だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

はぶらし/近藤史恵

◆読んだ本◆
・書名:はぶらし
・著者:近藤史恵
・定価:1,500円
・出版社:幻冬社
・発行日:2012/9/25

◆おすすめ度◆
・ちょっと怖いサスペンス小説度:★★
・男には描けない女性心理度:★★★
・むずむずもどかしくなる度:★★

◆感想◆
一人暮らしをしている脚本家の鈴音。高校時代の友人・水絵から突然「相談したいことがある」と連絡を受けるが…

リストラされ、旦那とも別れてしまい、子供と二人で途方に暮れている水絵。彼女は一週間だけでいいからた水絵の家に泊めて欲しいという。
しかし一緒に暮らし始めると、常識とわずかに異なる水絵の行動や言動が気になり始めるという展開。

そりゃ気になります。
新しいのを買ってきたからといって、貸した歯ブラシを、しかも1回使ったものを返されたらドン引きです。
もうその時点で蹴飛ばしてい追い出してやればいいものを、気のいい鈴音は相手を思いやって親切にしてしまう。

これはミステリー小説というより、不可解で不条理な女性心理をサスペンスタッチで描いた、困ったちゃん小説ですね。
女性心理には興味ありますが、こんなねちねちとした描写はあんまり自分好みではなく残念。
読んでいてむずむずともどかしく、「もっとダイナミックでドバーッとした展開にして!」と、叫びたくなる思いでした。

ねちっこい性格のへんてこな女性に興味がある方は是非。

本当に困って居候するなら愛想良く、悪意をもってそうするならさっさと悪事を働くのが普通の男の考えること。
女性だとそうならないところが不可解で不条理ですね。

◆関連記事◆
近藤史恵『はぶらし』特設サイト/Webマガジン幻冬舎

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サヴァイヴ/近藤史恵

◆読んだ本◆
・書名:サヴァイヴ
・著者:近藤史恵
・定価:1,400円
・出版社:新潮社
・発行日:2011/6/30

◆おすすめ度◆
・自転車ロードレースなサスペンス小説度:★★★
・スポーツものはスカッと爽やかとは限らない度:★★★★
・癖のある石尾豪が魅力的度:★★★

◆感想◆
サクリファイス」「エデン」に続くシリーズ最新作。

といっても短編集です。
ですが、団体競技であるロードレースにおいて、「アシスト」とはどういう役目でどのような達成感ややりがいや屈折した思いがあるのか、というシリーズを貫くテーマは本書でも色濃く見られる。

ついてに、ツポーツ小説というと正義感や友情などを描いていて読後もスカッと爽やか!なものだという期待をいなし、嫉妬やダメダメ人間な展開も印象的。

そうだよねえ。
スポーツ選手全員がルールを遵守して、清く正しいプレーをするとは限らない。
汚い駆け引きや反則ギリギリ(あるいは反則)な技?を使って、対抗する選手を蹴落とそうとしたりするのは当たり前。
人間の闘争本能は、ほっとけばドンドンイケナイ方向にエスカレートするんだろうな。
へたすればそれが自分自身へも向いてきてしまうんだろうなあ。
なんて感想を抱かせる短編集。

「プロトンの中の孤独」「レミング」「ゴールよりももっと遠く」に登場する石尾豪も魅力的。
屈折しているけど、屈折しているからこそ虹色に光る、みたいな。
(決まったぜ! 決まってない?)

サヴァイヴ

近藤 史恵 新潮社 2011-06
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高校野球の開会式での選手宣誓。
「宣誓、我々選手一同は、スポーツマンシップに則り、正々堂々、戦うことを誓います」
なんていうのが一頃は定番だった。
穿った見方をすれば、「こんな宣誓をしなければ正々堂々と戦えないのか?」ということだよなあ。

◆関連記事◆
サヴァイヴ 近藤史恵 新潮社/ミユウのいろいろ日記
どん底の苦しみの中、「生き抜く」ということ 栗村 修/新潮社 波 2011年7月号より
サクリファイス/近藤史恵/サイト内
エデン/近藤史恵/サイト内

