な妹。
二人の心の葛藤が描かれるけど、現実を超えるほどではない。
フィクションにしては、インパクトや重みが足りない気が。
現実には、もっと泣きたくなるような、死にたくなるような思いを抱えながら生活している人が、いっぱいいるだろう と突っ込みたくなる。

でも女性の読者には受け入れられるのか。
それともこんな姉妹の関係は、考えられないと思われるのか。

そんなこんなで、前作「雪の夜話」とは真逆の感想に。
やっぱり登場人物に感情移入できないとつらい。

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君の名残を/浅倉卓弥

◆読んだ本◆
・書名:君の名残を
・著者:浅倉卓弥
・出版社:宝島社
・定価:1,900円
・発行日:2004/6/28

◆評価◆
・ファンタジック平家物語度:★★★
・「時」という運命度:★★★
・ドラマチックな主人公達度:★★★★

◆ひとこと◆
剣道の練習に明け暮れる友恵。彼女の幼馴染みである武蔵も、大会に向けて練習にいそしんでいた。そんなある日の夕刻、台風のような大雨が降る。たまたま帰りが一緒となった2人は、神社の古木に雨宿りをするが、真っ赤な閃光を曵いた稲妻が…

友恵と武蔵、そして志郎という友恵の友人の弟が、落雷により時空を飛ぶ。
飛ばされた先は、800年前の平家と源氏が争う合戦の時代だった。

出だしは甘い感じの青春小説ぽかったが、タイムススリップした先は、平家物語の世界。そのなかで3人の若者が、それぞれどのような人と巡り会いどのうように生きるかという物語り。
そして彼等の役割とは。

大河小説にもなる題材を1冊の本にまとめているだけあって展開は目まぐるしく、あら筋を追っているだけのような描写も多々あり。
歴史に興味のある人はその内容に惹かれるのかとも思うが、歴史が苦手の自分にはやや苦痛。
もっと日本史を勉強しておけば良かった。
(主人公たちもさして日本史が得意そうではないのに、そこそこ知識を持っているところが、小説らしい)

この小説のミソは、なんといっても主人公達の役割。
大きなうねりのように流れる「時」。すでに決まった歴史の中で、彼等は何をしようとするか。歴史を変える事はできるのか。そして彼等の人生とは、どんなものになるのか。
悲しみ、喜び、苦しむ主人公は、過去という苦境の中でしか得られない人生を送ろうとする。その前向きな姿勢と運命付けられた未来に、ドラマがある。

著者はずいぶんと頭をひねって、このドラマを考え出したようにお見受け。
読むのもいささか苦労したが、書くのはしんどかったろう。


君の名残を
君の名残を浅倉 卓弥

おすすめ平均
stars私には合いませんでした。
stars細かい事を気にせずに心で読んでみな
stars初めてミステリーと時代物を読みました。
starsこの本に出会えて何かに感謝したい。何度も読み直しました!
stars大好きです!

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