だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

仮想儀礼/篠田節子

◆読んだ本◆
・書 名:仮想儀礼
・著 者:篠田節子
・出版社:新潮社
・定 価:上1,800円 下1,800円
・発行日:2008/12/20

◆評価◆
・新興宗教の栄枯盛衰度:★★★★
・壊れた人々度:★★★★
・新興宗教の造り方度:★★★★
・インチキ教祖の良心と信者の狂信度:★★★★★

◆感想◆
都庁に勤めていた鈴木正彦は、心血を注いで書き上げたゲームブックの出版化をたよりに退職してしまう。しかしゲームブックが出版されることはなく、食うのにも困るような生活に。鈴木はかつての仕事仲間と新興宗教を興し、金儲けを企むが・・・

これはなかなかヘヴィーな内容だ。
鈴木と矢口は、パソコンを使って切り貼りだらけの「聖泉真法会」という宗教団体を立ち上げる。
金儲けのためとしていながらも、真っ当すぎるくらいの鈴木と矢口。
メールでの人生相談にのったり、集会所を確保したりして説法を行い、とんでもない過去やとてつもなく壊れた人々に対しても真っ当な対応をするうち「聖泉真法会」の名が広まり、また偶然の行幸も重なって、どんどこ信者が増えてきて。

中盤までは、「信仰宗教の造り方」みたいな展開だ。
ちょっと危ないくらいに壊れた信者、本当の金儲け主義の新興宗教教祖との対立、企業経営者の入信と社内事情、信者間の軋轢。
実際にありそうな出来事が次々起きて、読者を飽きさせないし、壊れた人たちの思考や、インチキでありながら悪人になりきれない教祖の宗教観も興味深い。
どっかの新興宗教の実録のような雰囲気もあるし、現在する宗教団体の内部組織が伺えるようでもある。

このままインチキ宗教「聖泉真法会」は発展し続けるのか、それとも破綻するのか。
ま、それは読んでのお楽しみ。

しかし著者は、ちょっと変わった宗教がらみの物語がお好きのよう。
そういう自分も、けっこう好きなんだけど。



バベルの塔    サグラダ・ファミリア    東京都庁
バベルの塔   サグラダ・ファミリア   東京都庁



主人公の鈴木正彦が勤めていた都庁。
見方によっては宗教的なシンボルにもとれる。


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◆他サイトの感想◆
季節の切り抜き帳
Bright Vision



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