だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

落照の獄 十二国記/小野不由美

◆読んだ本◆
・書名:落照の獄 十二国記
・著者:小野不由美
・定価:750円(雑誌yom yomの価格)
・出版社:新潮社
・発行日:2009/9/26

◆おすすめ度◆
・十二国記度:★★★★
・苦悩する官吏度:★★★★
・死刑の是非度:★★★★

◆感想◆
雑誌yom yomに掲載された、十二国記ファン待望の最新短編。
柳国で起きた殺人事件と、それを裁く官吏の物語だ。

八歳の少年がわずか十二銭のために扼殺される。捕らえた犯人を追求すると、合わせて23人を殺害したことを自供するが・・・

ケダモノの仕業としが思えないような犯行。
不安から犯人を死刑にせよと望む民衆。
最近増えてきたかにみえる極悪犯罪。

「死刑を行ってはならぬ」という主上からの命と、はたしてケダモノのような犯人を生かしておくことにどのような意味があるのかと自問する官吏。

現代の死刑廃止論にかけた十二国記ならではの展開に、うなる。

「ケダモノ」なのかどうかが判断の分かれ目というテーゼが、眼から鱗というか、新鮮で明瞭なよりどころに見える。

短編なんだけど読みごたえ充分の物語。
結末も十二国記の世界ならではで、完成度高し。
それにしても十二国記はウェットで重たいテーマが多いよなあ。


yom yom (ヨムヨム) 2009年 10月号 [雑誌] yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 [雑誌]


書籍化されていない十二国記シリーズに、雑誌yom yomに掲載された「丕緒の鳥」という短編がある。
あんまり雑誌で小説を読むことはないんだけれど、いつ本になるか分からないし、アマゾンで買っちゃおうかと。

そしたらバックナンバーは売り切れ。古本で2,000円以上するんである。
おお、人気あるのね十二国記。
そう言えば「落照の獄」の掲載されているyom yomも、本屋で山積みになってたなあ。


◆他サイトの感想◆
☆☆私的ハマリモノ日記☆☆
宵の徒然
映画鑑賞日記



ネタバレ感想です。
「落照の獄」を読み終わった後にどうぞ。





犯人を死刑にすべきが、それとも殺さずに更生させるべきか、主人公は苦悩する。

犯人を人としてみるならば、死刑といえども人殺し、人が人を殺していいのかという疑問にぶつかる。

犯人を極悪非道なゲダモノとしてみるならば、害獣を殺処分するように死刑にしてもいいのかもしれない。


これといった特徴もないどこにでもいそうな犯人。「惨いことをした、という後悔すらないのか」という問いに、「…別に」と答える犯人。
そのとらえどころのない不気味さに、人間性を見いだせない官吏たち。
さらに更生の可能性がないのか犯人に問い質そうとしたとき、「俺は悔い改めない」と宣告する犯人。

素晴らしい展開だ。


「俺は悔い改めない」という一言が、犯人はケダモノではなく人間であることを示すとともに、それは人間ではなく傾きはじめた柳国の象徴ともなる。

死刑を決めた官吏たちに対し腹を抱えて笑う犯人は、まるで官吏たちを国賊へと誘う悪魔だ。

テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

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