だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

造花の蜜/連城三紀彦

◆読んだ本◆
・書 名:造花の蜜
・著 者:連城三紀彦
・出版社:角川春樹事務所
・定 価:1,800円
・発行日:2008/10/31

◆評価◆
・誘拐ミステリー度:★★★★
・多段落としの技度:★★★★★
・体感的、身体的、感覚的文章度:★★★★★

◆感想◆
スーパーの駐車場に停められた国産車から、香奈子は目を離せなかった。十分前、息子の圭太の手を引いて幼稚園を出た時から、その車につけられていたような気がするのだ・・・

これはなかなか凝った誘拐ミステリー。
のっけから前置き無しに誘拐劇がはじまって、読みはじめると止まらない。
一体全体どう展開するんだ? コイツは怪しいんじゃないか? こいつはどうなんだ? とか深く考える余裕もなく、グイグイ読まされる。

おまけに予想もつかないどんでん返し技の連続だ。
よく考えたなあ。
誘拐もの小説は沢山あるけど、今までにない誘拐モノを書こうとする著者の意欲に感心する。

そんな意欲的なミステリーを、さらに面白い小説として味付けしているのは、著者らしい官能的ともいえる文章。
その文章の虜となっている著者のファンも多いと思うが、ミステリーというロジカルな小説と、体感的・身体的・感覚的文章が混交して、一種異様な小説世界に。
ミステリーとしてはやや弱い部分も、登場人物達の感覚的な表現に納得させられちゃうのだ。

さすがだ。
ミステリーとしても物語としても、読書に没頭できる小説。



蘭
蘭ミュージアム・高森



「造花の蜜」には造花の蘭が描写されるんだが、蘭の特徴を見るとますます本書の題名と内容が意味深に。

・こん虫が、蘭の花に訪れたら確実に花粉を運んでもらえるように、花粉塊の柄(え)の先はネバネバしている。
・花から強い香りを出して、蜂を花の中へと誘い込む。
・オフリスという蘭は、ある種類のメス蜂にそっくりな花をつけ、オス蜂を誘う。また、色や形がメス蜂に似ているだけでなく、フェロモンを分泌している。

おおっ、恐ろしや蘭!
きれいな花なのに悪女のよう。
でも(だから?)魅力的で蠱惑的 。




◆他サイトの感想◆
棒日記V -I will carry on-
Mのミステリな日常
悲しいですサンタマリア
ミステリ畑


テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

FC2Ad