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エデン/近藤史恵

◆読んだ本◆
・書名:エデン
・著者:近藤史恵
・定価:1,400円
・出版社:新潮社
・発行日:2010/3/25

◆おすすめ度◆
・自転車レース小説度:★★★
・ツール・ド・フランスの過酷さと緊張度:★★★
・事件の背景にあるプロの厳しさと才能と信頼度:★★★★

◆感想◆
ツール・ド・フランスに出場する夢がかなった主人公白石誓。しかし、レースがはじまると、チーム内にはどこかぎこちない空気が・・・

サクリファイス」の続編。
こんどはツール・ド・フランスが舞台。
地名がフランス語だし登場人物もカタカナばっかりで、「うーむ、これは困った。地名と人名の区別がつかないぞ・・・」と、カタカナ固有名詞苦手症候群を発症しかけたが、思いのほか登場人物も少なく楽勝!
よかったよかった。

そんなことより小説の内容。
主人公は「サクリファイス」と同じ山岳を得意とするレーサー白石誓。
フランスのチームに所属し、ミッコというエースのアシスト役だ。
自分の勝利のために走るのか、それともミッコのアシスト役に徹しチームを優勝させるために走るのか、その葛藤が読みどころの一つ。
「サクリファイス」と同じテーマだな。
またそれがミステリー小説としての伏線にもなっている。

といってもミステリーな展開はわずか。
レースの駆け引きや、ツール・ド・フランスという自転車競技に関する興味でクイクイ読ませる。
レースに関するくどい説明がなく(逆に説明不足なくらい)、短い文章で登場人物の心理描写をするあたり、スカットしていてスポーツ小説らしくいい感じ。

読後の印象も爽やか!
「サクリファイス」を読んでからご一読を。


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ツール・ド・フランス/ウィキペディア

あれよあれよという間に読み終わってしまた本書。
1ページに占める文字数が少ないのか?
それともサクサク読ませる文章作法があるのか?
とおもったら、初出「新潮ケータイ文庫DX」の文字が。

これが噂のケータイ小説?
でもあんまり普通の小説と変わらないような気が。
単行本用に校正したのかな。

◆関連記事◆
「エデン」 近藤 史恵/日々の書付
エデン 近藤史恵/棒日記VII
エデン(近藤史恵)/未明の本棚
エデン 近藤史恵 新潮社/ミユウのいろいろ日記
サクリファイス/近藤史恵/サイト内


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サクリファイス (新潮文庫)
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サクリファイス/近藤史恵

◆読んだ本◆
・書 名:サクリファイス
・著 者:近藤史恵
・出版社:新潮社
・定 価:1,500円
・発行日:2007/8/30

◆評価◆
・自転車ロードレースミステリー度:★★★
・二転三転する結末度:★★★★
・迫真のロードレース競技度:★★★★

◆感想◆
自転車のロードレースチームに所属する白石。かつては陸上の選手だったが、ただ記録を目指すようなやり方に苦痛を感じていた。そこに巡り会ったのが自転車ロードレース。白石は「アシスト」とう走り方に強い魅力を感じる…

自転車競技のひとつであるロードレースを舞台にしたミステリー。
主人公の白石は自分がトップでゴールすることより、ひたすら走り、与えられた役目を果すことに喜びを感じる。
ロードレースのアシスト役にぴったりのモチベーションの持ち主だ。

誰もが総理大臣にないたいわけではない、ってことね。

この、仲間の為にただひたすら走るという気持ち、多くの読者に共感を得られそうだし、そこがこの小説のポイント。

チームのエースだろうと、それをサポートするアシストだろうと、チーム全体のために走る。そこには、互いの信頼関係が絶対条件だ。

後半の二転三転するミステリー仕掛けの展開は、スポーツマンの矜持を浮びあがらせるような、なかなか感動的な展開。

誰もが誰かのために走っているのだ。かっこいいぞ!

それに比べ、袴田は…
香乃の気持ちも、てんで分からん。
そんなすぐに、好きになるかっちゅうねん。

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