だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

明日の記憶/荻原浩

◆読んだ本◆
・書 名:明日の記憶
・著 者:荻原浩
・出版社:光文社
・定 価:1,500円
・発行日:2004/10/25

◆評価◆
・記憶を失うということ度:★★★★★
・ブラックユーモアと悲愴感度:★★★★
・切実な恐怖度:★★★★★
・泣ける(「アルジャーノンに花束を」風度:★★★★

◆感想◆
広告代理店に勤める佐伯は、先月50才になったばかり。まだまだ後輩に仕事を任せるわけにはいかないと奮発しているが、最近有名俳優の名前や部下の名前をど忘れする。さらには、自宅を出る時、家の鍵をかけたかさえ良く思い出せないように…

パソコンで文章を書くためか、最近漢字を書けないことがしばしば。これじゃいかん!と思い、直筆で日記を書くようにしたんだが、なんと本書の主人公が同じことを!
ショック!
不眠症、めまい、倦怠感などの自覚症状がある人は、アルツハイマーかも?

本書はそんな若年性アルツハイマーをテーマにした物語り。
主人公の佐伯が自分の記憶力に疑問を持ちはじめ、過労のせいにしたり病院へ行くのを拒んだりする様は、妙に切実。主人公に感情移入しすぎてしまう。
若い読者にはブラックユーモアと映るシーンも、主人公と同年輩の読者にはとても笑い事ではない。

さらに、大きなプロジェクトや娘の結婚といったイベントを目前にした主人公は、記憶が無くなっていくという病気と、戦い、もがき、苦しむが…

佐伯の妻や娘、会社の同僚や顧客等の登場人物も、よく描かれている。
ストーリーに破綻がなく、描写にも瑕疵がないのは、著者の特筆。
陰々滅々となりそうなテーマを、著者持ち前の軽妙でユーモアのある筆致により、明るさと思いやりのある物語に転換している。
また、今までの著者の本には薄かったインパクトが本書にはある。
(自分の記憶力に疑問があるせいか)
著者の本の中では、最高作。

ラストも涙せずにはいられない。

テーマ:感想,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:本・雑誌,本,感想,ミステリー

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