だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ハイドゥナン/藤崎慎吾

◆読んだ本◆
・書 名:ハイドゥナン
・著 者:藤崎慎吾
・出版社:早川書房
・定 価:上 1,700円 下 1,700円
・発行日:2005/7/31

◆評価◆
・ハード&オカルティックSF度:★★★★★
・南西諸島を襲う地殻変動は序章にすぎない?!度:★★★★
・与那国島の巫女と共感覚を持つ青年の絆度:★★★★★
◆感想◆
共感覚の持ち主である伊波岳志は、伊豆の海でダイビングをしている時に「こっちへ来て」という声を聞く。ここ数年、共感覚が強くなっているように感じ、不安を抱いていた伊波岳志は、自分が狂っていくのではないかという恐怖を抱くが…

共感覚という、音が見えたり色が聞こえたりする感覚を持つ伊波岳志。
与那国のムヌチ(一種の巫女)である後間柚。
南西諸島の地殻変動を調査する、自らをマッドサイエンシストと標榜する科学者たち。
エウロパ生命探査計画に関わる宇宙生物学者。

序章のシーンはショッキングで、読者を目を惹き付ける。冒頭で展開する複数の物語もいいし、SFなのに巫女とかシャーマンとかが題材となっているところや、反体制的な科学者達(量子コンピュータを趣味でつくるようなロックシンガー風脳学者とか、石にざまれた記憶を読もうとする地質学者とかね)が少々書き込みが足りないものの、ユニークでなかなか魅力的。

与那国近海の地質調査の風景とか、圏間基層情報雲理論の展開とか、ハードSFしているところもいいが、本書の特徴は巫女の後間柚と共感覚を持つ伊波岳志という、一種オカルティックな設定の二人。
二人の関係が微笑ましかったり悲しかったりロマンチックだったりと読者のハートをうまく掴んで放さないし、また著者の「超常的な現象をSFとしてどう扱うか」というテーマともうまく融合し、物語を面白しているカギとなっている。

神憑かり的な力をロジックで説明はするものの(SFだもんな)、あえて深入りしようとしない著者のスタンス。へたすると中途半端で消化不良のSFになってしまうところを、絶妙のバランスでこらえている。

SFファンならずとも、夏の暑さを忘れて物語世界に没入できる小説だ!

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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