だな通信 ミステリー文庫

国内の新刊ミステリー小説を中心とした独断的読書感想。 「面白い本なら何でもOK」というのが信条。 最近は新旧歴史時代小説やエンターテイメント、ライトノベルにも手を伸ばして節操のない状態に。趣味の合う方には参考になるかも。合わない方は評価を反対に見てね。

ブラックボックス/篠田節子

◆読んだ本◆
・書名:ブラックボックス
・著者:篠田節子
・定価:2,100円
・出版社:朝日新聞出版
・発行日:2013/1/30

◆おすすめ度◆
・社会派サスペンス小説度:★★★★
・カップ入りサラダは食べたくなくなる度:★★★★★
・近い将来に起きる(いや、もう起きてる)度:★★★★

◆感想◆
会社の不祥事で故郷に逃げ帰ってきた栄実。最新技術で生産された野菜を加工するサラダ工場で働くようになるが…

完全無農薬の無菌状態で生産する植物工場。
食の安心と安全を実現化するはずの植物工場に大きな期待をかける人がる一方、自然と大きく乖離した栽培方法に、そこはかとない不安を抱く人も多いはず。
本書はまるでドキュメンタリーのように、人々の抱く不安をリアルな形にした小説。

怖いですね。

何が怖いって、本当のことを知るのが怖い。
たとえば、原発の事故をきっかけに、その構造や仕組み、管理方法などがつまびらかになるほど、「これで大丈夫なの?」という疑問がいっぱい湧いてきて、どんどん不安になっていく。
知れば知るほど不安のタネが増えるばっかり。

本書を読むと、植物工場やカップ入りサラダの生産方法が、どんな風に行われているのか想像できる。
そこには外部の人間が知り得ない危うさが。
小説の主人公たちと同じように、「これじゃあダメだろう!」と思いながらも科学技術を100%拒否することもできないもどかしさ。
良質のドキュメンタリーやルポルタージュを読んだ時に感じるような危機感が横溢している。

小説だからすべてが現実のものではないけれど、近い将来起きてもおかしくない、ひょっとしたらもうすでに起きているかもしれないと思わせる説得力がある。

当分の間、コンビニのカップいりサラダは食べたくなくなること必至の小説。
(数日もすればムシャムシャ食べてるだろうけど)

ブラックボックスブラックボックス
篠田節子

朝日新聞出版 2013-01-04
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目に見えない「毒」に汚染されている食べ物もイヤだけど、泥や虫まみれの食べ物もイヤ。
危ない原発もイヤだけど、電気代が上がるのもイヤ。
近くにゴミ焼却場ができるのもイヤだけど、ゴミをきちんと分別するのもイヤ。
その「イヤ」をなんとか解決しようとする科学技術も信用できない。
一体どないせぇっちゅーねん。

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テーマ:読書感想文,おすすめミステリー小説,本 - ジャンル:小説・文学,本,感想,ミステリー

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